2010年5月31日月曜日

殊勲の佐藤5月のMVPに 東日本協会

 東日本ボクシング協会は31日、5月の月間賞を発表。最優秀選手には、1日の日本スーパー・フライ級暫定王座決定戦で、翁長吾央(大橋)を7回TKOで破り暫定王座についた佐藤洋太(協栄・26)が選ばれた。佐藤は同賞初受賞。
 同じく敢闘賞には、やはり1日の日本ミニマム級タイトル戦で、難敵武市晃輔(金沢)を判定で撃退し2度目のタイトル防衛に成功した八重樫東(大橋・27)が、また新鋭賞には、26日のライト級6回戦で、タイガーモリマチ(相模原ヨネクラ)に5回TKO勝ちした小林和優(湘南RYUJU・27)が選ばれた。6月24日後楽園ホールで表彰式が予定されている。

大場政夫の練習相手死す 元日本王者加藤憲治さん

 日本フライ級チャンピオンに2度君臨した加藤憲治さんが29日、喉頭がんのため亡くなった。60歳だった。
 加藤さんは群馬県高崎市出身。1970年にパルンジムからプロ・デビューし、翌年同ジムが廃止になると帝拳ジムに移籍。73年に引退するまで、47戦26勝9KO12敗9分のレコードを残す。75年10月幅修(常滑)に2回KO勝ちし空位の日本フライ級タイトルを獲得。これは4ヵ月後の初防衛戦で五十嵐力(キング)に奪われたが、77年6月に五十嵐を判定で攻略して王座カムバック。今度は2度王座を防衛した。
 海外でもたびたび試合をし、ハワイ、フィリピン、タイ、メキシコ、マカオで戦った。また、同僚で当時世界フライ級チャンピオンだった大場政夫とは、大場が事故死するまで約2年間合宿で一緒に過ごし、スパーリング・パートナーを数多く務めたことでも知られた。
 引退後は東京・北区でからし焼きの店「パンチ」を営んだこともあったが、近年は闘病が続いていたという。

WBA世界フライ級、大毅-坂田戦合意


 協栄ジムが落札した亀田大毅-坂田健史のWBA世界フライ級タイトルマッチが試合実現に向けて大きく動き出した。
 31日、金平桂一郎・協栄ジム会長がJBCを訪れ、試合開催に向けて亀田サイドと合意に至ったことを伝えるとともに契約書を提出。JBCはこれをWBAに送って最終的な承認を求めることになった。
落札時には90日以内に試合開催とされたが、テレビ局のスケジュール、会場などはこれからなので試合期日はまだ未定。金平会長は「夏になると思うが、8月はどうかな…。いずれにしろ試合ができる状況になったことは喜ばしいこと」と語った。
 チャンピオン大毅ら亀田兄弟の身分はまだ協会預かりだが、同日新会長となる吉井氏、嶋マネジャーがJBCを訪れて「(ジム再開に向けて)ヒアリングとともに騒動再発防止に関して注意点を確認した。またジムの体制など未整備の部分に関して再び報告を受ける手はずになっている。それをクリアすればライセンスを発行する」と安河内剛事務局長。

小堀、嶋田に勝ったモーゼス王座陥落 WBA世界ライト級

 29日(現地時間)ナミビアのウィントフックで行われたWBA世界ライト級チャンピオン統一戦は、地元の正規王者ポーラス・モーゼスが暫定王者ミゲール・アコスタ(ベネズエラ)に6回KO負けを喫する意外な結果で王座を失った。アコスタは立ち上がりからモーゼスにジャブを決めて優勢に試合を進めた。6回まで互角に近い展開だったとの報もあるが、最後はアコスタのニックネーム「アグアセリート(突然の嵐)」通りとなる。この回アコスタの右強打が襲うと、モーゼスまさかのダウン。2分17秒でKOとなった。
 昨年1月に東京で小堀佑介(角海老宝石)に勝って獲得し、同年7月には地元で嶋田雄大(ヨネクラ)の挑戦を判定で撃退していたモーゼス(31)は、2度目の防衛に失敗して無冠に。これが26戦目の初黒星(25勝21KO)だった。一方新たに正規王者となったアコスタ(35)は、27勝21KO3敗2分。昨年ウルバノ・アンチロン(米)に勝って暫定王者となり、これで2試合続けて不敗の相手を攻略している。試合後興奮した新チャンピオンは、この試合で使用したグローブを大統領に贈呈すると約束し、凱旋帰国する時には、自分を招待するよう“要請”している。

映画「BOX 袴田事件 命とは」公開中

 袴田事件を扱った映画「BOX 袴田事件 命とは」(監督・高橋伴明、主演・萩原聖人)が現在公開されている(銀座シネパトス他)。
 元プロボクサー、袴田巌は1966年に静岡で起きた一家4人放火殺人事件の犯人とされて死刑判決を受けながら、44年間獄中から冤罪を訴え続けている。袴田死刑囚を犯人とするにはあまりにも疑わしい点が多く、先ごろ超党派の国会議員57名による「袴田巌死刑囚救援議員連盟」(鈴木宗男委員長)が発足。ボクシング界も、東日本ボクシング協会の「袴田支援委員会」(新田渉世委員長)が地道な支援活動を続けている。
 この映画は、一審を担当した判事で、死刑判決を書いたものの後に「彼は無実だと確信していた」と公表した熊本典道判事の目から事件と公判を追ったドキュメント・タッチの異色作。連日長時間にわたり袴田を取り調べる刑事たちの過酷なまでに執拗な尋問シーンは、まるで警察ではなくてやくざがどう喝しているようにすさまじい。業界関係者の1人は「映画が話題になって、関心を持つ人が増えてくれればいいですね」と、密かにヒットを期待している。
 現在この映画を公開中の映画館は東京のみで、銀座シネパトス(☎03-3561-4660)と、渋谷のユーロスペース(☎03-3461-0211)。

2010年5月30日日曜日

長嶋45戦目のラストファイト 白星で引退


 15年のプロ生活に別れ――1990年代後半から日本の中量級トップとして活躍した長嶋建吾(18古河)が30日、地元の茨城県・古河体育館で引退記念試合を行い、タイのポンサトーン・スリスリーに8回判定勝ち。45戦目のラストファイトを白星で飾り、グローブを脱いだ。
 67キロ契約で行われた試合は、元日本、東洋太平洋S・フェザー&ライト級王者にとって重めだったが、スナップの利いた右ジャブ、左ストレートから返しの右フックなど、随所に長嶋らしい攻撃を披露。ダウンこそ奪えなかったものの、80-73のフルマークで勝利した。
 試合後に行われた引退式には、小林弘、ガッツ石松、浜田剛史、大橋秀行、飯田覚士、セレス小林の元世界王者各氏に加え、粟生隆寛、松田直樹、亀海喜寛ら現役ボクサーも駆け付け、長嶋の第2の人生の出発に花を添えた。マッチメイカーのジョー小泉さんが何と生歌をプレゼントする一幕もあった。
 感極まった長嶋は「世界チャンピオンにはなれませんでしたが、本当に多くの方々に支えられました」と現役生活を振り返り、父・清会長も涙して「世界を獲れなかったのは私の責任です」――地方のジムから世界を目ざし続けた親子鷹の挑戦が終わった。長嶋の最終戦績は39勝18KO4敗2分。今後はまず名古屋でトレーナー修業し「将来はまだ分からないけれど、ボクシングとは携わっていきたい」。建吾、おつかれさん。

クリチコ兄圧勝 WBCヘビー級戦


 現地時間29日、ドイツ・ゲルゼンキルヒェンのフェルティンス・アリーナで行われたWBC世界ヘビー級タイトルマッチは、王者ビタリ・クリチコ(ウクライナ)が挑戦者で欧州王者のアルバート・ソスノウスキー(ポーランド)に10回TKO勝ち。4度目の王座防衛に成功した。
 予想どおり、ビタリの圧勝だった。体格で大きく上回るビタリが挑戦者を翻ろう。ソスノウスキーの出てくるところやガードの隙間に重い左を当て続け、6回には鼻血を出させた。さらに右強打で痛めつけ、迎えた10回、打ちおろしの右でソスノウスキーがグラリ。チャンピオンはこの機を逃さず、強烈な右でフィニッシュした。挑戦者が倒れると同時に、ネイディ主審が一方的な試合をストップした。タイムはこの回2分30秒。
 これで40勝38KO2敗とし、弟のウラジミール(IBF&WBO王者)とともにヘビー級制圧に向かうビタリ。残る一角はWBA王座のデビッド・ヘイだが――。=PHOTO/SUMIO YAMADA=

拓、農が連勝 アマチュア関東大学リーグ戦

 アマチュアの第63回関東大学リーグ戦は1部リーグ第2週が29日、後楽園ホールで行われた。
 前年優勝の拓殖大学は法政大学に8-1で勝利。王座奪回を期す東京農業大学は今季から参入の日本体育大学を9-0でスイープし、日本大学が駒澤大学を6-3で下した。
 2週目を終えて拓大と東農大の両校が連勝で並走。1部リーグ第3週は6月12日に同じ後楽園ホールで行われる。

2010年5月29日土曜日

ナバーロが再起 ロスのリング


 現地時間27日、かつて日本で川嶋、徳山の世界王座にも挑んだホセ・ナバーロ(元WBC・S・フライ級1位=米)がロサンゼルスのノキア・クラブで再起戦のリング。サンディエゴ出身のベンジー・ガルシアに6回判定勝ちした。
 昨年10月、フィリピンのマイケル・ドミンゴに敗れて以来のリングとなったナバーロは、タフなガルシアをもてあますが、終始持ち前のカウンターを相手の打ち終わりに小気味よく決めた。何度か棒立ちにさせるチャンスもしばしばあったが、ガルシアも試合を諦めずワイルドな左右を振るい、逆にナバーロをロープに詰めるシーンも。それでも結局、ナバーロの正確なカウンターで決まる左ストレートと右フックが支配し、ジャッジ3人とも60-54のフルマーク採点で勝利した。
 ナバーロ(28歳)は27勝12KO5敗。川嶋、徳山戦以外にもキリロフ(IBF)、ミハレス(WBC)と世界王座を争い、敗れている。試合後「自分では良かったと思う。世界まではまだ分からないけど、段階を経てだよね。次は2ヵ月ぐらい置いて、GBPのプロモーションで近辺(ロス)の試合に出たいと思う」とコメント。“5度目の正直”を諦めていない!?
 また同日は、デラホーヤと同じ誕生日で秘蔵っ子といわれる、フランキー・ゴメスが登場。4回戦ながら、アフリカ出身のアキンボーデを1回TKOし、これで3連続KO勝ちをマークした。
 この日のメインは、米国代表オリンピアンでもあるデビッド・ロデラが僅差の8回2-1判定で、プエルトリカンの中堅選手エリク・クルスに勝利している。=REPORT/SHU OIKAWA=

クリチコ兄も計量パス 明日WBCヘビー級戦

 ドイツのゲルセンキルヘンで現地時間29日に挙行されるWBC世界ヘビー級タイトルマッチの計量が行われ、王者ビタリ・クリチコ(ウクライナ)と挑戦者アルバート・ソスノスキー(ポーランド)ともにパスした。クリチコは112.0キロ、ソスノスキーは101.8キロ。
 弟ウラジミール(IBF&WBO王者)とともに兄弟ヘビー級制圧を目ざすクリチコは今回が4度目の防衛戦になる。=PHOTO/SUMIO YAMADA=

モーゼス、アコスタ計量パス WBAライト級統一戦


 小堀、嶋田に勝った男、WBA世界ライト級“正規”王者パウルス“ザ・ヒットマン”モーゼス(ナミビア)が2度目の防衛戦に臨む。モーゼスは明日29日(現地時間)地元ナミビアのウィンドフックで、同級“暫定”王者ミゲール・アコスタ(ベネズエラ)と対戦する。
 28日行われた計量で、モーゼスは132ポンド(59.87キロ)、アコスタは134ポンド3/4(61.12キロ)を計測し、無事パスした。
 試合のレフェリーはグスタボ・パディージャ(パナマ)、ジャッジはアルフレド・ポランコ(メキシコ)、ジョーン・ポトゥライ(米)、ジュッセペ・クアルタローネ(イタリア)。スーパーバイザーは殿堂入り審判スタンリー・クリストドゥー(南アフリカ)が務める。

2010年5月27日木曜日

尹初黒星


 26日の後楽園ホールはメインで波乱。新人王獲得後も全勝を続ける尹文鉉(日本S・ライト級8位=ドリーム)がノーランカーの小池浩太(ワタナベ)に8回3-0判定負けした。尹は10戦目で初黒星。
 左でさばこうとする尹に小池が突っかかるようにしてプレス。接近時でしつこく右フック、右アッパーを叩き続けた。途中尹の左ボディーで失速気味となったものの、終盤6回から再び奮起。尹をコーナーに釘づけにした。スコアは三者とも77-76で小池の殊勲星を支持していた。
 小池(27歳)はこれで12勝4KO4敗。「1ヵ月ぐらいしか時間がなかったけれど、必至で練習した」とコメントした。
 またセミでは日本S・ライト級2位にまで上昇した伊藤和也(宮田)が会田篤(ワタナベ)に3回TKO勝ち。パンチを繰り出しながら前進する伊藤の重圧に会田はあらがえず、3回に連打でストップされた。伊藤の戦績は10勝5KO3敗。
 そのほかの8回戦の結果は、三谷拓也(セレス)が阿部展大(角海老宝石)に8回負傷判定勝ち、阿部隆臣(新日本大宮)が関本純太(勝又)に判定勝ち。

2010年5月26日水曜日

内山に敗れたグラナドスが引退発表


 今月17日、さいたまスーパーアリーナでWBA世界S・フェザー級王者内山高志(ワタナベ)に挑んで6回TKO負けしたアンヘル“フラッシュ”グラナドス(ベネズエラ、35歳)が25日、現役引退を発表した。
 グラナドスはベネズエラ・ボクシング界のホームページで「ボクシングで大きな業績を挙げることは出来なかったのは残念だけど、自分がトライした結果に誇りを感じている。この決意は変わらない。なぜならパンチをもらうことはけっして容易いことではないから」と胸中を明かしている。
 今後はこれまでボクシングと平行して携わってきた庭師の仕事に専念するという。ホームページでは、とりわけWBAヒルベルト・メンドサ会長と息子のメンドサ・ジュニア副会長に感謝の気持ちが強いと語っている。

2010年5月25日火曜日

井岡&石田がパナマ特訓



 ホープ井岡一翔と石田匠(ともに井岡ジム)の2人が現地時間22日にパナマに到着。24日からトレーニングを開始した。
 現地からのニュースで2人は同国チュルンドゥにあるペドロ・アルカサール・ジムで練習中。トレーナーはセルソ・チャベス氏(日本で渡辺二郎と対戦)が担当する。
 井岡、石田とも中米のボクシング王国で、同国特有の柔軟なボディーワークと高速コンビネーションを体得するのが目的だ。現WBA世界バンタム級王者アンセルモ・モレノや元同S・バンタム級王者リカルド“エル・マエストリート”コルドバといった大物とのスパーリングも予定しているという。

パッキアオ胃潰瘍でダウン

 無敵パックマンも不死身ではなかった。フィリピンからのニュースで、WBO世界ウェルター級王者マニー・パッキアオ(31歳)が軽症ながら胃潰瘍にかかり、入院したことが伝えられた。
 パッキアオのフィリピンのマネジャーによると、日曜日23日、病院で検査を受けた王者は胃潰瘍の症状が発覚。家族の進言もあり、マニラ郊外の病院に数日入院することになった。原因は今月中旬行われた国会議員選挙運動の疲労。選挙戦の終盤、パッキアオは食欲が減退したと言われ、病院では点滴を受けた。
 一方で、ボブ・アラム・プロモーターはメイウェザー戦実現に向けて交渉がスタートすることを公言。予定日は11月13日。場所はラスベガスとテキサスが有力。試合が成立しない場合、パッキアオの相手にはアントニオ・マルガリートの名が挙がっている。

杉田ツインズ、そろって勝つ

 24日の後楽園ホールに登場した双子ボクサー、ヨネクラジムの杉田ツインズはそろって勝利をおさめた。
 メインを張った兄の純一郎(日本S・フライ級7位)は小室裕一朗(新松戸高橋)に8回フルマークの判定勝ち。スピードと力感のある左をさし、接近戦では右アッパーを何度と決めたが、のらりくらりとしのぐ小室をしとめることはできず。80-72が2者に80-71のスコアで16勝目(7KO3敗)をあげた。
 また弟の祐次郎はタイのデンチャット・シットサイトンからダウンを奪い、2回TKO勝ちした。
 もうひとつの8回戦では、元アマ王者のS・ミドル級、松本晋太郎(ヨネクラ)がマクサク・シットサイトン(タイ)を3回KOした。

亀田ジム、吉井氏が新会長に 協会発表


 東日本ボクシング協会(大橋秀行協会長)は24日の月例理事会で亀田ジムの処分問題につき討議。調査委員会(川島郭志委員長)の3度にわたる調査結果を踏まえ、五十嵐紀行会長に「無期限資格停止」の処分を科すとともに、協会員(ジム会長)としての資格を五十嵐氏から同ジムトレーナーの吉井慎次氏(46)に移転することを承認した。手続きが済み次第、新生・亀田ジムとして再スタートする。 
 協会としての今回の処分は「選手を守ることを第一に決めた」(大橋協会長)。また「吉井氏はトレーナーとして20年以上の経験を持ち、もっとも適任」として新代表に認められたという。吉井氏は新たに「亀田ジム会長」となるにあたり、協会の要請に応じて以下のような確約書を提出している。「選手らの言動を十分に管理監督するとともに、選手らに当協会の会則等を遵守させること」「自らが亀田ジムのトレーナーとして、選手のトレーニングにおける指導及び管理監督に従事すること」「違反した場合、亀田ボクシングジムが、当協会から除名等のいかなる処罰を下されても異議を述べないこと」。
 この日の会見ではメディアから「亀田プロモーション(亀田史郎社長)との関係が変わらない限り、また今回のような問題は起きるのではないか」という厳しい質問も出たが、協会はあくまで試合後の史郎氏の試合後の暴言問題に限定し、これに同調した五十嵐氏の処分を行ったという。これで新・亀田騒動が鎮静化することを期待しているようだ。
 なお、「協会預かり」となっている亀田兄弟の練習場所は、今後も従来通り亀田ジムとし、「吉井氏が責任を持って管理監督する」としており、同氏の協会への報告も求めるという。吉井新会長は重責を背負わされたかたちである。

2010年5月23日日曜日

元王者チャガエフが挑戦権ゲット WBA世界ヘビー級


 デビッド・ヘイに挑むのはチャガエフ――22日ドイツ・ロストクの試合のメイン・カード、WBA世界ヘビー級挑戦者決定戦で、元WBA同級王者(現2位)ルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン)が、同級1位のカリ・ミーハン(オーストラリア)に12回3-0判定勝ち。正式にデビッド・ヘイ(英国)への挑戦権を手に入れた。
 昨年クリチコとのチャンピオン統一戦で敗れて以来11ヵ月ぶりのリング登場となったチャガエフに対し、ミーハンはさらにブランクが長く、1年9ヵ月ぶりの試合。サウスポーの技巧派ファイター、チャガエフは、10センチ以上背の高いミーハン(196センチ)に対し体格の不利もものともせず、果敢に前に出てプレッシャーをかけ、より多く手数を出し、より多くのパンチをかわし続けた。スコアは、117-111、118-110、117-112と文句なし。ヘイ挑戦の時期について問われたチャガエフは「すぐにでも」と意欲的なコメントを残している。
 写真はミーハン(左)を左ストレートで攻めるチャガエフ=PHOTO/SUMIO YAMADA=

タイベルトV1、 WBC世界S・フェザー級

 WBC世界S・フェザー級タイトルマッチは22日夜(現地時間)ドイツのロストクで行われ、チャンピオンのビタリ・タイベルト(ドイツ)が、15位エクトル・ベラスケス(メキシコ)に9回負傷判定勝ちでタイトル初防衛に成功した。
 タイベルトは初回に偶然のバッティングで左目上をカットし、ベテラン相手に苦しいスタート。よく動いてベラスケスの攻撃をかわしながら、的確な左右を決めてポイントを重ねたが、その後も出血に苦しみ続けた。最後はこの傷が原因で試合続行不能になったとして、9回に試合が止められた。それまでの3ジャッジの採点で優勢(88-83、88-82、87-83)だったタベルートの負傷判定勝ちとなった。
 カザフスタン出身で現在はドイツに帰化しているタイベルト(27)は、昨年暫定王座につき、正規王者だったウンベルト・ソト(メキシコ)が1階級上のライト級王者になったことから、正規王者と認められたもの。これで20勝6KO1敗。敗れたベラスケス(35)は、51勝35KO15敗2分。
 写真はベラスケス(左)に右を打ち込むタイベルト=PHOTO/SUMIO YAMADA=

マルケス痛烈リベンジ バスケスを3回TKO

 4度目の対決はマルケスが宿敵バスケスを前半血だるまにしてストップした。ロサンゼルスのステープルズ・センターで22日(現地時間)行われた注目のフェザー級12回戦は、ラファエル・マルケス(メキシコ)がイスラエル・バスケス(メキシコ)に3回1分33秒TKO勝ち(カリフォルニア州ルールではKO)。対戦成績を2勝2敗とした。
 バスケスの切れやすいマブタが致命的だった。初回のパンチ交換で元S・バンタム級王者は左マブタをうっすらとカット。パワーに任せて攻勢をかけるマルケスの前に傷口は悪化。3回、マルケスの右で崩れ落ちたバスケスは、再開後ラッシュを浴びてストップされた。
 この試合はWBCの“スーパーベルト”がかけられ、勝者マルケスに贈呈された。
 快勝のマルケスは「作戦は目を狙うこと。イスラエルのパンチも強烈だったけど、自分のパンチの方が強かった。予想していたより試合は早く終わった。ファンが望めば、5戦目をやってもいいよ」と発言。
 一方バスケスは「いいパンチをもらった。血が多量に流れるまでカットしたことに気がつかなかった。まずは(目の)治療に専念したい」と話していた。(三浦勝夫)

ペレス-マレス戦はドロー IBFバンタム級

 ロサンゼルスのステープルズ・センターで22日(現地時間)行われたIBF世界バンタム級タイトルマッチは、王者ジョニー・ペレス(コロンビア)が挑戦者6位アブネル・マレス(メキシコ)と12回、マジョリティードローで初防衛を果たした。
 ダウンシーンはなかったが、両者持ち味を出した好ファイトだった。序盤、スピードで勝るマレスが果敢に仕掛ければ、ペレスは重厚なプレスをかけて挑戦者に後退のステップを踏ませる。顔面が腫れたマレスは旗色が悪かったが、ファンの声援をバックに終盤猛反撃。王者の顔も大きく腫れ上がった。
 公式スコアはジャッジ1人が115-113でロサンゼルス在住のマレスを支持したが、他の2者は144-114のドローだった。
 ベルトを守ったペレス(21勝14KO1分)は「私が勝った。ドローには値しない。一度も相手のパンチは効かなかった」とコメント。王座奪取には失敗したが、不敗を守ったマレス(20勝13KO1分)も「私が勝った試合だ」と話している。(三浦勝夫)

2010年5月21日金曜日

塩谷、木下と負傷ドロー

 20日夜、後楽園ホールの「アンタッチャブル・ファイト」(川島ジム主催)のメインに登場した日本S・バンタム級5位塩谷悠(川島)は、木下健志(花形)と2回負傷ドローに終わった。
 この日の塩谷は向かってくる木下に右アッパー、バックステップして右ストレートを迎撃するなど、好調スタートだったが、2回開始早々のバッティングで左まぶたをザックリ。塩谷の傷が続行不可能と判断されて、試合は終了した。タイムは14秒。
「ある程度様子を見て、上げていこうと思ってましたが……」という塩谷はさえない表情。試合はここからという時のストップを悔しがった。21勝10KO2敗2分。
 また同じく行われた8回戦2試合の結果は、元日本王者のサラリーマン徹平(花形)が永安潤之介(川島)に3-0判定勝ち。小泉雄大(川島)は伊藤圭太(花形)に3-0判定勝ち。

パッキアオPFPキングの座をおりる

 アメリカで比較的権威があるとされるパウンド・フォー・パウンド・ランキング(PFP)で、トップの常連だったマニー・パッキアオが2位に降格し、話題となっている。
 それはヤフー・スポーツのPFPランクで、今月分で1位がフロイド・メイウェザーに入れ替わった。ヤフー・スポーツはアメリカの新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットの記者33人が投票。顔ぶれがいずれも知名度が高く、経験豊富な記者で構成されていることから、一般的に信頼性が高いと見られている。ちなみに5月分では33人中20人がメイウェザーを1位に投票、13人にとどまったパッキアオを上回った。復帰戦となったモズリー戦のパフォーマンスが影響したことは言うまでもない。
 だが、フィリピンで論議を巻き起こしたのは事実のようだ。同ランキングの編者で、元ラスベガス紙の記者ケビン・イオール氏(同氏も投票者の一人)は「これは人種差別だ、ランクの正当性を疑う、といった批判を受けた。でも私はアンチ・アジア人でもアンチ・パッキアオでもない。同時にメイウェザーが水上を歩けるとも思っていない。現時点でメイウェザーが少しだけパッキアオよりベターな選手だと私は受け止めたい」とフィリピン紙の取材で答えている。
 同ランクの18位にフェルナンド・モンティエルが登場。これは以前、長谷川穂積がいたスポットで、勝利が評価されたことを物語る。

あくまでモンティエル――長谷川が再起会見

 あくまで打倒モンティエル―。先月30日の11度目の防衛戦に4回TKO負けし、WBC世界バンタム級王座から陥落した長谷川穂積(29=真正)が20日、神戸市内の所属ジムで再起会見。「取られたベルトを取り返す。まずそれを第一に考えている」とあらためて決意表明し、WBOとの2冠王フェルナンド・モンティエル(メキシコ)との再戦を強く希望した。
 試合中に折れた右下顎(かがく)骨はすでに神戸市内の病院で手術し、無事成功。あごを固定するため、2枚のプレートを埋めた。14日には退院しており、回復の経過は順調という。医師からは「いつトレーニングを再開してもいい」と許可を得ているが、山下会長から静養指令が出ており、練習再開は6月中旬以降になりそうだ。
 愛弟子とリベンジを目指す山下会長は再戦プランについて「ノンタイトルを挟むことなく、ダイレクトでやりたい」と次戦を世界挑戦にしたい考え。長谷川も「ノンタイトルに意味はない」と同調した。敗れた試合の映像は「今は1回も見ていない」と前王者。「負けても『感動した』という言葉をいっぱいもらった。(試合の)レベルが高くて楽しかったという声ももらった。やってよかったと思うし、次は勝者になって、そういう声を聞きたい」と気持ちは前向きだ。
 悩みの種だった減量苦から解放されるため、将来的な階級アップも視野に入れるが、現時点で頭にある選択肢は、モンティエルとの再戦だけのよう。山下会長は「スーパーバンタムやフェザーに上げるとしても、リベンジを果たしてから、次のステージに行きたい」との青写真を描いた。

2010年5月20日木曜日

木村4回KO負け-タイのWBA戦


 前日本王者・木村章司(花形)のWBA世界S・バンタム級王座挑戦は、4回2分23秒KOで地元の王者プーンサワット・グラティンデーンジムが先の細野戦に続いて防衛を果たした。
 酷暑の敵地とあって木村は短期決戦を挑んだ。スタートからジャブ、右ストレートとヒットして順調。2回、3回とキャリアの中でもベストパンチと思われる右を叩きつけたが、王者は鼻血こそ流したがケロリ。木村の打ち終わりを狙って距離を詰めて攻め立て、3回終盤には挑戦者をロープにつめてラッシュ。ここで木村の動きが鈍った。4回打ち合いに出た木村は右アッパーを浴びてダウン。しかし「ここからが勝負」(木村)と左フックでクリーンヒットを奪って抵抗するも攻撃力に優る王者が猛攻。立て続けに2度のダウンを奪ってKO防衛に成功した。
 完敗の木村だったが、真っ向勝負を挑んでの結果に納得。「右はベストパンチ。あれで倒れなければ仕方ない。チャンピオンはタフ、たまらんですよ」と脱帽した。花形進会長も「勝負した結果。悔いはないだろう。進退は本人が決めること」。その今後だが「基本的に引退します」と語っている。

バレラが復帰宣言 トップランクと契約

アミール・カーン戦を最後にグローブを脱いだ3階級制覇のメキシコの英雄マルコ・アントニオ・バレラが現役カムバックを決意した。バレラは6月26日、米サンアントニオで予定される興行でアディルトン・デヘスス(ブラジル)と10回戦で対戦する。
 バレラは現在、ESPNデポルテス(スポーツ専門テレビESPNのスペイン語局)で毎週放送される30分のボクシング番組「ゴルペ・ア・ゴルペ」でキャスターを務め、好評を博している。なのに、なぜ?とツッコミを入れたくなるが、本人は「メキシコ人初の4階級制覇を実現したい」と意気込みを明かす。クラスはライト級。トレーナーはカーン戦などと同様、兄ホルへが務めるもようだ。
 相手のアディルトンは25勝21KO4敗。現WBAフェザー級王者ガンボアにはTKO負けしているが、バレラ(68勝43KO7敗)にとって楽な相手ではないと見られる。バレラは試合に備えて自宅のあるグアダラハラでトレーニングを開始。自身の番組の中でも、復帰を明言している。
 なお6月26日のカードはトップランク社の興行。3月カムバックした宿敵エリク・モラレスがトップランクを離れ、バレラが同社傘下になったのは興味深い。同日のメインはチャベス・ジュニア-ジョン・ダディ戦。
 

2010年5月19日水曜日

新旧世界王者39人集結 ファン感謝デー


 「ボクシングの日」の19日、全日本ボクシング協会主催のファン感謝デーが”聖地”後楽園ホールで開催され、同時に「世界チャンピオン会(ガッツ石松会長)」の発足式もあわせて行われた。
 白井義男がダド・マリノに勝って初の日本人世界チャンピオン誕生となった日(1952年5月19日)を記念して行われたこのイベント、キッズのためのボクシング教室や、女子ボクシング、エアーボクシング、チャリティーオークション、ヘビー級公式試合など、メニューも盛りだくさん。そして迎えたクライマックスでは現元合わせて39人もの世界チャンピオンが揃ってリングに上がった。映画「ロッキー」のテーマ曲が流れる中、1人1人スポットライトを浴びて登場した新旧のヒーローたちは、ファンの暖かい声援と拍手を浴びてみな気持ちよさそう。渦中の亀田兄弟、坂田健史、内藤大助のフライ級ライバルたちもこの場では、錚々たる先輩王者に交lり、チャンピオン集団の1人として、ファン・サービスに務めていた。
 これだけの数の世界チャンピオン経験者がファンの前で一堂に会するのは例がなく、まさに壮観。石松会長が代表して「世のため人のため、ボクシング発展のために何かできることがあるのではないか、ボクシングは、チームワークは関係ない、自分さえ強ければいいという世界ですが、個性派のみんなが力を合わせれば、必ずいいことができると確信しています」と世界チャンピオン会」発足の挨拶を行い、ファンの拍手を受けた。
 この日参加のチャンピオンたちは、次の通り(五十音順)男子(36人)-粟生隆寛、飯田覚士、井岡弘樹、上原康恒、内山高志、大橋秀行、小熊正二、ガッツ石松、亀田興毅、亀田大毅、川島郭志、川嶋勝重、具志堅用高、小林光二、小林弘、小堀佑介、坂田健史、佐藤修、セレス小林、竹原慎二、渡嘉敷勝男、徳山昌守、戸髙秀樹、内藤大助、中島成雄、畑中清詞、畑山隆則、浜田剛史、平仲明伸、藤猛、星野敬太郎、ホルヘ・リナレス、六車卓也、薬師寺保栄、山口圭司 女子(3人)-小関桃、多田悦子、富樫直美、

木村計量パス-マハーサーラーカムの奇跡起こす


 明日の本番を控えた19日、WBA世界S・バンタム級王者プーンサワット・グラティンデーンジムと挑戦者・木村章司が計量を一度でパスした。
 木村はアンダーの121ポンド。王者はハカリがわずかに揺れる状態だったが花形陣営が異議を唱える間もなく立会人がオーケーを出した。「これが敵地」と木村もあっけに取られる一幕だったが「チャンピオンは素晴らしいオーラを感じさせる。しかしそんなことばかり考えていても仕方ない。明日のリングで吹っ切れた試合を見せたい。ダラダラやっても仕方ないので、KO勝負を狙う。怖れは何もない。自分へのチャレンジをエンジョイしたい。マハーサーラーカムの奇跡を起こしたい」ときっぱり言い切った。

タイの木村、試合地に移動


 挑戦者木村章司(花形)が敵地タイで王者プーンサワット・グラティンデーンジムに挑むWBA世界S・バンタム級タイトルマッチ(20日)が近づいてきた。以下は同行の南健司・花形ジム・マネジャーのリポート。
 18日はチャンピオン、挑戦者両陣営がタイ警察隊の先導で車で8時30分過ぎに出発し、約6時間かけてバンコク市内のホテルからマハーサーラカーム県内のホテルへ移動した。マハーサーラカーム県はバンコク同様暑いが、風がバンコクより若干ある感じ。
 明日(19日)はマハーサーラカーム県内のホテルで14時30分より公開計量。その後ルールミーティングが行われる。
 この日、木村は「いよいよ決戦地へ来た。このままコンディションを崩さず。本番を迎えたい」とコメントした。※写真提供:花形ボクシングジム

2010年5月18日火曜日

菊地と山口そろって防衛 OPBF女子ダブルタイトル戦

 18日夜の後楽園ホールで行われたOPBF女子のダブルタイトル戦は、白井・具志堅ジムの王者コンビがそろって防衛に成功した。
 S・フライ級戦はチャンピオン山口直子が3位ジョミュシン・ゴーキャットジム(タイ)に3回1分30秒TKO勝ち。3回に強烈な左ボディーをカウンターで決めて2度のダウンを奪いフィニッシュしたもので、山口(32歳)は藤本りえ(協栄)との打撃戦で奪った王座の初防衛を飾った。ちなみに今回はジョミュシンが規定体重をつくれず(2キロ・オーバー)、山口が勝利した場合は防衛、敗れると王座は空位となる変則タイトルマッチだった。
 またL・フライ級戦は王者・菊地奈々子が1位のジェレミー・タバスタバス(比)に4回TKO勝ち。立ち上がりはタバスタバスのワンツー攻勢がリードしていたが、3回あたりからプレスを強めた菊地は4回に相手をコーナーに押し込んでラッシュ。浦谷主審のストップを呼び込んだ。タイムは1分29秒。菊地(35歳)は「もう一度、富樫(直美)さんとやりたい」と世界王座をかけたリベンジ戦を望んでいる。
 そのほか、日本ミニマム級5位の金田淳一朗(白井・具志堅S)がタナポーン・トーポアンルアムポン(タイ)と8回戦を行い、2回1分52秒TKO勝ち。2回に両者もみ合った際にタナポーンが左腕を痛め、そのまま続行せず、主審がストップを宣したもの。
 なお、この日の興行は日本初の世界チャンピオン、故白井義男さんの追悼イベントとして催された。

内山一夜明け「ホッとしている」


 グラナドスをKOし初防衛に成功したWBA世界S・フェザー級王者、内山高志(ワタナベ)が試合から一夜明けた18日、都内のジムで会見を行った。
 傷のないきれいな顔をした内山は「今回は勝ってうれしい気持ちもあるけど、ホッとしています」とチャンピオンの責任を果たした喜びを語った。その初防衛戦を「イメージどおりの試合だったけれど、ディフェンス面やパンチの力みがあった」と「65点」とやや辛口採点し、「全体的にひとつずつ底上げしていきたい」とさらなる高みを目ざす決意だ。
 次戦について渡辺均会長は現段階で白紙状態だとしたうえで「暫定王者(ソリス)との統一戦が筋ですが、日本人選手ともやりたい。そしてその次にリナレス」と構想を明かした。V2戦の時期は9月あたりをメドとしている。

河野はTKO防衛 東洋太平洋S・フライ級戦 


 内山-グラナドス戦の直後に行われた東洋太平洋S・フライ級タイトルマッチは、王者河野公平(ワタナベ)が終盤の11回、東洋太平洋13位の殿村雅史(角海老宝石)にレフェリー・ストップ勝ちし、3たび王座を守った。
 足を使うサウスポー殿村に対し、河野はボディーから攻める。試合は途中まで拮抗していたが、終盤は河野のプレッシャーが強まり、最期はボディーを攻めて弱らせたところで、顔面を攻めると、レフェリーが試合をストップ。タイムは11回2分28秒だった(写真)。
 おなじく内山-グラナドス戦の前に行われたS・フェザー級8回戦は、元日本S・バンタム級王者で2階級アップして世界を狙う日本1位・福原力也(ワタナベ)が、フィリピン同級1位・フェルナンド・オティック(比)に3-0判定勝ち。3~5点差の文句なしの勝利だったが、本人は「細野(悟)が倒した相手を倒せなくては……」とくやしそう。相手も前戦でタイの世界ランカーにKO勝ちしたばかりで、簡単につかまえられる相手ではなかった。福原が手を出し終わった直後に狙うオティックの左フックから右ストレートを警戒して、思い切った攻めが出来なかったことを反省していた。

ツナミ、江畑に3-0判定勝ち 女子世界王座V2

 内山-グラナドス戦と同じさいたまスーパーアリーナのリングで行われたWBA女子世界S・フライ級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンの天海ツナミ(山木)が江畑佳代子(ワタナベ)相手に終始優勢裡に試合を運び、明白な3-0判定勝ちを飾った。昨年2月に手に入れたタイトルの2度目の防衛に成功。
 江畑が足を使って手を出そうとするのに対し、ファイター型の天海は終始プレスしてポイントを重ねた。公式スコアは、97-92、96-93、98-92と3~6点差で天海の勝利を支持していた(江畑は8回にプッシングの反則をとられて減点1)。写真は右ストレートを決め挑戦者をのけぞらせる王者天海

内山、地元リングでKOV1 WBA世界S・フェザー級戦


 内山、地元リングでKOV1--WBA世界S・フェザー級タイトルマッチは17日夜さいまたまスーパーアリーナで行われ、埼玉出身のチャンピオン、内山高志(ワタナベ)が挑戦者13位アンヘル・グラナドス(ベネズエラ)を6ラウンド右強打で倒し、この回1分42秒TKO勝ち。1月にサルガドを倒して獲得した王座の初防衛に成功した。
 185センチの長身のグラナドスを相手に勝利はともかく苦戦も予想された内山だったが、実際は「もっとやりにくいかと思ったのに、シミュレレレーション通りに戦えました」というほどの内山ペースの展開。下がる挑戦者に終始プレッシャーをかけ続け、ボディーから攻めてガードを落とさせる。3回には右強打を頭部に決めると、一瞬グラナドスの腰が落ちかけた。5回はグラナドスの左フックを食う場面もあったが、ピンチというほどでもない。続く6回、内山の右ロング・フックが決まると、グラナドスもろくも前のめりにダウン。本人は続行のつもりだったが、アバインンザ主審は立ち上がったところでストップをコールし内山のTKO勝ちを宣告した。
 初防衛戦は誰しも苦戦しがちだが、内山は「いつものように戦えました」と、あくまでマイペースで世界戦連続KOを果たしたのはみごと。

2010年5月17日月曜日

プーンサワット、木村メディカルチェック-WBA・S・バンタム級戦

本日(17日)、11時30分よりバンコク市内のホテルでメディカルチェックが行われた。 王者・プーンサワット選手は血圧110/70、脈拍50。一方挑戦者・木村は血圧140/70、脈拍64。 木村の脈拍が64とドクターからアナウンスがあると、大勢の報道陣から木村は「何でそんなに緊張しているのか?」と質問攻めにあったが、木村は「えっ、そんなに高いですか?プーンサワット選手はディフェンスも良く、スピードもある偉大なチャンピオンだが、試合では自分の全力を出し切り、タイトルを奪取したい!」とコメント。 メディカルチェック後、木村はホテル周辺で軽いロードワーク、ミット打ちで調整。大一番に向けて心身ともにピークに近づきつつある。 明日(18日)は王者、挑戦者陣営ともにバンコクから試合地・マハーサーラカーム県に車で移動する。 尚、試合会場のボラブー高等学校内特設会場は立ち見を入れると最大5万人近くが集まる、大会場ということが判明。マハーサーラカーム県内初の世界戦ということで当地はかなりの盛り上がりを見せている。 世界戦は15時30分(日本時間17時30分)頃ゴング予定
(南 健司)※写真・花形ジム提供

2010年5月16日日曜日

ソト地元で初防衛 WBC世界ライト級戦

 WBC世界ライト級王者ウンベルト“ソリータ”ソト(メキシコ)が15日(現地時間)故郷ロスモチスに登場。同国のWBC3位リカルド“ペロン”ドミンゲスに12回判定勝ちで初防衛を果たした。
 ダウンシーンはなし。リングサイドでWBC世界バンタム級新王者フェルナンド・モンティエルが観戦する中、2回、ドミンゲスのワンツーでソトは腰が砕けるピンチ。しかし、このラウンド以外は王者に危ないシーンはなく、コンスタントなプレスでポイントを挙げる。中盤ドミンゲスは左マブタをカットし、鮮血が流れる。それでも最後まで抵抗を続け、大方の予想(ソトのストップ勝ち)を覆した。スコアは118-110が2者に117-112でソトの勝ち。
 勝利は文句ないものの、ややインパクトに欠ける内容に、試合後のソト(52勝32KO7敗2分)に笑顔はなかった。ドミンゲスは31勝19KO6敗2分。

サリド、クルスを攻略 IBFフェザー級

 メキシコのシウダー・オブレゴンで15日(現地時間)行われたメキシコ人同士によるIBF世界フェザー級戦は挑戦者のオルランド“シリ”サリドが王者クリストバル“ラカンドン”クルスに3-0判定勝ちを収め、世界挑戦4度目にしてベルトを獲得した。
 試合は2ラウンドに2回クルスからダウンを奪ったサリドがペースを掌握。手数と的確さで勝るサリドに対して王者は、バッティングと低打のたびにうずくまったり、クレームをつけ、敵地ファンの反感を買う。8回、両者がリングにダイブした時、左目を切ったサリドは以後、出血に悩まされるが、攻勢をキープ。117-109が2者に116-110のスコアで勝利者コールを受けた。
 サリドは一度、ロバート・ゲレロを下してこのベルトの支配者になりかけたが、後日ドーピング検査で違反が発覚し、無効試合になった経緯がある。クルスは4度目の防衛に失敗。

カーン、磐石の米国デビュー KOでV2

 カーンが待望のアメリカ・デビューを果たした。ニューヨーク、マジソン・スクウェア・ガーデンに15日(現地時間)登場したWBA世界S・ライト級王者アミール・カーン(英国)は挑戦者で元このクラスのIBF王者ポーリー・マリナージ(米)に11回TKO勝ちで、2度目の防衛を果たした。
 試合は序盤からワンサイドゲーム。スピードが売り物の地元選手マリナージだが、カーンはそれを上回るジャブ、右ストレートで支配。冷静沈着なカーンは、時折挑発的な仕種を見せるマリナージの動きにも動じない。中盤以降もコーナーに戻るたびに「ビューティフル!」とローチ・トレーナーを唸らせるカーンが危なげなくリード。10回終了時にドクターチェックを受けた挑戦者は次の11回、左でのけ反ったところでストップされた。TKOタイムは1分25秒。
 カーン(23勝17KO1敗)は「私がやるべきことはプレッシャーをかけることだった。すべてはジャブで始まった。みんなマイダーナ(WBA暫定王者)と次やれ、と言う。他のベルトも統一するまで、私はこのクラスで戦う」と気丈に話している。
 セミでは同じくS・ライト級のスター候補ビクトル・オルティス(米)が元ライト級統一王者ネート・キャンベル(米)に10回大差の判定勝ちを収めている。

ウロダルチェク空位のWBC王座獲得

 ポーランドのウッジで15日(現地時間)挙行されたWBC世界クルーザー級王座決定戦は地元期待のクリシュトフ・ウロダルチェク(ポーランド、1位)が2位で前王者ジャコッペ・フラゴメニ(イタリア)を8回TKOで破り、王座に就いた。
 両者は昨年対戦し、ドローに終わっていた。地元で決着を期すウロダルチェクは6回終盤、強烈な右を決めて、40歳のイタリア人を倒す。続く7回、フラゴメニの抵抗で試合は長引くが、8回再びポーランド人がダウンを奪うと、主審が試合を止めた。
 ウロダルチェク(43勝32KO2敗1分)は06年から7年にかけて半年、IBFクルーザー級王者に君臨したことがある。フラゴメニは26勝10KO3敗3分。このベルトは元WBO世界L・ヘビー級王者ゾルト・エルゲイ(ハンガリー)がフラゴメニを下して戴冠したが、ベルトを返上していた。

カツィディス、敵地で圧勝

 WBO世界ライト級暫定王者マイケル・カツィディス(豪州)は15日(現地時間)ロンドンで1位ケビン・ミッチェル(英国)の挑戦を3回1分57秒TKOで退け、初防衛を果たした。
 この試合に備えてタイでトレーニングを積んだカツィディスは3回、無敗のホームタウン・ヒーロー、ミッチェルを一気に追い詰め、連打で滅多打ちにしてストップを呼び込んだ。
 カツィディスは27勝22KO2敗。この暫定タイトルの正規王者はフアン・マヌエル・マルケス(WBAスーパー王者でもある)。プロ初黒星のミッチェルは31勝23KO1敗。有名サッカースタジアムの一つ、アプトン・パークに集まったファンを失望させた。

木村タイに向けて出発

 WBA世界S・バンタム級王者プーンサワット・グラティンデーンジムに挑戦する木村章司ら花形ジム一向が今日16日夕刻の全日空便でタイに向けて出発する。
 政情不安のタイに向かう木村は「まだ行ってからハードルがありそうなので昂ぶりとかはない」とちょっぴり不安そうだが、「調整は順調です。故障もなく、ウェイトもあと500グラムまでに落としました。万が一向こうで動けないといけないですからね。今回は正念場、ただ頑張っても負けたら仕方ないので、勝負どころを逃さず一発当てます。そのためにここまでやってきましたから」と語っている。
 試合は5月20日、バンコクから470キロ離れたマハーサーラーカム県で行われる。

明日ゴング!内山、グラナドス計量パス-三垣の東洋戦は趙の肺炎で中止


 明日さいたまスーパーアリーナ、コミュニティーホールで行われるWBA世界S・フェザー級タイトルマッチの計量が16日午後2時から行われ、王者・内山高志(ワタナベ)が58.9キロのリミット一杯。アンヘル・グラナドスは58.6キロでともに一度でパスした。 また同女子S・フライ級戦は、王者・天海ツナミ(山木)が51.5キロ、挑戦者の江畑佳代子(ワタナベ)が51.4キロとこちらも両者1度でパスした。 
 内山は「コンディションはいつもどおりに万全。相手もしっかり調整してきているようなのでいい試合になると思う。背が高く、顔が小さいのでパンチを当てづらいだろうが、相手のリーチ、背の高さをどう攻略するかにみんな興味があると思う。そこを見てもらいたい。勝つのは自分です」と自信を隠さなかった。 またグラナドスも「3ヶ月間この試合のために練習してきた。内山はいいチャンピオンだが、私が勝っていいチャンピオンになりたい。魂の戦いをしたい」と意欲を示した。
 また予定されていたOPBFライト級タイトルマッチは挑戦者・趙喜在(韓国)が肺炎にかかって来日できず。試合は中止となり、王者・三垣龍次(M.T)はスパーリングを披露することとなった。
 世界タイトルマッチの審判構成は次の通り
WBA世界S・フェザー級タイトルマッチ
レフェリー/シルベストレ・アバインザ(フィリピン)
ジャッジ/ピニット・プラヤドサブ(タイ)、デレク・ミルハム(オーストラリア)、ラウル・カイズ・ジュニア(アメリカ)
WBA女子世界S・フライ級タイトルマッチ
レフェリー/ラウル・カイズ・ジュニア
ジャッジ/ピニット・プラヤドサブ、シルベストレ・アバインザ、デレク・ミルハム
立会人は両試合ともシン・ヤンソップ(韓国)
 第一試合は午後4時30分スタート。試合順は次の通り
1/稲元真理(熊谷コサカ)-藤本奈月(セレス)
2/サラゴサ上間(沖縄ワールド)-船井龍一(ワタナベ)
3/岡田山金太郎(オサム)-ウドムシン・ポーティティマ(タイ)
4/天海ツナミ-江畑佳代子
5/福原力也(ワタナベ)-フェルナンド・オティック(比)
6/内山高志-アンヘル・グラナドス
7/河野公平(ワタナベ)-殿村雅史(角海老宝石)=OPBF・S・フライ級戦

2010年5月15日土曜日

ジンジルクTKOで米国デビュー WBO・J・ミドル級

 欧州ドイツを拠点にしていたWBO世界J・ミドル級王者セルゲイ・ジンジルク(ウクライナ)が米国で王座防衛を果たした。ジンジルクは14日カリフォルニア州サンタイネスで行われたタイトル戦で、挑戦者13位ダニエル・ドウソン(オーストラリア)に10回TKO勝ち。6度目の防衛に成功した。
 これが18ヶ月ぶりの試合となったジンジルクは前半、サウスポースタイルから丹念に右ジャブを突いてリード。当初この日挑戦する予定だったシェルゾド・グサノフ(ウズベキスタン)に代わり挑んだドウソンはヒットが奪えず、ポイント差は開くばかり。中盤から左ストレートとコンビネーションが当たり出した王者は攻勢を持続。10回、劣勢に追い込まれたドウソンにジンジルクの左が直撃されたところでストップがかかった。TKOタイムは2分12秒。
 ブランクを克服して米国デビューを飾ったジンジルク(36勝24KO無敗)は強豪揃いの本場リングで旋風を巻き起こす可能性を秘める。元キックボクシングの王者ドウソンは34勝24KO2敗。

2010年5月14日金曜日

世界チャンピオン会発足 19日にファン感謝祭


 世界チャンピオン会が発足し、19日後楽園ホールのファン感謝イベント(入場無料)に40人近い現元チャンピオンが参加することが明らかになった。14日、ガッツ石松・世界チャンピオン会会長らおなじみの7人の元王者が出席して記者発表を開き、前景気を盛り上げていた。
 世界チャンピオン会は自身元世界王者でもある大橋秀行・日本プロボクシング協会会長の発案で、協会内の組織としてスタートすることになったもの。会長を受諾したガッツ石松さん(元世界ライト級王者)は、「たくさんの世界チャンピオンが一堂に会し、世のため人のため、ボクシング界に貢献できることはないかと模索し、このチャンピオン会を設立しました」と語った。野球の「名球会」のボクシング版のように、チャリティー活動を通じて、社会貢献をしたいと意欲満々だ。この会には引退王者はもちろん、現役選手でも世界王者経験者なら会員となる資格がある。中島成雄・事務局長(元世界L・フライ級王者)によると、会則も作り、故人や海外に帰国したチャンピオンを除く61名のほとんどが入会するという。
 19日は48年前(1952年)のこの日、白井義男がフライ級で日本人初の世界チャンピオンとなった記念すべき日で、いつの頃からか「ボクシングの日」と呼ばれるようになった。今回のファン感謝祭は夕方5時からスタートし、元世界王者らが参加して、トークショーやキッズ対象のボクシング教室、エアーボクシング、女子のスパー等、協会が特に力を入れて取り組んでいる項目をイベントに盛り込んでいる。さらには公式試合も新人王、ヘビー級それぞれ1試合を予定している。
「初めての試みですが、今回だけでなく、長く続けられるようにしたい」と、実行委員長のセレス小林さん(元世界S・フライ級王者)。19日のイベントには、亀田兄弟、内藤大助、坂田健史らのフライ級ライバルも参加するという。
 当日の入場は無料だが、整理券が必要だが、東日本ボクシング協会のホームページから、参加申し込みフォームをプリントアウトして記入し、これを持参すれば入場OKだそうだ。
 写真は記者会見に出席した左から平仲信明、中島成雄、具志堅用高、ガッツ石松、大橋秀行、飯田覚士、セレス小林の世界チャンピオン会メンバー

グラナドスやっぱり185センチ!-予備検診


 14日、WBA・S・フェザー級タイトルマッチに出場するチャンピオン内山高志、挑戦者アンヘル・グラナドス両選手の予備検診が行われ、試合出場に問題なしとされた。      グラナドスは公開練習で身長を184センチと自ら訂正していたが、今検診では185センチ--「とりあえず大きかったですね。顔が小さいけど、デカいなと」というのは内山。もっとも特別脅威に感じているわけではなく、「想像通りです。いつもより当てづらいかもしれないけれど、練習でやってきたことをやるだけ。 試合1週間前になるといつも早く試合をしたいと思います。今回もその気持ちは変わらない。自分がどのくらい強いかまだ分らないけれど、チャンスあれはKOも。判定でも分りやすい試合にしたい。とにかく安定したボクシングをしたいです」と内山。 一方のグラナドスは「内山はビデオで見た感じよりは大きかったが、やっぱり小さい。体格を生かして戦いたい。コンディションに問題はなく、勝ってベルトを持ち帰られると思います」と意欲を示している。
検診の結果は以下の通り
      内山         グラナドス
身長   172.3センチ   185センチ
頚周   36センチ      34センチ
胸囲   92センチ      87センチ
胸厚   24.5センチ    24.5センチ
視力   左右とも2.0    0.9(右)1.0左
リーチ  180.5センチ  192.0センチ
ナックル 左右28センチ  左右29センチ
血圧   114/77    141/88
脈拍  53         57
体温  36.3度     36.7度

WBA女子戦メディカルチェック


 17日、内山-グラナドス戦と同じリングで行われるWBA女子世界S・フライ級タイトルマッチの予備検診が14日行われ、両選手とも的確と判断された。
 2月に続いて2度目の防衛戦となる王者天海ツナミ(山木)が、「(試合が近づき)実感が出てきた。前回同様にしっかり勝つという気持ちです。多くの人に見てもらえるのはチャンス。いいファイトを見てもらいたい」といえば、挑戦者の江畑佳代子(ワタナベ)も「万全です。体格差(江畑はL・フライ級上がり)をカバーする練習をしてきた。それを出せれば、と思います。いい試合ではなく、勝って15年夢見たチャンピオンになりたい」と抱負を述べている。
数値は以下の通り
      天海         江畑
身長   160センチ     162センチ
頚周   31センチ      34センチ
胸囲   80センチ      78センチ
視力   右1.0左0.9   右1.2左1.5
リーチ  159センチ     155センチ
ナックル 左右25センチ   左右25センチ
血圧   115/68     114/79
脈拍   60          55
体温   36.7度      37.2度

2010年5月12日水曜日

内山の挑戦者はベネズエラの庭師


 内山高志の世界王座に挑むアンヘル・グラナドスが今日午後ワタナベジムで公開練習を行った。
 練習前のインタビューでは「体調はいい。時差ボケも問題ない。緊張感? 普通です。どの試合も少しは緊張するものですが、リングに上がればそれはほぐれます。 チャンピオンは力強いボクサーですが、我々は万全です。彼に怖さは感じていません。私は相手次第で短、中、長距離とどの距離もうまく使って戦えます」と自信をほのめかした。
 そのプロフィールは、兄の影響でボクシングをスタートし、アマでローマカップ銅など80勝16敗。ロベルト・デュランやトーマス・ハーンズがアイドルで、体型の似ているハーンズから学んだものもあるという。身長に関してはグラナドス自身から訂正があり「184㌢です」とのとこだが、長身に変わりはない。
 独身ながら娘が一人。ボクシング以外の職業は、庭師をやっており、「ランが好き。これからもこの仕事は続けていきた。標高2000㍍のところで働いています。そこまで走ってもいます」というから、普段から高地トレーニングをしているようなものか。
 細身の身体はウェイトも楽で、「普段でも61,2㌔」だという。この日スパーはなかったが、体操からロープ、シャドー、サンドバッグと一通りの練習を王者陣営の目の前で包み隠さずこなした。特にスピードもなかったが、足が長くワンステップが大きいあたりポジションチェンジは内山の予想を上回るか。
 トレーナーのエクトル・マルティネス氏は新井田豊に挑んだバレラ、井岡弘樹に勝ったホセ・ボニージャなどを育てた実績を持っている。「グラナドスは我々の指示によく従う選手。勝利はベネズエラに持って帰る」とこちらも自信ありそう。このセコンドワークも不気味だ。

メイ☓モズ戦 PPV購買数140万件!

 今月1日ラスベガスで挙行されたウェルター級のビッグマッチ、フロイド“マネー”メイウェザー-“シュガー”シェーン・モズリー戦のPPV購買数が全米で140万件に達したことが、制作、放映したHBOから発表された。一件あたりの単価が約54ドルで、売り上げ金額は7830万ドル。
 購買件数は1999年に行われたウェルター級統一戦フェリックス・トリニダード-オスカー・デラホーヤと同数。これだけでも人気が高かったことを物語る。
 今まで最高を記録した07年のデラホーヤ戦の2、446、000件、復帰戦のマルケス戦の108万件とメイウェザーは3試合連続、百万台の大台を突破。まさに”マネー“の面目躍如といったところか。もしパッキアオ戦が決定すれば、どんな数字が生まれるのか、興味津々だ。

パッキアオ念願叶う。国会議員に当選

 パックマンがコングレスマン(国会議員)になった――。10日投票が行われたフィリピンの国会議員(下院議員)選挙で、5階級制覇王者で現WBO世界ウェルター級王者マニー・パッキアオ(31歳)が当選確実となった。
 地元ミンダナオ島南部のサランガニ州から立候補したパッキアオは、約80%の開票率の時点で、61歳の対立候補に対し2倍の得票を獲得して当確を決めた。定員は1名。ボクシングならTKO勝ちというところか。
 パッキアオは2007年にも下院議員選挙に出馬しており、2度目の挑戦で政界入りを果たした。
 今回はボブ・アラム・プロモーターが終盤の選挙戦を応援にフィリピンに滞在。まだドラッグテストの動向があるが、アラム氏は「メイウェザー戦は早ければ、今年11月に実現すると信じている」と比国メディアに発言。また次戦ではマニー“コングレスマン”パッキアオとコールさせたいことを明かした。

2010年5月11日火曜日

初防衛戦まで1週間、内山公開練習で会長とスパー


 初防衛戦を一週間後に控えたWBA世界S・フェザー級チャンピオンの内山高志が所属のワタナベジムでスパーリングを公開した。 ハードワークを終え昨日から疲れを抜く調整段階に入っている内山は「油断なく、常に万全を期して勝ちにいく。相手はリーチがありパンチを振って来るのでまともにもらわないことが大切。長身だが、僕も無理に距離をつぶして戦うタイプではないので、実際顔をあわせ、どんなものか探って対応したい。(ここ2ヶ月で3本のベルトが流失しているが)僕は僕でしっかりやりたい」と語った。
 スパーリングは長身の相手を想定して、元ミドル級ランカーの渡辺均会長がパートナー。というのは冗談でこれはマスコミ用。実際は同僚の福原力也と軽いが集中力の高いマス・スパーを披露した。 ジムにはグラナドス陣営のマネジャーも偵察に訪れ「内山は強い選手だが、つけ入るスキもある。グラナドスは自身のアドバンテージである長身、リーチを生かして戦いたい」と語っている。
 この試合を放送するテレビ東京では今日から同局ホームページ上で、「内山×グラナドス、勝敗予想クイズ」をスタートさせている。アドレスは  http://www.tv-tokyo.co.jp/sports/boxing/100517/ ふるってご参加を、とテレビ東京
 

2010年5月9日日曜日

マルガリート大差判定でカムバック

 8日(現地時間)メキシコ・アグアスカリエンテスのリングに上がった元世界ウェルター級王者アントニオ・マルガリート(メキシコ)は、ロベルト“ラ・アメナサ”ガルシア(米)に10回判定勝ちを収めた。
 唯一のダウンシーンは初回。マルガリートの左右でガルシアがリング中央に倒れる。バンテージ疑惑でサスペンドされ、1年4ヶ月ぶりの試合となったマルガリートは、2回以降も右ストレート、コンビネーションを決めてリード。不敵にスマイルを浮かべて対峙するガルシアだが、時折パンチを返すのやっと。8回には故意のバッティング、最終回にもラビットパンチで減点を受けた。公式スコアは99-89,100-88,99-90でマルガリート。計量で69キロを計測したマルガリートは、この試合でWBCインターS・ウェルター級王座を獲得した。
 トレーナーに元世界王者ロバート・ガルシアが就いたマルガリートは、パッキアオの次戦の相手候補に挙がっている。
 セミのWBA世界S・フェザー級暫定王座戦は王者ホルへ・ソリス(メキシコ)が挑戦者マリオ・サンティアゴ(プエルトリコ)を3-0判定で下して初防衛。スコアは119-108に118-109が2者。また日本のリングに登場したこともあるウルバノ・アンティロン(米、WBAライト級3位)はWBC・S・フェザー級1位レネ・ゴンサレス(ニカラグア)を2度倒して、10回大差の判定勝ち。

内藤、5回KOで再起

 5月9日、後楽園ホールで亀田興毅戦の敗退以来の再起戦に臨んだ元WBC世界フライ級チャンピオン内藤大助(宮田=元3位)は、リエンペット・ソーウィラポンを5回2分12秒KOで下した。
 出だしこそ堅さが見られた内藤だったが、ラウンドを重ねるごとにペースアップ。5回、ボディーブローでリエンペットを消耗させると、右フックを打ち抜いてダウンを奪う。立ち上がったルンピニーL・フライ級王者に右ボディーをめりこませて2度目。それでも意地を見せるリエンペットに連打を浴びせてストップしている。
 見事な再起を飾った内藤は、「勝って当たり前と思われる試合は難しい。相手はカウンター狙ってきたし、パンチもあった。3回ぐらいから動けてきた。この試合でスタミナが切れることはなかったし、まったく疲れなかった」と笑顔で会見した。王者ポンサクレックと5度目の顔合わせといわれる今後だが、「とにかくこの試合に勝たないといけないから集中してきた。次はこれから考えます」と名言を避けている。
 宮田博行会長も「内藤次第。ファーストオプションはポンサクレックへの挑戦だが、S・フライ級も視野に入ってきます」と語った。
 セミファイナル10回戦は、粉川拓也(宮田=WBC・SF15)がノンポノーイ・パタナカーンジム(タイ)に2回KO勝ち。8回戦は細川バレンタイン(宮田)は迫田大治(横田S=SL5)に1ポイント差の3-0判定破っている。

名城陥落…カサレスに3-0判定負け WBA・S・フライ級戦


 名城防衛ならず――8日大阪府立体育会館第1競技場で行われた名城×カサレス・パート2は、王者名城信男(六島)が1位挑戦者ウーゴ・カサレス(メキシコ)に3-0判定負けし、WBA世界S・フライ級王座3度目の防衛に失敗した。カサレスはWBO・J・フライ級に続く2階級制覇を達成。
 この試合は昨年9月の初戦ドローを受けて行われたダイレクト・リマッチだった。
 立ち上がりの名城はガードをうまく使いながらプレスをかけ、右ボディーストレートからの打ち分けにも好調を感じさせた。しかし4回からカサレスのコンビネーション・ブローが目立ちはじめ、ポイントを挽回。手数と的確さでも名城を上回った。めげずに前進するチャンピオンだが、10回には警戒していた左アッパーを被弾、体勢を崩すピンチ。カサレスは初戦ほどの失速もなく、終盤名城得意の右ストレートが火を噴くことはなかった。
 スコアは117-111が2者に115-113。

東農大、日大に8-1で圧勝 関東大学リーグ戦

 アマチュアの関東大学ボクシングリーグ戦は8日後楽園ホールで一部リーグがスタート。この日は、拓殖大学が7-2で日本体育大学に圧勝したのをはじめ、駒澤大学が法政大学に5-4で勝ち、そして最後は東京農業大学が日本大学に8-1で圧勝した。
 大学王座復帰を期す東農大は、今春入学の新鋭が活躍し、フライ級青木貞頼が重楽昭平に16対3.3のポイント勝ち。ウェルター級吉野修一朗も高橋雄大に11.7 対7.7の ポイント勝ち。かつての常勝日大は、ライト級の戸田が南畑に2回棄権勝ちし、辛くもシャットアウト負けを免れた。
 2部リーグは、専修大学が4-3で大東文化大学を制し、中央大学は4-3で平成国際大学に屈した。
 なおリーグ戦の採点は今大会からAIBA仕様の「Gマシーン」を導入。5人のジャッジの採点の上と下をカットし、残る3人のジャッジの平均値が確定スコアとなる。2部以上はこの方式で採点が行われている。

2010年5月8日土曜日

宇都宮ジム黒須会長逝く

 宇都宮ボクシングジム(栃木県宇都宮市)の会長、黒須照男氏が4日午後6時45分、肺炎のため亡くなった。66歳だった。
 黒須会長は宇都宮出身。日本最初のジム日本拳闘倶楽部の流れをくむ日クジムに入門してボクサーとなり、昭和30年代後半に「宇都照也」のリング名で、ウェルター級のランキング選手として活躍した。61年度の全日本新人王獲得。チャンピオン級に勝ちタイトル挑戦を目前にして、目を傷めたため64年に引退。その後、1970年代に地元に「新日本宇都宮ジム」の名前でプロジムを設立。長年ボクシング界に貢献してきた。
 故・黒須照男氏の葬儀次第は下記の通り。
 通夜  5月7日(金) 18時より
 告別式 5月8日(土) 11時より12時まで
 式場はいずれも宇都宮市鶴田町2041の「サルナート浄邦」(電話028-647-2211)西式場。喪主は夫人の和子さん。

亀海初の月間MVP 荒川は敢闘賞

 東日本ボクシング協会は6日、4月度の表彰選手を発表。最優秀選手には、12日の日本スーパーライト級タイトルマッチで、王者小野寺洋介山(オサム)を9回で倒して新王座についた亀海喜寛(帝拳・27)を選んだ。亀海は同賞初受賞。
 同じく敢闘賞には、22日の日本ライト級タイトルマッチで、王者近藤明広(日東)に判定勝ちして新チャンピオンになった荒川仁人(八王子中屋・)、同じく新鋭賞には、23日の6回戦で、道産子ファイター早坂(ワタナベ)に判定勝ちした日本フェザー級12位の緒方勇希(角海老宝石)がそれぞれ選ばれた。6月5日、後楽園ホールの試合の際に、表彰式がとり行われる。

亀田大×坂田戦は協栄ジムが落札

 WBA(世界ボクシング協会)は4日(現地時間)ラスベガスでプロモーターが決まらない指名試合3試合の「入札」を行った。注目のフライ級は、王者亀田大毅(亀田)対元王者坂田健史(協栄)の指名戦で、予想通り坂田を擁する協栄プロモーション(協栄ジム)が落札し、試合の興行権を手に入れた。
 最低提示額8万ドルとされたこの試合の入札には、協栄ジム金平桂一郎会長が参加。一方の亀田側は五十嵐紀行・亀田ジム会長、亀田史郎・亀田プロモーション社長とも日本ボクシングコミッションによりサスペンドされていることから参加せず。代わりに、メキシコのプロモーターが代理人として参加した。入札の結果、協栄プロモーションは31万5千ドル(約3000万円)を提示して落札。亀田側の代理人とみられるメキシコ人プロモーターは、WBAの入札参加条件を満たしていなかったため、正式に入札できなかったという。
 この結果、亀田-坂田戦のプロモート権を得た協栄プロモーションは7月24日か25日、もしくは31日に試合を行いたいとしている。亀田側は現在ファイトマネーの未払いを訴えて協栄ジム側を相手どって裁判中であり、当事者である協栄側とやることはないと断言してきたが、このままではタイトルのはく奪の可能性も出ており、決断が迫られる。帰国の金平会長によると、24日までに意思表示する必要があるとのことだ。
 なお、世界選手権規則により、落札額の31万ドルは、両選手の試合報酬となり、75%がチャンピオンの亀田大毅に、残りの25%が挑戦者という配分になっている。

2010年5月7日金曜日

いくぞV3 王者名城、準備完了


 因縁の再戦が目前となった。WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦は、大阪府立体育会館で8日にゴング。7日は前日計量が、大阪・なんばの「ヤマダ電機 LABI1なんば館」で一般公開される形で行われた。
 3度目の防衛を目指す王者名城信男(28=六島)、指名挑戦者の同級1位ウーゴ・カサレス(32=メキシコ)とも、上限の52・1キロ(115ポンド)で一発でクリア。7カ月ぶりの再戦に向けた準備は完了した。
 ガッツポーズで自慢の肉体美を誇示した名城は「体調はすごくいい。(再戦で)手の内が分かっているのはお互いさま。今回はわかりやすい形で、しっかりとKOで勝ちたい」と自信をのぞかせた。減量も早めに開始したおかげで、順調に進んだという。
 一方、WBOライトフライ級王座に続く世界2階級制覇がかかるカサレスも「非常に調子がいい」とアピール。検診での体温は37・5度とやや高めだったが、計量後はさっそくスパゲティを口に運んでいた。7カ月前は挑発を繰り返した挑戦者だが、今回はなし。謙虚な態度を崩さなかった。
 また試合当日の前座は「ヘビー級祭り」と銘打たれ、国内では珍しいヘビー級4試合が開催。06年12月に国内ジム選手として初めて世界ヘビー級王座に挑戦したウガンダ出身のオケロ・ピーター(緑=挑戦時のリングネームはMG・ピーター)らが出場する。
 計量前の検診(名城、カサレスの順)
 ▽体温 36・4度、37・5度
 ▽脈拍 68、69
 ▽血圧 124/86、124/66

名城×カサレス2、友好ムードで調印


 8日のWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦(大阪府立体育会館)の予備検診と調印式、共同記者会見が6日、大阪市内のホテルで行われた。検診結果では、3度目の防衛を目指す王者・名城信男(28=六島)が、挑戦者の同級1位ウーゴ・カサレス(32=メキシコ)を身長で2・8センチ上回った。その他はリーチで0・5センチ差など、両者似かよった体格だった。ジャッジ三者三様のドローだった前回(昨年9月30日)試合時に比べ、各数値に大幅な変化は見られなかった。
 直後の調印式と会見では舌戦を繰り広げた7カ月前と異なり、今回は両陣営とも友好的な雰囲気のまま進行した。名城は「試合の展開、流れを見極めて、勝負どころで前に出たい」と戦略の一端をのぞかせた。
 一方のカサレスは「いいコンディションに仕上がっている。その成果を見せられるはず」とWBOライトフライ級王座に続く、世界2階級制覇に自信を見せた。
 7日には前日計量が大阪・なんばのヤマダ電機 LABI1なんば館で、13時から行われる。一般ファンにも公開される。
 以下は検診結果(名城、カサレスの順)
 ▽身長 165センチ、162・2センチ
 ▽首回り 35センチ、36センチ
 ▽胸囲 87センチ、85センチ
 ▽胸厚 18・5センチ、18・5センチ
 ▽視力 左右とも0・9、左右とも1・5
 ▽リーチ 162・5センチ、163センチ
 ▽ナックル 左右とも25センチ、左右とも26・5センチ
 ▽血圧 119/79、117/69
 ▽脈拍 50、38
 ▽体温 35・7度、36・3度

2010年5月4日火曜日

久高、タイで逆転勝ち!8回1分26秒TKO


4日タイ・スラタニで行われたWBCインター暫定フライ級王座決定戦は、8回途中までは地元のパノムルンレック・グラティンデーンジムがリードしていた。左ボディー、そして得意パンチの左ストレートを入れて4回終了時点で40-36,39-37,40-36。ところが8回1分過ぎ、久高寛之(仲里・ATSUMI)の右ストレートがパノムルンレックの顔面を強打して形成は一気に逆転。ふらつくパノムルンレックに連打を入れてダウンをとり、パノムルンレックが立ち上がったもののふらつく姿を見てレフェリーが試合をストップ。久高は劇的な逆転勝ちでWBC1位を下した。
  大殊勲の久高は「減量の影響か足が思うように動かなかったが相手のパンチはガードできていたので一発を狙っていた。次は世界王者を狙いたい」と語り、仲里会長は「次はポンサックレックの王座挑戦を打診しています」。ホームで敗れたパノムは「顔に入ったパンチ以降のことは覚えていない。プロモーターがOKしてくれれば復帰して久高と再戦したい」。久高は「日本で戦うなら受ける」というが今回のは日本未公認タイトル。

今日ゴング、久高タイでWBCインター暫定戦

 久高寛之(仲里・ATSUMI)がWBCフライ級1位パノムルンレック・グラティンデーンジム(タイ)と空位のWBCインターフライ級暫定王座を争う1戦は4日午後タイ・スラタニで行われる。 昨日行われた計量はともにパス。両者は07年5月に対戦しており、久高は敵地にもかかわらず好勝負を演じている(判定負け)だけに、雪辱と世界戦線上位進出に意欲たっぷり。「世界戦を想定して体を作ってきたので自信がみなぎっている。自分を信じていけば必ずいい結果が出ると思う。パノムルンレックとの試合の後自分は世界戦などより厳しい経験をつんできたのでキャリアが違う。この試合に勝って自分を一回りも二回りも成長させたい」と語った。またポンサクレックの後輩であるパノムルンレックは「久高は今まで自分が戦ってきた中では一番強い選手だったが、これまで練習してきた自分を信じて戦います。」とこちらも当然譲る気配はない。試合は現地時間午後3時半予定(日本時間午後5時半)。
 身体検査の結果は両者問題なし。数値は以下のとおり 久高:血圧138/89、脈拍56回/分パノムルンレック:血圧130/80、脈拍60回/分

2010年5月3日月曜日

「チーム・モンティエル」がサポート カサレス公開練習


 8日に大阪府立体育会館で行われるWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチで、王者名城信男(28=六島)に再挑戦する同級1位ウーゴ・カサレス(32=メキシコ)が3日、大阪市内の六島ジムで練習を公開した。名城陣営の枝川孝会長と藤原俊志トレーナーが視察する中、シャドー、ロープワーク、サンドバッグ打ちなどを入念に約1時間こなした。スパーリングは行わなかった。
 両者は昨年9月30日以来、約7カ月ぶりのダイレクトリマッチで、前回は三者三様のドロー。カサレスは「こないだの試合前には左足に痛みがあったが、今度はベストコンディションで臨める。スパーリングは150回ほど積んで、きちんと準備してきた。勝つのは自分」と変わらず自信満々だ。
 チーフトレーナーは日本武道館で長谷川穂積を下したフェルナンド・モンティエルの父マヌエル氏。他にもモンティエルの2人の兄など、「チーム・モンティエル」が大挙東京から大阪入りして、カサレスをサポートしている。
 カサレスはこの日メキシコに帰国したモンティエルから、テレビ電話を通じて激励を受けたという。「モンティエルの試合を見て、いいモチベーションになった」とニヤリ。ただ「今度は私とナシロの戦い。決してイージーではない」と気を緩める気配はなかった。
 その後、WBAの規定に従い、両者の試合5日前計量がJBC関係者の立ち会いのもとで行われた。

八重樫ダウン挽回、苦闘のV2 日本ミニマム級戦

 1日夜後楽園ホールのダブル日本タイトルマッチ、メインのミニマム級戦は、王者八重樫東(大橋)が“徳山昌守二世”の 呼び声高い挑戦者(同級1位)武市晃輔(金沢)の左強打に初回ダウンを喫するピンチに立ったが、その後挽回して3-0判定勝ち。昨年獲得した王座の2度目の防衛に成功した。
 初回終盤、武市の左フックを浴びて尻もちをついた八重樫。2回にもサウスポーにシフトした武市の左ストレートを食うなど苦しいスタートを切ったが、すぐ軌道修正を図る。4回以降は武市の強打を外しながらプレッシャーをかけ続け、徐々に失点を挽回して行く。
 好選手武市は最後まで手を出し続けたものの、八重樫のボディー攻めに後半ややペース・ダウン。チャンピオンは連打で試合の主導権を確保すると、7回には右ストレートをクリーンヒットして相手を大きくのけぞらせると、すかさず追撃の連打を浴びせて攻勢を印象づけた。
 オフィシャルのスコアは、97-94(吉田)、95―94(土屋)、96―94(安部)と1~3ポイント差で八重樫の勝ちを支持していた。

メイウェザー、モズリーに快勝。パッキアオ戦へ前進

 1日(現地時間)ラスベガスのMGMグランドで行われた注目のビッグマッチ、フロイド“マネー”メイウェザー(米)-“シュガー”シェーン・モズリー(米)のウェルター級12回戦は、直前の賭け率で4-1で有利だったメイウェザーが大差の判定勝ちを飾った。
 またしてもメイウェザーが超絶のスキルを見せつけた。2ラウンド、モズリーの右強打を浴び、2度ほどダメージを受けたメイウェザーだが、そこを乗り切ると高速パンチでペースを掌握。毎回のように右ストレートをモズリーの顔面にクリーンヒットしてポイントをピックアップ。決定的なダメージは与えられなかったが、モズリーに2回の再現シーンは訪れなかった。公式スコアは2ジャッジが119-109、もう一者も118-110と大差がついた。
 試合はモズリーが勝利した場合のみ、WBA王座の防衛という設定。勝ったメイウェザーにベルト贈呈はなかった。モズリーのベルトは正規王者ヴァチェスラフ・センチェンコ(ウクライナ)がそのまま継承するもよう。
 メイウェザーは「父(フロイド・シニア)と叔父(ロジャー)が立てた作戦を実行した。それは前半アウトボクシングして、後半はプレスをかけること」と発言。またメディアがパッキアオ戦に関して質問攻めすると、「もし彼が血液と尿検査に応じれば、我々は戦う」とこれまでの態度は変えなかった。それでも同時に「私はその時点のベストの選手と戦う」と公言しており、難敵モズリーを撃退したことで、いっそう両者の対決機運が増した、と見てよさそうだ。(三浦勝夫)
=PHOTO/SUMIO YAMADA=


2010年5月2日日曜日

「前半を五分以上で」 名城が公開練習


 約7カ月ぶりの再戦迫る――。8日に大阪府立体育会館で3度目の防衛戦を行うWBA世界スーパーフライ級王者の名城信男(28=六島)が2日、大阪市内の所属ジムで報道陣に向けた公開練習を行った。
 コンビを組むエディ賞トレーナーの藤原俊志トレーナーとのミット打ちに始まり、2回のスパーリングも披露。構えをスイッチさせる挑戦者の同級1位ウーゴ・カサレス(32=メキシコ)を意識して、サウスポーのパートナーと相対した。減量は残り2・5キロで順調といい、動きに軽快さも感じられた。スパーリングは計130回ほど積んだという。
 カサレスとは昨年9月30日以来のダイレクトリマッチ。前回は最終回にダウン寸前まで追い込んだが、採点は三者三様の悔しいドローだった。名城は「前半をいかに五分以上で乗り切るかが大事」とポイントを掲げ「今度はしっかりとした形で勝ちたい」と完全勝利を誓った。
 また名城は、先月30日に東京・日本武道館でWBO世界バンタム級王者モンティエル(メキシコ)に4回TKOで敗れた前WBC世界バンタム級王者の長谷川穂積(真正)から、試合後に激励のメールが届いたことも明かした。同じ関西の世界王者として、勝利へのモチベーション材料になったようだ。
 カサレスはモンティエルとともに先月19日に来日。名城戦に向けた準備を東京で進めてきており、1日に大阪入りした。カサレス陣営はこの日の公開練習に姿を見せなかった。

2010年5月1日土曜日

佐藤が暫定王者 日本S・フライ級


 1日後楽園ホールで行われた日本S・フライ級暫定王座決定戦は、同級1位の佐藤洋太(協栄)がWBA11位翁長吾央(大橋)に7回32秒TKO勝ちし、暫定ながら初のタイトルを獲得した。
 下馬評を裏切る佐藤の見事な試合ぶりが光った。立ち上がりは硬さが見られ、サウスポー翁長のスムーズな左カウンターに押されたが、積極戦法にチェンジした3回4回と、右ストレートをたびたびヒット。主導権を握るとさらにピッチを上げ、翁長の左目を腫らせていった。迎えた7回、またも右を当てたところで翁長にこの試合2度目のドクターチェックが入り、続行不可能と判断された。傷が佐藤の打撃によるものだったため、ルールにより佐藤のTKO勝ちとなった。
 暫定チャンピオンとなった佐藤(26歳)は「本当にうれしい」と喜びを語った。18勝10KO2敗1分。規定により、次戦は負傷で戦線離脱中の正規王者・中広大悟(広島三栄)との統一戦になる。一方、戴冠ならなかった翁長はプロ初黒星(15勝11KO1敗1分)。
 この日はほかに大橋ジムの細野悟、岡田誠一がそろって再起戦リング。
 細野(WBA・S・バンタム級9位)はソニー・フォニー(インドネシア)を3回に2度倒してTKO勝ち。1月の世界挑戦(対プーンサワット)からの再起を飾った。また2月の日本S・フェザー級戦(判定負け)以来のリングとなった岡田はインドネシアのアビ・メティアマンと対戦。3回に左ボディーフックで仕留めたが、2回に右フックでダウンさせられるなど、こちらはヒヤリとさせられた。

アリゾナ州の移民規制法にWBCが抗議

 米国アリゾナ州で可決された非合法移民に対する規制法に、WBCが強く抗議。ホセ・スライマン会長が4月29日(現地時間)声明文を発表し、メキシコ人ボクサーが同州で予定される試合をボイコットする決定を下した。
 アリゾナ州は4月下旬、外見で不法移民と判断された場合、警察官が職務質問し、合法滞在が証明するものを携帯していなければ、逮捕が可能という法律が成立した。
 これに対してメキシコ人や人権団体が激しく反発。アリゾナ州やカリフォルニア州を中心に反対運動が続いている。スポーツ界でもフェニックスに本拠地があるメジャーリーグ、ダイヤモンドバックスのゲームの観戦を控える動きが出ている。

長谷川5年の王座に別れ “統一戦”はモンティエルが4回TKO勝ち


 30日、日本武道館で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチ、チャンピオン長谷川穂積(真正)-WBO王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)の一戦は、モンティエルが4回2分59秒で長谷川をストップした――。
 WBC王者長谷川とWBO王者モンティエルの“統一戦”。歴史的ファイトは期待通りの好試合だった。序盤から互いにスピードとフェイントを駆使し、緊迫した攻防が続く。どちらも相手をピンチに追い込むようなヒットはなくとも、その駆け引きでファンをうならせた。そんな展開で4回途中までは長谷川がややリードしていたのだが……この回終了10秒前を告げる拍子木が鳴った瞬間だった。左を打った長谷川のバランスが一瞬崩れたところをモンティエルの左フックが急襲。被弾した長谷川がロープへと後退したのを見逃さず、モンティエルはここぞと追撃。意識の飛んだ長谷川をローレンス・コール主審がモンティエルの連打から救った。長谷川の好調スタートから一転、まさかの結末に武道館1万1千人のファンが凍りついた。
 長谷川はウィラポンから奪った王座の11度目の防衛に失敗。同時に5年間の王位に別れを告げた。控室では「最後は気を抜いたところにもらったのかもしれない。(意識もあって)何で止めたのかと思ったが、映像で見て、あれだけもらってたら仕方がない」と潔かったが「悔しさはある」と話したところで涙した。それでも最後まで「最高の状態をつくった。負けましたけど言い訳はできない。今日の試合は試合で満足している」と気丈に話した。モンティエルとのリマッチを希望するか、との問いには「できるならやりたいけど」と語っている。
 結果は日本のファンにとってショッキングなものだったが「これぞ世界戦」という格調高い一戦だった。勝者モンティエルはWBO王座2度目の防衛に成功するとともに、待望のグリーンベルトを腰に巻いた――。

女子統一戦、地元崔が辛勝 WBAフェザー級


 30日韓国の水原で行われたWBA女子世界フェザー級チャンピオン統一戦は、正規王者の崔賢美(チェ・ヒョンミ=韓国)が暫定王者クラウディア・アンドレア・ロペス(アルゼンチン)と10回接戦の末、2-1判定で辛くも勝利をゲットし、晴れてチャンピオンを統一した。
 ジャッジの採点は、2人が96-95の1点差で崔の勝ちを支持し、残る1人は98-93の大差でロペスの勝ちとしていた。勝った崔はこれで4勝1KO1分。ロペスは14勝3KO5敗。
 写真は、ロペスの顔面に右ストレートを打ち込む崔(右)=PHOTO/CHO,EUN-SANG=