2010年9月30日木曜日

王者体温38度!?-WBA・S・バンタム級予備検診

 10月2日、後楽園ホールで行われるWBA世界S・バンタム級タイトルマッチの予備検診が都内の病院で行われた。 王者プーンサワット・グラティンデーンジム、挑戦者・李冽理の数値は以下の通りだが、目だったのは38度という王者の体温と脈拍数。もっともドクターによれば減量の影響など見受けられず、王者に言わせれば、午前中に40分ほどのランニングと10分のミット打ちをしたからではないか、という。
 王者は一昨日の公開練習で発言したとされる「2回でKOする」というコメントを訂正した。「日本の報道を訳してもらって驚いた。僕はそんなことは言っていないし、そんなことを言う人間ではない。挑戦者は十分危険な相手だと警戒しています」(プーンサワット)。 発言を撤回された李は「そんなことを言われても……」と苦笑。初対面で王者にオーラを感じたかと問われると「僕のほうがオーラが出ていたんじゃないですか」とジョーク交じりの応対で、リラックスした様子に調整の順調さを感じさせた。計測では自身が思っていたより身長が1センチ伸びており、体格のアドバンテージを生かして戦いたい、と語っている。
     プーンサワット    李
身長   163.6㌢     173.9㌢
頚周   38㌢        35.5㌢
胸囲   89.5㌢      87㌢
胸厚   21㌢        21.8㌢
視力(右/左)0.7/0.9  0.7/1.0
リーチ  165㌢       173㌢
ナックル 27/27      27.5/27.8
血圧   122/77     118/76
脈拍   87          63
体温   38度        36.8度

39歳嶋田が比国選手に2-1判定勝ち 

 嶋田ヒヤリ……。3度目の世界挑戦を目指す39歳のベテラン嶋田雄大(ヨネクラ・WBA世界ライト級15位)が調整試合で意外な苦闘。29日後楽園ホールでのメインカードでフィリピンS・フェザー級9位マイク・トゥンバガにダウンを喫し、辛くも2―1の判定勝ち。試合後世界挑戦の具体的な話が出るのではという期待もあったが、「情けない……これでは内山さんに挑戦だなんて恥ずかしくて言えない」と悔しがっていた。
 国内ランキング下位、しかもこれまでの戦績が「11勝11敗2分」でKO勝ちが0と聞けば、誰だって嶋田の早い回のKO勝ちを期待したくもなろう。ところが、「あれ(記録)はウソでしょう」と嶋田がビックリするほど、トゥンバガが強かったのだ。
 これもパッキアオ効果なのか、最近は格下でもフィリピン選手は頑張るという評判が定着しつつある。トゥンバガも立ち上がりから荒々しく右ストレート、左フックと手を出し、しかも守りもいいので嶋田もなかなかスキをつけない。6回にはダックしたところに右を打ちおろされ、思わず手をついて8カウントを取られた。この直後に右を痛打してあわやダウンのチャンスもつかみかけたが、これは追撃できず。得意のジャブをヒットし続けたものの、結局最後まで消化不良のままラウンドを重ねた。スコアは2人が96-94(浅尾)、97-93(染谷)で嶋田の勝ちにしたが、残る1人は逆に97-94(土屋)でトゥンバガの勝ちというスプリット・デシジョン。嶋田は中盤に右拳を痛めるアクシデントもあったが、それにしても際どい勝利だった。嶋田の戦績は25勝16KO5敗1分。
 セミのS・フライ級10回戦では、日本同級7位・白石豊土(協栄)がジムの先輩坂田健史ばりのしつこいインファイトで同級5位・杉田純一郎(ヨネクラ)を7回終了TKOに追い込んだ。またS・バンタム級8回戦では、土居コロニータ伸久(ヨネクラ)がタイのデンチャット・ウォーオンシーに3回1分49秒TKO勝ちを飾っている。

2010年9月29日水曜日

打倒プーンサワットに自信 李が好調をアピール

「早く試合がしたい。最強のチャンピオンと呼ばれているので、これに勝ったら本物のチャンピオンになれる。死に物狂いでベルトを獲りにいく!」
 2日の後楽園ホールでWBA世界S・バンタム級王者プーンサワット・グラティンデーンジム(タイ・29) に挑戦する同級14位の李冽理(横浜光・29)が29日午後横浜市鶴見区の所属ジムでメディアに練習を公開した。スパーリングはせず石井一太朗会長代行(元東洋太平洋ライト級王者)を相手に軽く1ラウンドのマスボクシングを披露した。=写真=
 前日プーンサワットが「2回以内にKOする」と予言したが、これに対して「足元をすくわれないように気をつけて」と忠告する余裕も。同時に「僕は12回を丸々使うつもりで準備している」とマイペース。自身未経験の長丁場を乗り切るために取り組んだスタミナ対策も うまく行ったようだ。フェザー級から1階級落とす懸念についても、「今は全く問題ない。最初からS・バンタム級で」と好調をアピールしていた。
 試合当日後楽園ホールには「絶対に(ベルトを)獲れ」と言われている兄貴分の徳山昌守さん(元WBC世界S・フライ級王者)も大阪から応援に駈け付け、また6百人近い後援者がホールのリングサイドで熱く李を応援する。

原、輪島ら決勝進出 東日本新人王準決勝 

 東日本新人王トーナメント準備決勝戦の2日目が28日後楽園ホールで行われ、12階級の決勝出場者が出揃った。ミニマム級注目の元アマ高校王者原は、大平の力強い抵抗に遭いKOは逸したが、文句なしの判定勝ち。また輪島功一会長(元世界J・ミドル級王者)の息子大千はウェルター級の激闘で藤中をダウンさせ判定勝ち。前夜の勝者と、11月3日同じリングで行われる決勝戦で新人王の栄誉を争奪する。28日の結果は下記の通り。
MM級 原隆二(大橋) 判定 大平 剛(花形)
LF級 多打魔鎖獅(TI山形) TKO1R22秒 西田拓真(ワタナベ)
F級  平 龍太郎(石神井スポーツ) KO1R2分6秒 金子達也(横浜光)
SF級 清水大樹(横浜光) TKO4R2分24秒 冨田正俊(川島)
B級  高橋康弘(ドリーム) 2―0判定 中川とん虎(渡嘉敷)
SB級 コーチ義人(角海老宝石) 判定 高橋謙太(協栄)
Fe級 関豪介(角海老宝石) 判定 木村昌憲(宮田)
SFe級 荒井 翔 (ワタナベ) 2―1判定 中間勇輝(横浜光)
L級  土屋修平(角海老宝石) KO1R43秒 林和希(八王子中屋)
SL級 高橋光政(角海老宝石) 2―0判定 鈴木宏隆(ワタナベ)
W級  輪島大千(輪島功一スポーツ) 判定 藤中周作(金子)
M級  伊藤修平(ドリーム) KO1R2分44秒 星野泰幸(相模原ヨネクラ)

2010年9月28日火曜日

安慶名、堀らが不敗で決勝進出 東日本新人王準決勝

 東日本新人王トーナメントは27日後楽園ホールで準決勝第1日目が行われ、04年度高校総体優勝の堀陽太(横浜光)が林涼樹(三谷大和スポーツ)との全勝対決を2-1判定に下し、決勝進出を決めた。12階級の試合結果は下記の通り――。
MM級 安慶名健(横浜光) TKO4R1分40秒 松川真也(T&T)
LF級 山口隼人(湘南RYUJU) 判定 藤井敬介(宇都宮金田)
F級  堀 陽太(横浜光) 2-1判定 林 涼樹(三谷大和スポーツ)
SF級 佐藤宗史(石神井スポーツ) TKO2R1分23秒 龍ケンシロウ(野口)
B級  堤 英治(ONE・TWOスポーツ) KO1R1分4秒 伊藤直行(勝又)
SB級 大橋健典(角海老宝石) 判定 河野洋佑(新日本木村)
Fe級 小野田昌史(ワタナベ) TKO2R1分7秒 温水祥平(石川)
SFe級 高畑里望(ドリーム) 判定 天沼圭介(ワタナベ)
L級  中澤将信(帝拳) 引き分け 島村唯将(オサム)
     ※新人王規則により中澤の勝者扱い
SL級 山田智也(協栄) 判定 宮崎辰也(マナベ)
W級  林 欽貴(E&Jカシアス) TKO4R1分12秒 清水友輔(マーベラス)
M級  岩﨑和雄(ロッキー) KO2R53秒 井上義夫(E&Jカシアス)

2010年9月27日月曜日

富樫の相手“金髪娘”が予備計量パス


 10月2日メキシコのグアダラハラで防衛戦を予定するWBC女子L・フライ級王者富樫直美(ワタナベ)の相手、同級シルバーベルト王者イルマ・サンチェス(メキシコ)が試合1週間前の予備計量を無事クリアーした。試合をプロモートする「HGボクシング」の伝えるところでは、サンチェスはフライ級リミットに近い、51.10キロを計測したとのこと。リミット5%増の最大限度54.80キロを大幅に下回った。
 “グエリータ”(金髪娘)のニックネームで呼ばれるサンチェス(22歳)は、これまで18勝5KO3敗1分。
 最近、メキシコ・ボクシング界の一大勢力として台頭中のエクトル・ガルシア氏が主宰するHGボクシングの興行。富樫-サンチェスとダブルメインエベントで、WBC・S・フライ級3位ホセ“グーフィー”モンテス(メキシコ)と4位シルベスター・ロペス(比国)が王者トマス・ロハスへの挑戦権を争う。また同地グアダラハラを拠点にする日本人ボクサー、サカイ・ショーキ(3勝2KO)も登場予定だ。

長谷川&粟生そろって2階級制覇挑戦へ 11.26名古屋で挙行

 ダブルで2階級制覇だ――長谷川穂積、粟生隆寛の世界戦発表会が27日、名古屋市内のホテルで行われた。11月26日(金)、名古屋市の日本ガイシホール(旧レインボーホール)で、長谷川はメキシコのフアン・カルロス・ブルゴスとWBCフェザー級王座を争い、粟生はWBC・S・フェザー級王者ビタリ・タイベルト(独)に挑む。ともに2階級制覇をかけたダブル世界戦が日本で開催されるのは初めて。
 長谷川(29歳)は4月にモンティエルに敗れてバンタム級王座を失った後、2階級上げての再起即挑戦となる。長谷川の山下正人・真正ジム会長によると、オファーしていたモンティエルとの再戦交渉が実らず、それならば減量苦から解放するためにフェザー級に転級を決めたという。同級はエリオ・ロハスが負傷により休暇王者扱いとなっており、最新ランクで2位に入った長谷川と1位ブルゴスの間で正規王者決定戦が行われることになった。
「モンティエルと戦えれば一番よかったが、できないのならば前に進もうと思った。モンティエルと戦う運命にあるならば、いずれ戦うことができると思う。いまは11月26日にチャンピオンになることしか考えていない」。長谷川は現在の心境をそう語った。体重リミットが53.5キロから今後は57.1キロになることで「バンタムの時にできなかった自分のボクシングができる」(長谷川)と意気込む。もっともフェザー級は初体験で「正直、どうなるか分からない。おそらく一番厳しい試合になると思う」とも話した。「世界戦がそんなに甘くないのは分かっている。それでも一生懸命トレーニングをしてベルトを獲りたい」――。
 一方の粟生(26歳)はすでに内定していたとおり、タイベルトへの挑戦。フェザー級タイトルを失ったロハス戦に続き、元トップアマ(タイベルトはアテネ五輪銅メダリスト)との対戦となるが「好戦的で前に出てきてくれる。かみ合うし、おもしろい試合を見せられると思う」と自信を見せた。兄貴分の長谷川と同じ会場で世界戦に臨むのは2008年10月以来。前回はラリオスに敗れたことに触れ「今度こそ(自分が勝って)いい流れをつくり、長谷川さんにバトンを渡したい」と決意を述べた。
 浜田剛史・帝拳プロモーション代表によると、長谷川の相手ブルゴスは「左で相手を崩してから攻める。打たさずに打つ」というタイプで、タイベルトについては「基本がしっかりしており好戦的。だが相手が打ってきたらパッと下がるところもあり、相手に力を出させないタイプ」とのこと。「両選手とも世界最高峰の技術を持っている」と評した。ブルゴス(22歳)は25勝18KO不敗の右ボクサーファイターで今回が初の世界戦出場。タイベルト(28歳)はカザフスタン生まれでドイツに帰化しアテネ五輪フェザー級銅メダル獲得。09年にWBC・S・フェザー級暫定王座に就き(後に正規王者に昇格)、現在1度防衛中の右ボクサーファイター。20勝6KO1敗のレコードを持っている。
 ちなみに名古屋で開催される世界戦は05年のマルティン・カスティーリョ-石原英康戦以来となる。当日は日本テレビ系で夜7時からゴールデンタイム放送予定。

2010年9月26日日曜日

ガルシア2-0辛勝 WBO暫定初防衛


 メキシコ・ティファナで25日(現地時間)行われたWBO世界J・フライ級タイトルマッチは、王者ラモン・ガルシア・イラレス(メキシコ)が挑戦者マヌエル“チャンゴ”バルガス(メキシコ)にマジョリティー・デシジョンで勝ち、初防衛を果たした。
 サウスポーのガルシアがワイルドな左を武器に序盤をリード。早くも口を開けて対峙するバルガスは、右目を切り、後手に回る。しかし挑戦者は旺盛な気力で挽回。前進して右の的中率を上げ、食いさがる。これを脚を駆使したアウトボクシングで凌いだガルシアだが、バルガスのプレスに押され、終盤は打ち合いに巻き込まれるシーンが多かった。
 公式スコアは最初、114-114に115-113が2者で、バルガスの王座獲得と発表されたが、これはリングアナウンサーのミステイク。即、立会人がミスを指摘し、同じスコアでガルシアの勝ちと訂正された。
 同じリングのライト級10回戦は前WBC世界S・フェザー級暫定王者ウンベルト・グティエレス(メキシコ、現WBC6位)が、WBCライト級6位レネ“チリソ”ゴンサレス(ニカラグア)に3-0判定勝利を収めた。スコアは98-92が2人に99-91でグティエレスの勝ち。(三浦勝夫)

大毅が坂田に判定勝ち WBAフライ級初防衛


 25日東京ビッグサイトで行われたWBA世界フライ級タイトルマッチは、王者・亀田大毅(亀田)が5位挑戦者の坂田健史(協栄)に3-0判定勝ちし、初防衛に成功した。
 前半は坂田のアグレッシブな手数の攻勢が冴えた。左リードから接近し右ストレートを好打。大毅は左フック強振などで迎撃するが、挑戦者の動きに押され気味になる。7回坂田はバックステップを駆使し距離を取る戦法にチェンジ。左アッパーをまじえたコンビネーションで大毅に鼻血を出させるが、この回を境に王者は追い上げ態勢に入った。中途半端な坂田の出入りに得意の左を合わせ、また接近戦のボディーワークで元王者のショートを封じた。坂田は以前のように尻あがりの攻勢を見せることができず、終盤は大毅がポイントを連取し、試合終了のゴング。スコアは118-110(オウムガー)、117-112(柳)、116-112(ポランコ)と意外な大差で大毅の勝利を支持していた。ダウンシーンはなし。
「結果は満足。でもこの内容では満足できない」と大毅はコメント。セコンドの兄・興毅の指示を守って戦ったことも勝因に挙げていた。一方の坂田は「負けて残念だが、結果は受け止めたい」。参謀の大竹重幸トレーナーは「想像以上に(坂田を)研究されていた」と脱帽のコメントだった。

黒木、8回TKO負け-王座復帰ならず


 25日、つくばカピオで行われたOPBFミニマム級タイトルマッチは、マイケル・ランデロ(比)が黒木健孝(ヤマグチ土浦)を8回2分11秒TKOに破って初防衛に成功した。
 前王者の黒木はこれに勝ってWBC王者オーレードン・シッサマーチャイ(タイ)に再挑戦する手はずだったが、3回あたりからランデロの右ボディー、右ストレートを食ってペースダウン。必死で反攻に移るも正面から単調な攻めになって被弾を増やした。7回にはスリップダウンを喫するなど消耗激しく、8回2度目のダウンを奪われるとノパラット主審がノーカウントで試合を止めた。
 セミの日本ウェルター級1位井上庸(ヤマグチ土浦)はシンデット・ノンピタヤコム(タイ)を右アッパーで倒して5回KO勝ちしている。

2010年9月25日土曜日

日本ランカー小澤ら3人負ける 後楽園ホールの結果


 25日は関東地区3ヵ所で興行があったが、これは後楽園ホールの試合結果――。
 メインの8回戦は、山元浩嗣(ワタナベ)が日本S・フェザー級9位の小澤大将(全日本パブリック)に僅差の判定勝ち。77-75(2人)、76-75。小澤は4回のインターバルで使用禁止の水絆創膏を使用しているのが判明し、土屋主審から減点1をとられた。
 セミのS・ライト級8回戦は、日本同級5位の方波見吉隆(伴流)が、生田真教(ワタナベ)に2-0判定勝ち。前に出る生田に対し、変則サウスポーの方波見が左アッパーから右フックを決めて優勢に進めていた。
 日本ランク下位の2人が苦杯を喫した。フライ級12位の遠藤一充(船橋ドラゴン)は、佐藤洋輝(ワタナベ)に初回にダウンを喫し、6回判定負け。また日本S・バンタム級12位の鳥元大志(角海老宝石)は、橋元隼人(ワールドスポーツ)に8回判定負け。もう1つの8回戦は、元ランカーの中嶋孝文(ドリーム)が太田ユージ(ヨネクラ)に初回右ストレートで2度倒してTKO勝ちを飾っている。

佐藤、中広を2度ダウン 日本S・フライ級正規王者に


 25日の世界フライ級戦のセミで行われた日本S・フライ級チャンピオン統一戦は、暫定王者・佐藤洋太(協栄)が正規王者中広大悟(広島三栄)から立ち上がり2度のダウンを奪い、その後も優勢に試合を運んで大差の判定勝ち。晴れて正規チャンピオンとなった。
 昨年の4度目の防衛戦以来ケガで長期ブランクを余儀なくされた中広。この日は完全にカンが戻らなかったか、佐藤の速いジャブ、右ストレートに対応が遅れた。初回にいきなりの右を浴びて尻もちをつき、2回には飛び込みざまに佐藤の右ショートを見事にカウンターされて喫したダウンではかなりのダメージを負った。佐藤はここで仕留め損ねたものの、その後もジャブと右を主体に優勢に試合を進めた。中広は終盤9回にボディーを攻めて動きを止めかけたが、佐藤も踏ん張り、10回を戦い抜いた。
 スコアは、97-92、99-90、99-89と大差で佐藤のチャンピオン統一を支持していた。これで文句なしの正規王者となった佐藤。ダウンを奪ったのは想定外といい、「中広さんみたいなビッグネームに勝ったのはうれしい」と、勝利を喜んでいた。

竹原&畑山ジム初の王者誕生――ライカ&藤岡




 24日夜、後楽園ホールで行われた東洋太平洋女子ダブルタイトルマッチは、藤岡奈穂子、風神ライカの竹原慎二&畑山隆則ジム・コンビがそろって戴冠した。
 メインで行われたライト級決定戦は女子ボクシングのパイオニア、ライカ(34歳)がブロンウィン・ワイリー(ニュージーランド)に10回3-0判定勝ち。JBCが女子ボクシングを解禁して以来、自身初となるベルトを巻いた。積極的に前に出てくるワイリーに対し、序盤を偵察に費やしたライカは4回あたりから攻勢を強め、相手を弱らせていった。右ストレート、左フックのコンビネーションを決め、ボディーも攻めてダウンまであと一歩のところまで追い込んだ。最終的に98-92、99-91(2者)の大差で勝利。
 タイのカニタ・ゴーキャットジムとこちらも空位のミニ・フライ級王座を争った藤岡(35歳)は右ストレートを多く当ててリード。タフなカニタの頑張りもあってKOは逃したが、失速することなく98-92(2者)、98-93のスコアでタイトルを奪取した。藤岡の戦績は4勝3KO。
 竹原&畑山ジムは加盟3年目で初の王者誕生となった。

明日ティファナでWBO暫定戦

 毎週のように世界戦が開催されるメキシコで、今週末土曜日25日(現地時間)、WBO世界J・フライ級暫定タイトルマッチが行われる。カードは王者ラモン“プリンシペ”ガルシア(メキシコ)に同国のマヌエル“チャンゴ”バルガスが挑む。アメリカと国境を接するティファナのエル・ホロ(元ハイアライ競技場)で挙行される。
 ガルシアはジョンリエル・カシメロ(比国)から奪った王座の初防衛戦。これまでの戦績は13勝8KO1敗1分。前IBF世界ミニフライ級王者ラウル・ガルシアとは双生児である。28歳のサウスポーは計量でリミットの108ポンドを計測。
 挑戦するバルガスは一度WBOミニフライ級暫定王座を獲得した選手。その後正規王者ドニー・ニエテス(比国)との統一戦で惜敗。3階級越えでS・フライ級王者ノニト・ドネアに挑んだがKO負けで退いた。戦績は28勝13KO5敗1分。ガルシアと同じ108ポンドでパスした。
 同じリングでは前WBC暫定王者ウンベルト・グティエレス(メキシコ)-レネ・ゴンサレス(ニカラグア)のS・フェザー級ランカー同士が10回戦で顔を合わせる。(三浦勝夫)

2010年9月24日金曜日

石田-アルバレス戦復活へ 10月9日メキシコで

 WBA世界S・ウェルター級暫定王者石田順裕(金沢)の次期防衛戦は10月に9位のリゴベルト・アルバレス(メキシコ)相手に行う予定が、一転二転――WBAから待ったをかけられ、指名挑戦権を持つ3位オースティン・トラウト(米)との対戦を命じられ、21日にパナマで入札が行われるはずだったが、なんとまたまた状況が一変、元のスケジュールに戻ったのだという。つまり、最初の予定通りアルバレスと(10月9日)対戦するというのだ。場所はメキシコのグアダラハラで落ち着きそうだという。
 関係者の話では、トラウト陣営が1試合待つことに同意したため、アルバレス戦にゴーサインが出た。トラウト戦を優先せよと公式サイトで命じたWBAも、当事者間で合意に達したため黙認し、入札もなし。トラウトは石田-アルバレス戦の勝者と11月に戦うことで合意しているという情報もある。

明日因縁の一戦 大毅×坂田

 WBAフライ級タイトルマッチがいよいよ明日に迫った。24日は調印式、計量が行われ、両者はいよいよ本番モードだ。
 調印式では「自分の力を出せればいい。KOできると思うけど」(王者・亀田大毅)「苦しい試合になると思いますが、勝つのは自分と信じて戦う」(挑戦者・坂田健史)とコメント。7月末の発表会見以来となる顔合わせだが相手の印象をあらためて「普通」(大毅)「特に何も変わらない」(坂田)と語った。
 因縁がクローズアップされる今回の一戦。会見でプロモーターの金平桂一郎・協栄ジム会長が「ライセンス停止中の五十嵐・亀田ジム前会長が(立会人の)アラン・キムさんとホテルで接触していたと聞いたが」と亀田側に問いただす一幕も。亀田側によると、トレーナーをホテルに送った五十嵐氏が知人であるキム氏と話しただけだと“あらぬ疑い”を否定。キム氏本人も「プライベート」と説明したが、誤解を招く行動ではあった。
 会見後に行われた計量は、大毅、坂田ともにリミット50.8キロでクリア。体温、脈拍、血圧も異常なしと診断された。「いままでにないコンディションをつくれた」と坂田が言う一方で大毅は「減量(の影響)は正直あると思うよ。でもそんなこと言うてられへん」と減量の苦しさを主張していた。
 明日の試合のオフィシャル構成は以下のとおり。グローブはメキシコ・レイジェス社製8オンスが使用される。
レフェリー=スタンリー・クリストドーロー(南ア)/ジャッジ=アルフレド・ポランコ(メキシコ)、ラーセン・オウムガー(オランダ)、柳完洙(韓)/立会人=アラン・キム(韓)
(写真は計量後にポーズをとる大毅㊨と坂田。中央はキム氏)

カーン-マイダーナ発表会見

 12月11日、ラスベガスのマンダレイベイ・ホテルで対決するWBA世界S・ライト級王者アミール・カーン(英国)と同級暫定王者マルコス“チノ”マイダーナ(アルゼンチン)の2人が23日ロンドンで記者発表会見に臨んだ。
 両者は1年前から対戦が噂されたが日の目を見ることがなかった。カーンがマイダーナの強打を警戒して対戦を拒んでいるともいわれたが、両陣営間の粘り強い交渉が実を結んだ。カーンは「ここ何ヶ月、多くの人が『私は誰とも戦いたくない。アゴがもろい』と言っている。だからこの試合を承諾したんだ。それが誤りであることを実証するために。マイダーナはとても強く、ハードパンチャー。典型的なパンチャーとボクサーの対決となるだろう」とコメント。
 対するマイダーナは「予想を口にすることは好きじゃない。唯一確かなのは、グッドボクサーのカーンをノックアウトするために全力を傾けること。厳しい試合が待っているのは間違いないけど、私の拳がKOを生み出すと信じている」と語っている。
 両者とも10月初旬からトレーニングをスタートする予定。カーンはローチ・トレーナーが不在(パッキアオのフィリピン・キャンプに同行中)なものの、ロサンゼルスを拠点にする。一方マイダーナはラスベガスでキャンプを張る。
 写真は記者会見で対峙するカーン㊧とマイダーナ。=PHOTO/GDP=

山口、指名挑戦へ-WBC女子

 WBC女子チャンピオンシップ委員会は山口直子(白井・具志堅S)の王者アナ・マリア・トーレス(メキシコ)への指名挑戦を正式に決定。両陣営へ通達した。
 ファイトマネー、開催地などの交渉はこれからだが、山口のマネジャーである具志堅用高会長は王者の敵地での挑戦もOKと意欲満々。WBCは10月23日を交渉の期限に設定している。山口は9月13日、OPBF女子S・フライ級王座2度目の防衛に成功し、WBCランキングを1位に上げて指名挑戦のチャンスを待っていた。王者(30歳)は22勝13KO3敗2分の強豪。山口(32歳)は7勝7KO1敗。
 9月13日に同ミニ・フライ級王者アナベル・オルティスが後楽園ホールで菊地奈々子(白井・具志堅S)の挑戦を退け、10月2日グアダラハラで同L・フライ級王者・富樫直美(ワタナベ)がイルマ・サンチェスの挑戦を受けるなど、日本-メキシコ間の女子戦が活発になってきた。写真は2度目の防衛に成功してウイニングポーズの山口

2010年9月23日木曜日

タイソン&チャベスが世界殿堂入り

 米国ロサンゼルスに拠点を置くワールド・ボクシング・ホール・オブ・フェイム(世界ボクシング殿堂)が今年2010年の殿堂入りボクサーとして、元世界ヘビー級統一王者マイク・タイソンとメキシコの3階級制覇の英雄フリオ・セサール・チャベスの名前を公表した。
 今年で31回目を迎える世界ボクシング殿堂は、歴史の古さではニューヨーク州の国際ボクシング名誉の殿堂を上回る。授賞セレモニーは例年だと、ロサンゼルス空港近くのホテルで行われていたが、今年の式典は11月19日ラスベガスのプラネット・ハリウッド・ホテル&カジノで開催される運びとなった。他の受賞者に関しては、これから発表されるもよう。
 グレードアップしたセレモニーは会費制で一般ファンも参加可能。米国では電話によるチケット販売が始まっている。 ※写真はチャベス㊧とタイソン

大久保判定勝ち 名護3年ぶりの日本で辛勝

 22日後楽園ホールの日本ウェルター級王座決定戦のセミでは前OPBFフライ級王者の大久保雅史(青木)が再起2戦目に臨み、格下の松名瀬元基(畑中)に8回3-0判定勝ちした。脚を使う松名瀬を大久保は右クロス、左フックなどでプレスし続けたがダウンは奪えなかった。もうひとつの8回戦は日本Sライト級ランカーの小池浩太(ワタナベ)がサウスポーの小竹雅元(三迫)に3-0判定勝ち。勘のいい小竹をファイター型の小池がしつこく攻めてポイントを集めた。 またこの日は元日本Sフライ級王者の名護明彦(全日本パブリック)が日本では3年ぶりのリングに立ち、笛木亮(ワールドスポーツ)に6回3-0判定勝ちした。接近戦で左右フックを相手のボディー目がけて繰り出し続けた名護。笛木も必死に応戦したが、ジャッジ全員が58-57で名護の勝利を支持した。2度世界挑戦歴もある名護は、昨年5月米国での6回戦でホセ・ベルトランに判定負けしたのが直近の試合だった。試合4日後には33歳の誕生日を迎える。=写真は笛木と打ち合う名護㊧=

2010年9月22日水曜日

33歳加藤が沼田の強打封じる 日本ウェルター級王座決定戦


 プロ12年目で初めてのタイトル戦に出場した古参加藤が念願のベルト獲得――22日夜後楽園ホールで行われた日本ウェルター級王座決定戦は、同級3位の加藤壮次郎(協栄)が元王者(現4位)の沼田康司(トクホン真闘)に3-0判定勝ちを飾り、念願の新チャンピオンとなった。この王座は、沼田と対戦するはずだった中川大資(帝拳)が負傷により返上していたもの。
 加藤(33)はベテランらしく沼田の必殺強打を封じながら前半ペースをつかみ、ポイントを蓄積。沼田は両目上を数ヵ所カットして出血にも悩まされ、得意の左フックも空を切ったりブロックされたり。さらに加藤のクリンチワークにミスを重ね、後半の追い上げも中途半端。最終回に沼田の右強打が決まり動きが止まりかけたが、加藤も踏ん張り、試合終了。採点は浦谷98-93、福地、葛城とも97-94と明白な加藤の勝利を支持していた。
 なおこの日の試合の勝者は来年のチャンピオンカーニバルで先の「最強後楽園」の優勝者と対戦が義務付けられているが、加藤と渡部アキノリは協栄ジムの同僚であることから、試合は回避される。観戦した後輩の渡部は「自分はまだ若いから、待ちます」。控え室に帰り渡部を見つけた新王者は「絶対に挑戦するなよ」と笑顔で“圧力”をかけていた。
 新王者加藤の戦績は25勝12KO9敗3分。敗者沼田(26)は16勝11KO5敗1分。
写真は9ラウンド、沼田の左をブロックしつつ左ショートを決める加藤

2010年9月21日火曜日

大毅と坂田、別々に検診 25日WBAフライ級戦




 WBAフライ級戦の予備検診が21日、後楽園ホールで行われた。チャンピオン亀田大毅と挑戦者で元王者の坂田健史がついに対決する“因縁の一戦”だが、この日は両者の接触はなし。検診は時間をずらせてそれぞれ行われた。
 先に診断を終えた大毅は懸念される減量苦と“只今格闘中”とあって言葉少な。「もう練習は終わった。あとは体重だけ。(減量の調子は)まあまあかな」。「(試合に向けて節制しつつ備えるというのは)練習がおろそかになると思う。俺は先週木曜日まで普通どおりにご飯を食べて動いた」と、試合直前に一気に体重を落とす調整方法について語った(上写真)。
 一方の坂田は「(今回は挑戦者で)失うものは何もないという気持ちで戦える」とコメント。こちらは58キロからスタートした減量が「いまは練習後に残り1キロを切っている」と順調のようだ。
 検診の結果は以下のとおり。
     大毅        坂田
身長  167.0センチ   163.0センチ
頚周  37センチ     35センチ
胸囲  90センチ     89センチ
胸厚  22センチ     22センチ
視力  右1.0左1.5    右0.9左0.8
リーチ 164センチ    167.5センチ
血圧  132/81      125/78
脈拍  44         57
体温  36.7        36.8

内山一夜明け会見


 強烈な印象を残したKO防衛から一夜明けた21日、WBA世界S・フェザー級チャンピオン内山高志がワタナベジムで会見した。
 昨夜は試合後に応援者、友人らに挨拶して帰宅。勝利の喜びを語りつつ、「イメージした通りにボディーが当たった。これが当たれば相手のガードが下がる……それが5ラウンドにつながった。相手に意気込みも感じたけれど、勝ちたい気持ちは自分が上回ったと思う。デキは70パーセントぐらいです」と内山は試合翌日とは思えないほどきれいな顔で会見した。
 プロモーターの渡辺均会長も「内山の強さを証明できた。ラスベガスなど本場で内山の試合を実現させたい」と今後の展望を語った。内山は「世界のトップ舞台でやれたらいいが、まだまだ。しっかり実力をつけて、向こうから声掛けられるチャンピオンになりたい。次はもっと強くなります」。
 次戦は来年1月を予定。指名試合になるだろうと渡辺会長。内山は、いつものように1週間ほどでロードワークを再開し、「本格的に打ち始めるのは、拳のケアもあるので1ヶ月後ぐらいですね」。しばしのオフを取ってV3へとスタートを切る。
 昨日救急車で病院に運ばれた挑戦者ロイ・ムクリスは頬骨と鼻骨を骨折していたが、心配された脳へのダメージはなかったという。 また昨日の視聴率は7.1パーセント。「まずまずです」とテレビ東京関係者。

2010年9月20日月曜日

福原KO敗 三垣は逆転TKO防衛         ダブル東洋太平洋戦


 20日のさいたまスーパーアリーナは、ダブル世界タイトル戦の他に東洋太平洋タイトル戦もダブルで行われた。OPBF・S・フェザー級王座決定戦では、福原力也(ワタナベ)が2位アラン・タナダ(フィリピン)にまさかの3回KO負け。同僚内山が手にしたベルトの奪還に失敗した。また日本人対決となったライト級戦は、王者三垣龍次(M.T)が2回のダウンを挽回して14位・金井アキノリ(姫路木下)の挑戦を6回1分11秒TKOで撃退。1月長嶋建吾から奪った同タイトルの初防衛に成功した。
 再三のアクシデントで試合が延期になり、ようやくこの日東洋太平洋S・フェザー級王座決定戦のリングに上がった福原。だが、結果は無残だった。立ち上がりは左ストレートで制していたが、無敗タナダ(9勝4KO2分)はかまわず振ってくる。福原は力みがうかがえ、3回右で打ちかかったところにタナダの右フックを浴びてダウン。立ち上がり、タナダの攻勢をしのいでいたが、右で再び倒され、最後も右でロープへと後退させられ、試合が終わった
 ライト級は強打者同士の倒し合い。まず2回に挑戦者金井が倒す。右の相打ち直後、チャンピオンが弾けるようにロープに飛ばされ、ダウンを喫した。
 14連続KO記録を保持する金井、ここでフィニッシュを狙って出たが、三垣も応戦してピンチを脱出。すると、3回には逆に三垣の右が強烈に決まり、金井がダウン。ここで試合は終わらなかったが、その後も三垣ペースで進む。6回、三垣が攻勢を強めて連打し金井の手が出なくなると、浅尾主審が手際よくストップをかけた。
 上写真は金井から逆転のダウンを奪った三垣 。同下はタナダにKO負けを喫した福原

河野判定負け 最終回ダウン奪うもKOならず       WBC・S・フライ級戦

 WBA世界S・フェザー級タイトル戦の前に行われたWBC世界S・フライ級王座決定戦では、内山の同僚で世界1位の河野公平(ワタナベ)に期待が集まったが、2位で元暫定王者のトマス・ロハス(メキシコ)に3―0判定負けを喫し、2年ぶり2度目の世界戦チャレンジも失敗に終わった。
 スコアは118―109、116―111(2人)と大差がついての敗北だったが、全くチャンスがなかったわけではない。11回まで、サウスポーの試合巧者ロハスにかわされ、リードを許して迎えた最終12回。両者ほぼ同時に放った右フックは河野のほうが一瞬早く届き、ガードの空いたロハスのアゴにカウンターとなって炸裂。たまらずロープに倒れ込むメキシカン。これは耐えたが、河野のラッシュにバランスを崩し倒れ込んだところで、8カウントがとられる。河野には逆転KOの唯一の好機だったが、ロハスも必死に河野の追撃をかわし、終了ゴング。
「ロハスはパンチを当てるのがむずかしい相手だった」と潔く敗北を認めた河野。この試合に引退を懸けて臨んだが、最後の最後にあわやのチャンスがあっただけに、「引退はまだ考えられない……」と決断を急がなかった。
 写真は最終回に河野がロハスをダウンさせたシーン。しかし倒し切れず、終了ゴングに持ち込んだメキシカンが判定勝ちでチャンピオンとなる。

内山世界戦全KO勝ち ムクリスを病院送りV2

“KOダイナマイト”内山がまた倒した! 20日さいたまスーパーアリーナで行われたダブル世界タイトルマッチ、メインのWBA世界S・フェザー級戦は、チャンピオンの内山高志(ワタナベ)が同級5位ロイ・ムクリス(インドネシア)に強打を炸裂させ、5回2分27秒TKO勝ち。2度目の王座防衛に成功した。
 立ち上がりから優勢に試合を進めた内山が、冷静に挑戦者を突き崩した。右ストレートを長身の挑戦者のボディーに突いてガードを下げさせる。迎えた5回、空いたアゴに右フックをたたき込むと、明らかにダメージを負ったムクリス。内山の追撃の連打にあえなくキャンバスに崩れ、そのまま動けず。ルイス・パボン主審(プエルトリコ)はカウントを途中で止めて試合を中止したが、これは賢明な判断だった。担架でリングを下ろされ、病院に運ばれた敗者にはアゴの骨折の疑いがある。
「練習通りです。右のボディー・ストレートがよかった」と、会心の試合を振り返った内山。獲得戦を含め3度の世界戦すべてをKOで飾ったのは、日本人世界チャンピオンでは初めてだが「記録は意識していない。たまたまです」と本人はあくまで謙虚だった。内山の戦績は16勝13KO負けなし。
 写真は5回、ムクリスを倒した直後、ニュートラルコーナーで待つ内山

2010年9月19日日曜日

コムV5、テーラーV3達成!!            アマ女子世界選手権決勝

バルバドス島ブリッジタウンで開催されていたアマチュアボクシング第6回AIBA女子世界選手権大会は18日(現地時間)10階級の決勝が行われ、全日程を終了した。
 注目されたL・フライ級メリー・コム(インド)はステルータ・デュータ(ルーマニア)に16-6の文句なしのポイント勝ちで、世界選手権5連覇の偉業を達成。またライト級ケティー・テーラー(アイルランド)もドン・チェン(中国)に18-5と大差をつけてポイント勝ちし、こちらは世界選手権3連覇に成功した。
 今大会では1国が金メダルを独占することはなく、ロシアが2階級を制したのが最多だった。中国は4階級で決勝に進出したものの、勝ったのはフライ級のレン・カンカンだけだった(銀3、銅3)。アジア勢では、他にインド(金1、銅1)、北朝鮮(金1、銀1)の女子ボクシング強国が健闘。一方4選手が参加して予選敗退の日本は、フライ、バンタムが優勝者と対戦という不運もあったが、今後強化策の全面的見直し等、レベルアップに向け一層の努力が必要だろう。
■各級決勝戦結果(数字は公式ポイント)
H級 ナデツァ・トロポワ(ロシア)棄権2R カテリーナ・クゼル(ウクライナ)
LH級 ロゼリ・フェイトサ(ブラジル)12-3 マリナ・ボルノバ(カザフスタン)
M級 メリー・スペンサー(カナダ) 14-2 リ・ジンジ(中国)
W級 アンドレシア・ワッソン(米) 5-4  サバナ・マーシャル(英)
LW級 ガルサム・タタール(トルコ) 13-1 べラ・スルジナ(ロシア)
L級 ケティー・テーラー(アイルランド) 18-5 ドン・チェン(中国)
Fe級 ユン・クムジュ(北朝鮮) 7-4  ヤン・ヤンジ(中国)
B級 エレナ・サバリエバ(ロシア) 7-3 キム・へソン(北朝鮮)
F級 レン・カンカン(中国)10-5 ニコラ・アダムス(英)
LF級 メリー・コム(インド)16-6 ステルータ・デュータ(ルーマニア)
 ※写真は5連覇達成を喜ぶメリー・コム=PHOTO/AIBA=

ダブル世界戦いよいよ明日ゴング-内山、河野ら計量パス


 ゴングを明日に控えたWBA世界S・フェザー級&WBC世界S・フライ級のダブル世界戦の調印式と計量が19日都内で行われ、2度目の防衛戦に臨む内山高志、2度目の世界挑戦となる河野公平(ともにワタナベ)ら出場4選手は全員1度で計量をパスした。 4選手ともコンディションのよさを強調。王者・内山は「(防衛戦も2度目となるが)これまでと変わらずただ勝ちたいだけ。相手は若く勢いがあるが、それに負けないトレーニングを積んできた。明日、その結果が分ります」と落ち着いて会見した。 一方の挑戦者ロイ・ムクリス(インドネシア)は、「チャンピオンは状態がよさそうだが、私は明日ベルトを持って帰る。亡くなったマネジャーのために勝ちたい」と涙ぐんだ。 WBC・S・フライ級王座を争う1位河野も絶好調を宣言。「観光に来たわけではない。明日はリングで戦争します」という2位トマス・ロハス(メキシコ)と激しい戦いが繰り広げられそうだ。
ウェイトは次の通り
内山高志/58.9キロ
ロイ・ムクリス/58.8キロ
河野公平/52.1キロ
トマス・ロハス/52.1キロ
※使用グローブは日本製
世界戦の審判団は以下の通り
WBA・S・フェザー級戦
レフェリー/ルイス・パボン(プエルトリコ)ジャッジ/ピニット・プラヤドサブ(タイ)、ジャンルイ・ルグラン(フランス)、カルロス・クスレ(アメリカ)※立会人/シン・ヤンソップ(韓国)
WBC・S・フライ級戦
レフェリー/フランク・ガルサ(アメリカ)ジャッジ/マルコム・ブルナー(オーストラリア)、ステファン・ブレア(アメリカ)、スティーブ・モロー(アメリカ)※立会人/フランク・クイル(オーストラリア)
※会場はさいたまスーパーアリーナ。第一試合開始は午後1時30分。OPBF戦(福原力也-アラン・タナダ=S・フェザー級、三垣龍次-金井アキノリ=ライト級の順)スタートが午後3時頃を予定。世界戦第1試合(河野-ロハス戦)は午後5時半ゴング予定。試合の進行状況によって開始時間は繰り上がる場合がある。

カネロ、元王者を沈める モズリーはドロー




 スーパースター誕生の予感――。18日(現地時間)ロサンゼルスのステープルズ・センターに満員の観衆を集めたメキシコ一のホープ、サウル“カネロ”アルバレス(WBC・S・ウェルター級2位)が元WBC世界ウェルター級王者カルロス・バルドミール(アルゼンチン)に6回2分58秒KO勝ちを飾った。 =上写真=
 アルバレス(20歳)が倒せば、本物と言われた一戦。慎重な出だしのアルバレスが徐々にペースを上げたが、引退状態から復帰したバルドミール(39歳)も前進を止めずに対抗。しかし6回、ダメージを与えたアルバレスが打ち合いで左を一閃。これまで63戦戦い、KO負けはおろかダウン経験もないバルドミールが頭からキャンバスに悶絶。カウントアウトされた。
 WBCシルバーS・ウェルター級王座の初防衛に成功したアルバレスは34勝26KO1分無敗。バルドミールは45勝14KO13敗6分。
 この日のメインのS・ウェルター級12回戦は元3階級制覇王者シュガー・シェーン・モズリー(米)が元WBC・S・ウェルター級王者セルジオ・モーラ(米)と対戦。前半両者かみ合わず、会場はブーイングの連続。それでもクリンチを振りほどきながら仕掛けたモズリーの勝利は動かない、と思えたが、3ジャッジが下したスコアは115-113(モーラ)、116-112(モズリー)、114-114と三者三様のドローに終わった。(三浦勝夫)
Photos/Sumio Yamada

オルティス、ポンセら豪快KO勝利


 18日(現地時間)ロサンゼルスのステープルズ・センターで行われたメキシコ独立200周年記念興行。サポート・カードで豪快なKOシーンが続出した。
 まず“デラホーヤ2世”ビクトル・オルティス(米、WBO・J・ウェルター級1位)がウェルター級10回戦で元WBA世界S・ライト級王者ビビアン・ハリス(米)に3回45秒KO勝ち。2回に3度ダウンを奪ったオルティスが3回、右2発でまた倒すと、主審がノーカウントで試合を止めた。
 またメキシカン同士のWBOフェザー級挑戦者決定戦は元WBO世界J・フェザー級王者ダニエル・ポンセ・デレオン(WBO3位)が同2位アントニオ・エスカランテに3回2分40秒KO勝ち。左から返しの右フックでエスカランテを大の字に沈めるスペクタクルなフィニッシュだった。 =写真=
 一方“新デラホーヤ2世”フランキー・ゴメス(米)はリカルド・カルサーダ(米)にこれも3回1分6秒KO勝利。ゴメスはプロ以来の戦績を無傷の6連続KOとした。(三浦勝夫)
Photo/Sumio Yamada

2010年9月18日土曜日

プロ歴が発覚し失格に アマ女子世界選手権で

 バルバドス島で開催中のアマチュア女子世界選手権大会で、ハプニング――。試合に勝ったチュニジア選手にプロで試合歴があったことが発覚し、AIBA(国際アマチュアボクシング協会)から“追放処分”を受けている。
 ミドル級に出場したウィラッド・ヨンシで、初戦でシニード・カバナー(アイルランド)にポイント勝ちした後、プロ歴が判明。ヨンシは判定を失格負けに変更された上、資格停止処分となった。
 同選手はプロで戦ったことを認め謝罪したが、一方でチュニジア・ボクシング連盟がこれを認識していなかったということを確認する書類にサインしていたという。ボックスレックによると、ヨンシと同名の選手が2008年ベルギーの4回戦で判定勝ちの記録がある。

中国4選手が決勝進出 アマ女子世界選手権


 バルバドス島ブリッジタウンで開催されているアマチュアの第6回AIBA女子世界選手権大会は17日(現地時間)L・フライ級からヘビー級まで10階級の準決勝戦が行われ、20名が決勝に勝ち進んだ。
 今大会でもっともスリリングな試合となったのは、世界選手権3連覇を狙うライト級ケイティー・テイラー(アイルランド)と、クァニータ・アンダーウッド(米)戦。初回6-0でスタートしたテイラーは2回終了時で10-2と楽勝ペース。ところが3回からアンダーウッドの猛反撃が開始された。最終4ラウンドには一時15-15に追いつき、番狂わせが起きかけた。だがテイラーも疲労の色をにじませながら最後を踏ん張り、試合終了時点では18-16。辛くもポイント勝ちしたディフェンディング・チャンピオンは「やりにくくて、カウンターを打ちにくかったわ」と、相手の強さを認めていた。
 フライ級は前大会L・バンタム級(今回廃止)の優勝者レン(中国)が初戦の新本亜也(日本)ら4人を撃破してトーナメントを勝ち抜き、5人目の強敵タチアナ・コブ(ウクライナ)と対戦。2回を終えた時点で、ポイントはレンが2回に上げた1点だけという大接戦だった。レンは3回にコブに逆転され2-4となったが、最終回に逆転。結果は8-5で辛くもコブを制した。中国はこの日7人が準決勝に出場し、レンを含め4選手が決勝に進出するという目だった活躍をみせている。
 決勝は18日(日本時間19日)午後に予定されている。
 写真はライト級準決勝でダウンするテイラー=PHOTO/AIBA=

日本で戦った同士 ロチャがナバーロに判定勝ち

 再三日本のリングに上がった同士がロサンゼルスで対戦――川嶋勝重、徳山昌守との世界S・フライ級タイトル戦で敗れたホセ・ナバーロ(29)と、長谷川穂積との世界バンタム級戦(TKO敗)を含めて日本で3勝1敗のネストル・ロチャ(28)のメキシコ系の元トップランカー同士がバンタム級8回戦でグローブをまじえた。明日18日(現地時間)ステープルズ・センターで行われるゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)の興行に先立ち、前日17日、同センターの駐車場で行われた試合のメイン・カード。
 日本に馴染みがある2人の顔合わせは、ロチャが左右フックを振るって積極的に仕掛けリード。サウスポーのテクニシャン、ナバーロは右目が腫れ、5回あたりから完全にふさがってしまう。ナバーロも懸命に対抗したが、ロチャは7回、連打で追い込み、勝利を決定づけた。スコアは3ジャッジ一致の79-73でロチャの勝ち。
 地元ロサンゼルスのライバル対決に勝利したロチャは23勝8KO2敗。再起後2勝していたナバーロは27勝12KO6敗。

河野とロハス、互いに「怖さは感じない」 検診結果

 WBC世界S・フライ級決定戦の検診はこちらも「両選手特に異常はなし」と診断。1位河野公平(ワタナベ)、2位トマス・ロハス(メキシコ)ともに順調な調整を印象づけた。
 2年前の名城信男戦以来2度目の世界タイトル戦となる河野は「体ががっちりとしてきた」と、この間のフィジカル面の成長を実感している様子。特にフィジカル・トレーニングのため土居進氏のもとに通い出して以降「腹がちぎれそうになるほど」(河野)の腹筋運動に取り組んだといい、「パンチを打つ時に腹に力が入るようになった」。ロハスの印象については「細長い感じがする。懐が深そうだけど、もっと大きいと思っていた」と語った。「怖さはあまり感じない」と頼もしいコメントも。
 一方のロハスも河野に対し「怖さはない。世界戦に向けて燃えている」とやる気満々。河野の映像を見ていないというメキシカンだが、この日の計測数値で上回った身長、リーチを生かして戦うつもりのようだ。「打ち合う時は打ち合うが、基本的にアウトボクシングで」(ロハス)。
 両者の検診結果は以下のとおり。
    河野     ロハス
身長  166.3センチ 172.5センチ
頚周  37センチ   36センチ
胸囲  91センチ   86センチ
胸厚  20センチ   20.5センチ
視力  右1.5左2.0  右1.0左0.8
リーチ 171センチ  174.5センチ
血圧  116/76    130/78
脈拍  58      43
体温  36.3     36.5

内山×ムクリス検診結果

 20日のダブル世界タイトル戦の予備検診が18日、後楽園ホールで行われた。
 WBA世界S・フェザー級戦では両者のリーチの長さが目立った。王者内山高志(ワタナベ)は181センチだったが、挑戦者ロイ・ムクリス(インドネシア)はそれを上回る186センチを計測。チャンピオンも「僕も長いと思っていたが、(ムクリスは)長い」と感想を語った。もっとも前回初防衛戦の相手グラナドスは192センチだったから、それに比べれば脅威ではない。「前の試合でもそういうタイプと戦うための練習をしていたから」と落ち着いた表情で話した。一方ムクリスは「(長いリーチを)ジャブに活かしたい」と言い、ジャケットを脱いで両腕をひろげて見せていた。
 なお、診断の結果、両選手に特に問題点はないとされた。以下は両者の数値。
       内山     ムクリス
身長  172.2センチ 172.5センチ
頚周  39センチ   37センチ
胸囲  98センチ   91.5センチ
胸厚  23センチ   21センチ
視力  右2.0左1.5  右1.2左0.6
リーチ 181センチ  186センチ
血圧  132/79    131/72
脈拍  68      59
体温  36.6     36.7

2010年9月17日金曜日

カーン×マイダーナ ベガスで対決内定

 交渉が大詰めに入っていたS・ライト級の注目カード、WBA王者アミール・カーン(英国)-同暫定王者マルコス・マイダーナ(アルゼンチン)戦が、12月11日ラスベガスのマンダレイベイ・ホテル&カジノで行われる運びとなった。
 試合をプロモートするゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)のリチャード・シェーファー経営最高責任者がメディアに伝えたもので、英国のカーンから「カーン-マイダーナ戦は準備完了」との連絡を受けたとのことだ。シェーファー氏は「もう入札に持ち込まれることはない。WBAに試合の承認をもらうだけだ」と語っている。
 カーンは5月に米国でポール・マリナージを下して防衛を果たした後、対戦希望者が多いものの、試合が具体化することがなかった。地元でマイダーナを迎え撃つとも思われたが、「マイダーナとやる。アメリカで戦う」と明言しているという。一方、アルゼンチンで知らせを聞いたマイダーナは「暫定チャンピオンと呼ばれるのは絶対に嫌。だからカーンと戦いたい。どっちが本当のチャンピオンか決めるときだ」と歓迎の姿勢を示す。

ムニョス引退撤回 KOドラッグで復帰

 WBA世界S・フライ級王者に2度君臨したアレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)がカムバックの意志を固めた。日本人選手と6度対戦しているお馴染みのムニョスは、10月パナマの「ロベルト・デュラン・アリーナ」で行われるWBA恒例の“KOドラッグ”興行で、11ヶ月ぶりにリングに登場する予定。相手もレオポルド・アロチャ(パナマ)と発表されている。
 今年2月末、「私の時間は終わった。別の道を歩むことに決めた」と現役引退を明言したムニョス(31歳)だが、8月あたりから復帰をにおわすことしきり。一時はモンティエルに挑む話も具体化していた。すでにカラカスでトレーニング中の元王者は「まだバンタム級でランキングに入っているし(WBA7位)今度の試合に勝ったら、世界挑戦を目指したい。家族と国のために2階級制覇のチャンスを絶対つかむ」と話す。
 パナマの有力プロモーター、ロヘリオ・エスピニョ氏と組んだムニョスは「WBAのヒルベルト・メンドサ会長、副会長のメンドサ・ジュニアのサポートに感謝したい」とコメント。このあたりの根回しは早い?

モンティエル×モレノ、総会ファイトで実現

 WBC&WBO世界バンタム級王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)-WBO暫定王者エリック・モレル(プエルトリコ)の一戦が10月30日、コロンビアで挙行される運びとなった。これはWBOのフランシスコ・バルカルセル会長が明らかにしたもので、今年で23回目を迎えるWBO年次総会の目玉ファイトとして行われる。
 モンティエル-モレルの同一団体内の“統一戦”は去る7月17日、メキシコのチアパスで予定されていたが、試合近くになってモレルが負傷を理由に辞退。代わって挑戦したラファエル・コンセプシオン(パナマ)をモンティエルが3回KOで下し、2本のベルトを防衛した。
 今年のWBO総会は10月25日から30日までコロンビアのカルタヘナ市の「カリブ・ホテル」で開催される。文字通り、この一戦は総会のエンディングを飾るメインエベントとなる。同会長によると、前座カードには地元コロンビアをはじめ、プエルトリコ、フィリピン、アルゼンチン、ドイツ、英国、コスタリカ、メキシコの有望選手が出場を予定。国際色豊かな興行になるという。
 ちなみにWBO主導のイベントのため、WBC王座が懸けられるかは明言されていない。

亀田大が公開練習 25日坂田と対決


 25日に坂田健史(協栄)と対戦するWBAフライ級王者・亀田大毅(亀田)が17日、都内のジムで会見に臨んだ。
 この日報道陣に公開したトレーニングはシャドー、ミット打ちとともに軽いもの。「コンディションはいい」と話したものの、懸念される減量は「今日から」(大毅)本格的に始めるという。
 2月に念願のチャンピオンベルトを巻き、夢をかなえた大毅は「俺はタイトルを獲るほうが難しかった。守らなくてはいけないと思っていないから(精神的に)ラク」と、あまり重圧を感じていない様子。「チャンピオンになるまでは勝つためのボクシングをせなあかんかった」といい、今回はあくまで自分のボクシングを完遂したいと願っているようだ。

2010年9月16日木曜日

ムクリス&ロハスが公開練習 20日のダブル世界戦




 
 
 20日のダブル世界戦(さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ)で内山高志、河野公平と対戦する外国人選手2人が16日、都内のワタナベジムで練習を公開した。
 内山のWBA世界S・フェザー級タイトルに挑むロイ・ムクリス(23歳=インドネシア)は物静かな印象。「夢だった」という来日を果たし、世界ベルト奪取の希望を語ったが、話が7月に急死したマネジャーのテムジン・ランビンさんに及ぶと突然泣き崩れた。故・テムジンさんはムクリスの兄弟子にあたるクリス・ジョン(WBAフェザー級スーパー王者)がオーストラリアに本拠地を移した後、ムクリスに世界チャンピオンの期待をかけていたという。またムクリスは14歳の時に火事で両親を亡くし、15歳でスタン・ランビン氏(故テムジンさんの父親)の養子となったことも明かされた。「絶対にチャンピオンになって、亡くなったプロモーターに誇りをみせたい」――ムクリスは静かに炎を燃やしている。
 トレーナーでもあるスタン氏によると、ムクリスはカウンター・パンチャー。それをうかがわせるように、2ラウンドのスパーではアップライト気味に構え、パンチに対する反応も悪くなかった。
 ムクリスの練習後には、河野公平とWBC世界S・フライ級王座を争うトマス・ロハス(30歳=メキシコ)が報道陣の前に登場。こちらは「河野の映像は見たことがない。戦績だけ」と告白し「リングの相手の出方次第で対応する」と自信をのぞかせた。
 33勝23KO12敗1分1NCと負けも多いロハス。しかしダルチニヤン等の著名選手との対戦で喫したものもあり、本人は「負けの数は恥ではない。キャリアだ」と胸を張った。細めのアゴから打たれモロいのではとも推測されるが、実際、12敗のうちKOされたのはダルチニヤンとアルセ戦のみ。ここ4年間に限れば3敗しかしておらず、ロハスの言は決して強がりではあるまい。
 ロハスの自己分析によると「決まったパンチよりもコンビネーションで相手を痛めつけるのが得意」。この日はスパーは行わず、念入りの柔軟運動、ミット打ちなどを披露した。サウスポー・スタイルで一定の距離をとりつつ右リード、ワンツー、返しの右フックとトレーナーのミットに打ち込む。右フック、右アッパーを思い切りよく振っており、偵察した渡辺均会長も「思ったよりパワーはある」と警戒した。ただし「ひとつの場所でジッとしていないのは、やはり脚を止めて打ち合うことに不安があるのでは。いかに河野はそこに持ち込むかでしょう」ともみていた。(写真上はスパーを披露するムクリス、同下はロハスのミット打ち)

ジョニゴン、IBO王座獲得 サルガドはドタキャン

 メキシコの独立記念日を祝う興行が15日(現地時間)ラスベガスで開催され、メインに登場したWBCフェザー級2位ジョニー・ゴンサレス(メキシコ)が快勝した。ゴンサレスはジャクソン・アシク(ウガンダ=豪州、WBC40位)の持つマイナーベルト、IBOフェザー級王座に挑戦し、6回TKO勝利を飾った。
 元五輪代表選手でもあるアシクが勇敢に立ち向かい試合を盛り上げたが、ゴンサレスのパワーが勝負を決めた。前半互角に見えた展開は4回、ゴンサレスの強打でアシクがリング中央にダウン。5回、2度ダウンを追加したゴンサレスは6回、畳み掛けて主審のコールを呼び込んだ。TKOタイムは1分9秒。
 西岡戦後、6連続KO勝ちと好調なゴンサレスは46勝40KO7敗。今後、メジャー団体の王者へ挑む意志を明かしている。アシクは26勝14KO4敗。
 同じリングには前WBA世界S・フェザー級王者フアン・カルロス・サルガド(メキシコ)が登場予定だったが、負傷を理由にドタキャン。ピンチヒッターで出場したミゲール“ミッキー”ローマン(メキシコ)がS・フェザー級12回戦で、タイロン・ハリス(米)に5回2分3秒KO勝ちを収めている。

「防衛」「奪取」に自信 内山、河野が公開練習

 20日さいたまスーパーアリーナのダブル世界タイトル戦に出場するWBA世界S・フェザー級王者内山高志と、WBC世界S・フライ級1位・河野公平の同僚コンビが相次いで東京・五反田のワタナベジムでメディアに練習を公開し、必勝を誓った。
 14日午後、まず登場はロイ・ムクリスを相手に2度目の防衛戦に臨む王者内山。仮想ムクリスの役を務めたのは、当日東洋太平洋S・フェザー級王座決定戦に出場する同僚の福原力也だ。軽く流したスパーだったが、特に巧みで効果的なボディー・ブローが印象的だった。長身の挑戦者をサイドの攻撃で鈍らせるつもり?
 練習前のインタビューでは、KO勝ちなら「世界戦3連続KOとなるが……」と水を向けられても平然と「勝てればいいという気持ちでやっている。自分のボクシングを崩してまでKOは狙わない」とマイ・ペース。傍らで渡辺均会長が「今までのタイトル戦で一番早いKOができると思います」と煽っていた。
 ジムの別フロアで練習する挑戦者ムクリスと顔を合わせるハプニングもあったが、「相手はクリス・ジョン(WBA世界フェザー級王者)のスパーリング・パートナーから這い上がってきた選手。強いだろうと思います」と警戒も怠らない。「ストレート・パンチ系なので、スウェーしてももらう確率が高い。なるべく横に外したい」と技術面の作戦もチラリ。そして「打ち合いなら負けないし、そういう練習をしてきている」と、ズシリと重い自信の弁だった。
 一方WBC世界Sフライ級決定戦に出場する河野公平は15日、やはりワタナベジムで練習を公開。名城戦以来2度目の世界挑戦に向け意気込みをアピールした。
「モチベーションが全然違う。死に物狂いで追い込んでいる」。静かに河野が語った。フィジカル・トレーニングを取り入れ、体つきが変化した。もともとスタミナに自信の河野だが「ラウンド中の回復が違う」と手応えありの表情。トマス・ロハス(メキシコ)との対決について渡辺均会長は「ロハスは一流のアウトボクシング。車でいえばポルシェのようなもの。しかし四角いリングで戦うと、リトル・ブルドーザー(河野)が追い詰める」と予想した。
 スパーは高橋智明トレーナー相手に2ラウンド。仮想ロハスの右に対しスムーズな右リードを合わせて近づき連打したり、右ボディーストレートから崩そうとしたりと、軽めだが好調さがうかがえた。ずっとコンビを組み、河野のために妻子と離れ単身赴任中の高橋トレーナーは「パンチに力が乗るようになった。スドンと打つパンチを混ぜられるようになりました」と河野の進歩について分析し「トレーナーとして初っ端に見た選手なので思い入れがあります。世界チャンピオンになればすごいことですね」。愛弟子の戴冠に期待していた。=写真上は内山-福原のスパー。下は高橋コーチを相手に軽く動いた河野=


フェザー転向の長谷川、WBC1位ブルゴスと決定戦へ 11月東京

 長谷川穂積(29)の再起戦は即世界タイトル戦に――11月26日東京で予定されるWBC世界フェザー級王座決定戦で、同級1位フアン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)と対戦する--と、これは米国のウェブサイト「Fightnews」が伝えたもの。同級王座はエリオ・ロハス(ドミニカ共和国)が練習中に肩を負傷してWBA王者ガンボアとの統一戦をキャンセル。長期ブランク必至のため「休養王者」扱いとなり、空位となる正規王座をブルゴス-長谷川で争うことになる。ブルゴス(22)はデビュー以来25連勝18KOをマークしている不敗の新鋭。4月にWBO世界バンタム級王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)に敗れて王座を追われている長谷川は、モンティエルとのリマッチが困難なことから、2階級アップのフェザー級で世界王座復帰を狙う。
 この日は元WBC世界フェザー級王者粟生隆寛(帝拳)が1階級上げて王者ビタリ・タイベルト(ドイツ)に挑むWBC世界S・フェザー級戦と一緒にダブル世界タイトル戦として計画している。プロモーターの本田明彦・帝拳ジム会長は交渉のため米国に出かけているが、帰国後詳細を明らかにするとみられる。

2010年9月13日月曜日

奈々子、アナベルの技巧に完敗         WBC女子ミニフライ級戦

 女子ボクシング初の日本×メキシコ世界戦対決が13日夜後楽園ホールであり、WBC世界ミニフライ級チャンピオンのアナベル・オルティス(メキシコ)に挑んだ元WBCストロー級チャンピオン、菊地奈々子(白井・具志堅スポーツ)は2分10ラウンズを戦い抜いたものの、大差0-3の判定負けを喫した。
 菊地は立ち上がりから果敢に手を出したが、カウンター・パンチャーのオルティスはこれに合わせて左フック、右ストレートを狙い打ちし、着々とポイントを蓄積していく。ダウン・シーンはないが、バッティングで一時試合中断の場面がたびたび。オルティスは菊地を倒すだけのパワーはなかったものの、技術的には明白に菊地を上回っていた。「倒せると感じたこともあったが、菊地選手のプレッシャーがきつく、途中で判定勝負だと思った」と試合後のチャンピオン。
 途中公開された3ジャッジの採点も、4ラウンド終了時点で39-37、7ラウンド終了時点で69-64。菊地は最後まで差を縮められず、試合を終了して98-92(2人)、99-91と大差でオルティスの勝利を支持していた。オルティス(24)は昨年10月に獲得したタイトルの初防衛に成功。レコードは12勝4KO1敗。菊地(35)は5勝4KO1敗。
 写真は終盤9ラウンド、菊地に左フックを迎え打ちするオルティス

釘宮、ロシア選手に完敗 アマ女子世界選手権

 バルバドス島ブリッジタウンで開催中のアマチュアボクシング、第6回AIBA女子世界選手権大会のフェザー級にエントリーしていた釘宮智子(平成国際大学)は、12日の予選でビアトリヤ・グルコウィッチ(ロシア)と対戦したが、26-2の大差でポイント負けした。 これで、日本代表の4選手は全員姿を消した。

箕輪2回戦はポイント負け アマ女子世界選手権

 バルバドス島ブリッジタウンで開催中のアマチュア第6回AIBA女子世界選手権大会で予選1回戦を勝ち抜いたバンタム級箕輪綾子(ウィングコーポレーション)は11日の2回戦でエレナ・ザベリエバ(ロシア)に7-3のポイント負けを喫し、敗退した。ザベリエバは前回08年の世界選手権覇者。

2010年9月12日日曜日

WBC女子世界ミニ・フライ級明日ゴング-両者計量パス


 明日後楽園ホールで行われるWBC女子世界ミニ・フライ級タイトルマッチの調印式と計量が行われ、王者アナベル・オルティス(メキシコ)、挑戦者6位菊地奈々子(白井・具志堅S)はともにリミットの47.6キロでパスした。
 菊地は一度でクリア。王者は最初200グラムオーバーだったが、JBCが用意した計量着(600グラム)に着替えてリミット一杯だった。 菊地は「このままいいコンディションを維持してリングに上がりたい。試合は死闘になる覚悟をしている。何が何でもベルトを獲ります」と宣言。王者も「メキシコと日本の女子が世界タイトルマッチで戦うのは初めてと聞きました。歴史に名を残せることは光栄。強者同士のすばらしい試合になると思うが、ベルトは持ち帰ります」とこちらも譲らなかった。
 この日の検診結果は以下の通り 
     体温    脈拍   血圧
王者  37.3    83    113/53
挑戦者 36.8    84    119/79
 
オフィシャルは次の通り
主審 中村勝彦(日本)
副審 福地勇治(日本)  
申 京下(韓国)   
ギジェルモ・アヨン(メキシコ)

ADIDASのコンサルタントにジョー小泉氏就任

 世界的スポーツメーカーのADIDAS(アディダス)社が、ボクシングを含めた武道の販売でも日本に本格的進出をはかる。これにあたり、解説者、マッチメーカーとして知られるジョー小泉氏(63)がこのほどボクシング用品販売部門のコンサルタントに就任した。
 ADIDAS社はウェア、シューズ等総合スポーツ用品で知られる。ボクシング用品はこれまで欧州ではおなじみのブランドだが、日本ではこれから。さっそく小泉コンサルタントが活動を始めた。まず「女子ボクサーのファッション革命」をターゲットに三本線がトレードマークの同社製品の売り込み。9日には東京ビッグサイトでWBA世界S・フライ級王者天海ツナミ(山木)を起用してアディダス製品のデモンストレーションを行った=写真=。今月24日後楽園ホールで試合前に行う女子の「プロトライアルマッチ」では、グローブ、ヘッドギアはすべて同社製品を使用する。また女子の4人の現役世界チャンピオンとのアドバイザリー契約を交渉中とか。さらには女子の世界タイトル戦でもADIDAS製グローブの使用を交渉中だそうだ。
 女子ボクシングの競技人口はまだ多くはないが、「来年度から第2ターゲットの男子部門にも積極的に進出」と小泉氏は今後の構想を明かしている。

元王者野中、世界7位ニクーリン破る


 12日昼、大阪市のIMPホールでWBO・J・ミドル級7位ドミトリー・ニクーリン(ウクライナ)にアタックした元S・ウェルター級2冠王者の野中悠樹(尼崎)は10回をフルに戦った末に3-0判定勝ちした。
 これが王座を失った柴田明雄戦以来約10か月ぶりのリングとなる野中は、開始から先手、先手と攻めて無敗(21勝8KO)のウクライナ人をリード。中盤以降は同じサウスポーのニクーリンとホールドの多い内容となり、7回に野中が、最終回ニクーリンはラビットパンチで減点されたが、全体的には野中が優勢裡に進めていた。ダウンシーンはなく、スコアは98-95、95-94、98-93。「これだけのためにすべてをかけていました。言葉にならない」涙で勝ち名乗りを受けた野中は20勝7KO8敗2分。
 セミでは東洋太平洋S・フライ級12位の帝里木下(千里馬神戸)が松元雄大(グリーンツダ)に8回2-1判定勝ち。不調からか動きのピリッとしない木下はファイター型の松元にダウンを奪われるなどして苦闘。辛くも勝利し無敗をキープした(10勝2KO)。

ダウン応酬 ガンボア判定勝ちで王座統一   A&Fフェザー級


 ラスベガスで11日(現地時間)行われたフェザー級王座統一戦は、WBA王者ユリオルキス・ガンボア(キューバ)がIBF王者オルランド・サリド(メキシコ)に3-0判定勝ちで、統一チャンピオンに就いた。
 前半、ハンドスピードを生かしたアウトボクシングでガンボアがラウンドを連取。しかし8回、攻勢に出たところ、サリドの右カウンターを食らい、プロ5度目のダウン。メキシカンに傾いたペースは、再びキューバ人がコンビネーションブローで挽回。最終12回、お返しのダウンを奪ったガンボアは激しい追撃でまた倒したが、ダウン後の加撃でコルテス主審から2点減点。
 勝敗はスコアカードに持ち込まれ、116-109,114-108,115-108でガンボアの手が上がった。
 同じリングで行われたWBAライト級挑戦者決定戦は、ブランドン・リオス(米、5位)がダウンを奪った末、7回終了失格勝ちでアンソニー・ピーターソン(米、3位)を下している。ピーターソンは低打を連発し、初黒星を喫した。写真はサリドを攻めるガンボア=PHOTO/SUMIO YAMADA=

クリチコ弟KO防衛 IBF&WBOヘビー級戦  ピーターを10回で鎮圧

 IBF&WBO世界ヘビー級タイトルマッチは11日夜ドイツのフランクフルトで行われ、チャンピオンのウラジミール・クリチコ(ウクライナ)が元WBC王者のサムエル・ピーター(ナイジェリア)の挑戦を10回TKOに撃退した。これでIBFは9度目、WBOは5度目のタイトル防衛に成功。
 「ナイジェリアの悪夢」ことピーター(30)は、05年の初対決ではクリチコに3度のダウンを与えたあげくに判定負けを喫している。その後WBCの世界王座についたものの、08年にはウラジミールの兄ビタリに敗れWBC王座を失い、今年3月N・アギレラとの挑戦者決定戦で勝ち復活を目ざしていた。
 しかしこの日の試合は最近の両者の勢いの差が試合でもあらわれた。すっかり安定感を増しているチャンピオンが終始試合を支配し、ピーターも強打を発揮する距離まで近づけない。次第に目が腫れ上がったピーターに対し、クリチコが自在に手を出す一方的な展開に。最後は10回、クリチコがフック、アッパーの連打を見舞うと、ピーターたまらずダウン。レフェリーは途中でカウントを止め、クリチコのTKO勝ちを宣告した。タイムは1分22秒。
 クリチコ(34)はこれで55勝49KO3敗。IBF王者の兄ビタリとともに世界ヘビー級4団体のうち3団体を独占する事態はしばらく続きそうだ。ピーターは34勝27KO4敗。

計量後食べ過ぎて王座剥奪!! IBFのサリド

 チャンピオンが試合前日計量でパスしながら、当日朝のチェックで12ポンド・オーバーして失格となり、タイトルを剥奪されるというハプニングが起こった。試合をする前に無冠になったのは、IBF世界フェザー級王者だったオルランド・サリド(メキシコ)。11日ラスベガスでWBA同級王者ユリオルキス・ガンボア(キューバ)とチャンピオン統一戦を行う予定で、前日計量はリミット一杯の126ポンドだった。
 ボクサーが計量後食べ過ぎ、急激な体重増加で体調を崩すと事故にも繋がりかねないことから、IBFの世界選手権ルールでは、試合当日朝8時の再計量で「10ポンド以上の増量」を不可とし、チャンピオンがこれに抵触した場合は王座をはく奪するという規則を設けていた。11日朝の再計量で、サリドは138ポンドを計測。このルールを適用されてタイトルを失ったものだ。試合でガンボアが勝てばIBF王座も手に入れるが、もしサリドが勝てば、IBF王座は空位となる。ただこの場合、WBAの世界戦規則には同様の項目がないため、サリドはWBAの王座だけ獲得という珍妙なことになる。

2010年9月11日土曜日

石田-トラウトで決定戦 21日にWBAが入札へ

 WBA世界S・ウェルター級暫定王者石田順裕(金沢)の次期防衛戦に関して2つの異なる情報が入ってきた。最初は、メキシコで予定される9位ディエゴ・アルバレス(メキシコ)との試合がまたも延期となり、「10月9日、アグアスカリエンテ」に変更になったというもの。ただしこれは以下のニュースによって否定された。
 WBAがこのカードを承認せず、代わりに石田は指名挑戦権を持つ3位オースティン・トラウト(米)と正規王座の決定戦に出場するというのだ。これは、ミゲル・コットが「スーパー・チャンピオン」に昇格するため、正規王座が空位となるからだという。WBAのオフィシャルサイトでも発表されているから、石田はアルバレスではなくトラウトと対戦することで間違いあるまい。石田-トラウトの勝者は90日以内に6位のネルソン・リナレス(ベネズエラ=ホルヘの兄)との対戦を義務づけられている。引き分けの場合は石田がリナレスと対戦すべしというから、これは暫定王者の特権か。
「1日も早く統一戦をやって暫定をとりたい」と常々語っている石田にとっては、チャンス到来だが、ではいつ、どこでやるのかは、これから決まる。WBAはこの試合の入札を今月21日にパナマシティの本部で行うとしている。
 突如このニュースを聞かされた金沢英雄・金沢ジム会長はビックリ。「どうなっているか分からん、おかしいわ。局長(JBC安河内剛本部事務局長)と相談しないと……」。現時点では、入札に行くかどうかも分からないという。
 なお石田はメキシコでの試合に備えて今月5日にロサンゼルス入りし、同地でトレーニングを続けている。さぞや困惑していることだろう。写真は8月5日大阪市内で催された壮行会の石田。

箕輪が2回戦進出 アマ女子世界選手権2日目

 AIBA(国際アマチュアボクシング協会)の第6回女子世界選手権大会がカリブ海のバルバドス島ブリッジタウンで開催されている。今回の世界女子は、世界75ヵ国から計306名が参加する、これまで最大規模の大会。9日からスタートした予選も2日目を終え、日本は代表4選手のうち2選手が敗退したが、バンタム級の箕輪綾子(ウィングコーポレーション)が勝ち進んでいる。
 箕輪は1回戦でルス・オドンゴ(ケニア)と対戦し、初回いきなり7ポイントを獲得するなど終始攻勢に試合を進めた。4回を終えて、18-2と大差でポイント勝ちした。次は前回2008年のフライ級銀メダリストエレナ・ザベリエバ(ロシア)が相手。難関である。
 48kg級出場の池原久美子(正起屋)は、9日の初戦でロ・ジャオリン(中国)に19-4のポイント負け。10日フライ級の新本亜也(クリエイティブジャパン)も、前大会L・バンタム級(今回から廃止)の優勝者レン・コンコン(中国)に13-4でポイント負けしている。
 フェザー級の釘宮智子(平成国際大学)は12日にビアトリア・グルコウィッチ(ロシア)と対戦の予定。

鈴木が6回TKO勝ち 大阪の試合結果

 11日、大阪KOREA会館で行われたアポロジム主催の「虎寿司KOボクシング」メイン8回戦は鈴木優作(アポロ)が松下泰士(ヨシヤマ)に6回TKO勝ちした。松下のヒット&アウェー戦法に手を焼いた鈴木だが、6回開始早々、飛び込みざま放った左フックで相手をダウン。ダイブするように顔から倒れた松下のダメージを見て取った坂本主審が試合をストップした。タイムは38秒だった。鈴木の戦績は7勝6KO5敗1分。

2010年9月10日金曜日

鬼塚から内山まで、「肖像」富田浩二写真展

 元プロボクサーの写真家、富田浩二さん(43)が自身2度目となる個展を開く。9月16日から23日まで、東京・渋谷の「カフェ&ギャラリーまんまるの木」で。
 今回は「拳闘/肖像」と題して、世界チャンピオン、あるいは世界戦経験者など、長期間にわたって撮り続けた中から、モノクロームの作品35点ほどを展示する。古くは鬼塚勝也、辰吉丈一郎から、最新の内山高志まで、世界チャンピオンと、世界戦挑戦者の肖像写真を集めているという。写真は竹原慎二を撮った作品。
 写真展会場「まんまるの木」住所と電話は次の通り。東京都世田谷区池尻2-37-15 ☎03-5787-8793 田園都市線池尻大橋下車。徒歩5分。展示時間は火~木は10:00~20:00、金・土は10:00~22:00、日は10:30~19:30。

オルティス、菊地公開スパー--13日後楽園でWBC世界女子戦


13日後楽園ホールで行われるWBC女子世界ミニフライ級タイトルマッチに出場する王者アナベル・オルティス(メキシコ)と挑戦者6位菊地奈々子(白井・具志堅S)が10日、白井・具志堅ジムで会見と公開練習を行った。
 菊地は「今回が一番というくらい調子がいい。あと3日、気を抜かずにコンディションを保ち、最高の状態でリングに上がりたい。年齢的(35歳)にもラストチャンス。20分間すべてを出してベルトを獲りたい」と抱負を述べ、2ラウンドのスパーを披露した。
 一方の王者は「今回は初めてづくし。日本に来たのはもちろん、外国で試合するのも初めて。長く試合ができず、防衛戦も初めて。ナーバスになっています」といいつつすでに秋葉原でショッピングをする余裕。「ワタシはすばらしいボクサー。何でもできるけれど、インテリジェンスのあるボクシングが長所。私の誇りである娘たち(6歳と3歳)からも“ママ、絶対勝って来て”といわれている。その期待に応えたい」と語り、こちらはシャドーとミット打ちを披露した。
オルティス 11勝4KO1敗
菊地   5勝4KO1敗

金田TKO勝ち

 9日夜、後楽園ホールのメイン8回戦は日本ミニマム級3位の金田淳一朗(白井・具志堅S)が須江伸太郎(KS)に7回2分2秒TKO勝ちした。
 金田はステップを踏み前後左右に動きながら鋭い左リードを飛ばして攻めた。好調さをうかがわせる動きで3回には得意のラッシュで須江を防戦一方に。その後はやや長引いたが7回に左フックと右ストレートで相手をとらえ、ストップに追い込んだ。
「ヒット・アンド・アウェーを練習して、それができたけど、効かせた時に出ていくための臭覚がなくなっていてショックだった」と素直に語った金田。「タイトル戦を4度やって、ダメだったんですけど、もう意地ですね」と念願のタイトル奪取に前を向いていた。日本チャンピオンの八重樫東、25日にOPBF王座に再挑戦する黒木健孝の2人と戦いたいという。21勝14KO4敗1分。
 セミ8回戦は金子ジムのサウスポー後藤俊光が道産子ファイター早坂(ワタナベ)に3回TKO勝ちした。

2010年9月7日火曜日

10.24両国国技館 ゴンサレスは2階級制覇狙いレベコに挑戦


 西岡-モンローのWBC世界S・バンタム級タイトルマッチをメインとする10月24日・両国国技館の「WOW FES!」のアンダーカードには、帝拳ジムの看板選手ホルへ・リナレス、亀海喜寛、山中慎介らが元世界王者や世界ランカーと対戦するが、これにさらに豪華カードが加わった。日本のファンにもおなじみWBA世界ミニマム級チャンピオンのローマン・ゴンサレス(ニカラグア=左写真)が、1階級上のWBA世界L・フライ級チャンピオン、フアン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)に挑戦することが正式決定し、6日帝拳ジムから発表された。
 初来日するレベコ(27)は、07年に亀田興毅返上のWBA世界L・フライ級王座を獲得。1度タイトルを失ったが、08年ハビエル・テジョ(パナマ)を6回KOに沈めてWBA同級暫定王座を獲得。のちに正規王者に昇格し、今度が3度目の防衛戦となる。プロキャリア6年半で、25勝15KO1敗。
 これに挑むゴンサレス(23)は、“チョコラティート”の愛称で知られる軽量級屈指の強打者。デビュー以来16連続KOをマーク。08年9月新井田豊(横浜光)に4回TKO勝ちしてWBA世界ミニマム級王座獲得。これを含めて日本で4戦全勝2KO。プロキャリア5年でトータル26戦全勝22KO勝ちと不敗記録を維持している。 今回はタイトルを保持したまま、2階級制覇を狙う。
 試合チケット(3万、2万、1万、5千)は4日から一般販売に入り、「WOWOW」「チケットぴあ」「帝拳ジム」で受け付け中。問い合わせは帝拳ジム(03-3269-6667)まで。

8月のMVPに清水 敢闘賞は芹江

 東日本ボクシング協会は6日、8月度の月間三賞を発表した。月間最優秀選手賞には、8月9日の日本フライ級タイトルマッチでキューピー金沢(青木)の挑戦を6回TKOに撃退したチャンピオンの清水智信(金子)=写真=が選ばれた。今回が同賞初受賞となる。
 同じく敢闘賞は、8月9日の日本S・バンタム級タイトルマッチで、福島学(花形)の挑戦を7回終了TKOで退けた、チャンピオンの芹江匡晋(伴流)が選ばれた。新鋭賞は今回該当者なし。
 清水、芹江両選手の表彰式は、9月22日、後楽園ホールのリング上で催される。

2010年9月5日日曜日

MVP岩佐 技能・氏家、敢闘・田中        最強後楽園決勝で波乱も

 日本タイトル挑戦権を懸けたトーナメント「最強後楽園」の決勝が5日午後、後楽園ホールで行われ、7階級で熱闘が繰り広げられた。この結果、渡部あきのりら7選手が来年のチャンピオンカーニバルでタイトルに挑戦する権利をゲットし、証書を受け取った。
 三賞は、最優秀選手に岩佐亮佑(バンタム級)、技能賞に氏家福太郎(ミドル級)、敢闘賞に田中教仁(ミニマム級)が選出された。氏家は本命視された7戦全KOの胡(えびす)朋宏を逆転KOに沈め、2007年以来となる2度目の王座挑戦を決めた。田中は世界ランカーのブンブン東栄を初回で倒す殊勲を挙げたものだ。
 バンタム級岩佐は、元アマの逸材。ベテランの臼井欽士郎をスピードで圧倒し、4回の左ストレート直撃弾でストップ勝ち。予想をしのぐ出来で、大器ぶりを十分に発揮してMVPに選ばれた。岩佐(20)はこれで8戦全勝6KO。
 ウェルターも注目の一戦。渡部あきのり(旧名・牛若丸あきべぃ)が下川原雄大と真っ向から打撃戦を展開。かなり被弾もあったが、4回に力ずくで下川原をねじ伏せ、レフェリー・ストップ勝ち。現在日本王座は空位のままで、22日に行われる加藤壮次郎×沼田康司の決定戦の勝者に挑戦することになるが、加藤が勝てば協栄ジムの同僚だけに、別な機会を探すことになろう。写真上は臼井㊧に右ストレートを決める岩佐。MVPを手にした。同下写真は全KO勝ちの胡からダウンを奪う氏家。この直後にホープは初黒星を喫する。
各級の決勝結果は下記の通り。
MM級 田中教仁(ドリーム) TKO1R1分42秒 ブンブン東栄(一力)
F級  小林タカヤス(川島)負傷引分 吉田拳畤(ワタナベ)
     ※小林の勝者扱い
B級  岩佐亮佑(セレス)TKO4R1分8秒 臼井欽士郎(横浜光)
Fe級 木原和正(ウォズ) 判定 上野則之(ワタナベ)
L級  中森宏(平仲ボクシングスクール) TKO7R3分 小出大貴(緑)
W級  渡部あきのり(協栄) TKO4R1分35秒 下川原雄大(角海老宝石)
M級  氏家福太郎(新日本木村) TKO4回分秒 胡朋宏(横浜光)

有冨、地元戴冠ならず……東洋太平洋フライ級戦

 5日、名古屋国際会議場で行われたOPBFフライ級タイトルマッチは、王者ロッキー・フエンテス(比)が1位挑戦者の有富康人(松田)に8回2分13秒TKO勝ち。タイトル防衛に成功した。有富は地元での戴冠ならず。 左フックを顔に腹にと打ってくるフエンテスに対し、有富も必死に左ボディーで対抗したが、試合は終始王者ペース。5回に右スイングでダウンした有富は以降の王者の攻勢に耐えるも手数が減り、8回に連打でストップされた。 またセミに登場した前OPBF・Sバンタム級王者の大橋弘政(HEIWA)は比国ランカーのマーク・ジョン・ヤップに苦戦。好選手ヤップに序盤をとられたものの、持ち前の馬力で追い上げ、6回7回とダウンを奪って相手をヘトヘトにさせた末の逆転判定勝ちだった(77-73、76-74、76-75)。これで下田昭文戦から再起したことになるが「俺が弱かった。負けるかと思った」と率直に振り返っていた。

ミランダWBOフライ級初防衛

 4日、メキシコで行われたもう一つの世界戦、モンテレーのWBO世界フライ級タイトルマッチは王者フリオ・セサール・ミランダ(メキシコ)が挑戦者ロナルド・ラモス(コロンビア)に9回開始TKO勝ちで初防衛に成功した。
 初回、ボディー打ちから右で倒したミランダに、早い結末が予想されたが、ラモスは軽打ながらサウスポーから連打を見舞って反撃。中盤ミランダはパンチの的中率が落ち、攻めあぐむ。しかし疲労からラモスはジリ貧。再び王者がプレスをかけて盛り返し、コロンビア人をリタイアさせた。
 以前フェルナンド・モンティエルも巻いたベルトを守ったミランダは33勝26KO5敗1分。世界初挑戦だったラモスは29勝15KO9敗3分。

ソリス&ニーニョTKO防衛 グアダラハラの2タイトル戦

 内山高志の暫定王者、WBA世界S・フェザー級暫定王者ホルへ“コロラディート”ソリス(メキシコ)-挑戦者4位フランシスコ・コルデロ(コロンビア)の一戦が4日(現地時間)メキシコ・グアダラハラで行われ、ソリスが6回1分48秒TKO勝ちで2度目の防衛に成功。
 初回、果敢に仕掛けた無敗のコルデロだが、ソリスの逆襲を食らい、ダウン。その後もメキシカンがボディーを集中して攻め、4回コルデロはコーナーに沈む。辛うじて続行に応じた挑戦者は抵抗したが、王者のコンスタントな連打の前に6回、ストップされた。
 ソリス(30歳)は40勝29KO2敗2分。コルデロは23勝15KO1敗。
 同じリングで行われたWBC世界L・フライ級戦は地元の王者オマール・ニーニョ(メキシコ)がスピードを生かしたカウンターなどでペースを掌握。劣勢に陥った挑戦者ロナルド・バレラ(コロンビア。日本で新井田豊と対戦)は7回開始ゴングに応じなかった。ニーニョはロデル・マヨールから奪った王座の初防衛を果たした。

シュトゥルム、8度目の防衛 WBAミドル級戦

 ドイツのケルンで4日(現地時間)行われたWBA世界ミドル級タイトルマッチは王者フェリックス・シュトゥルム(ドイツ)が挑戦者7位ジョバニ・ロレンソ(ドミニカ共和国)に12回3-0判定勝利で、8度目の防衛を果たした。
 14ヵ月ぶりの試合となったシュトゥルムは慎重な立ち上がりだったが、固いガードと柔軟なボディーワークでロレンソのアタックを遮断。攻めては左ジャブ、左フック、右アッパーとスピードに乗ったパンチでポイントを蓄積。中盤からドミニカ人の顔は腫れ上がった。スキルの確かさも十分見せ付けた王者は無理を冒さず、逃げ切った。スコアは117-111が2人に118-111でシュトゥルムの勝ち。
 勝者は同胞のIBF王者セバスチャン・シルベスターとの統一戦も噂される。 =PHOTO/SUMIO YAMADA=

ゴンサレス、アルファロとも前哨戦楽勝

 10月24日に日本で試合予定があるニカラグアの新旧チャンピオンが3日(現地時間)地元ニカラグアのリングで調整試合を行い、揃ってTKO勝ちをマークした。WBA世界ミニマム級王者ローマン・ゴンサレスは、ヘスス・リモネス(メキシコ)を初回にダウンさせた後、2回早々にフィニッシュした。これでゴンサレスは26戦全勝22KOと不敗記録を伸ばした。同じリングで元WBA世界ライト級王者ホセ・アルファロは10回戦に登場し、ホエル・フアレス(メキシコ)をこれも2回でかたづけた。
 10月24日東京で、アルファロは日本S・ライト級王者亀海喜寛(帝拳)と10回戦で対戦することが決まっている。またゴンサレスも同じリングに出場するが、詳細はまだ発表になっていない。

2010年9月4日土曜日

荒川は大村をTKO撃退 日本ライト級戦

 4日後楽園ホールの太田-湯場戦と同じリングで行われた日本ライト級タイトルマッチは、チャンピオン荒川仁人(八王子中屋)が同級4位大村光矢(三迫)の挑戦を5回TKOで撃退し、4月に近藤明広(日東)を破って手に入れたタイトルの初防衛に成功した。
 挑戦者も初回から果敢にアタックして迫ったが、技巧の王者はあわてず、サウスポースタイルからタイミングのいいジャブ、左ストレートをビシビシ。5回に左ストレート直撃弾で大村が天を向くと、すかさす追撃の連打。マーチン主審が早めのストップをコールして、試合終了となった。タイムはこの回54秒だった。
 結局この夜のダブルタイトルマッチは、チャーリー、荒川と八王子中屋所属のチャンピオンがそろってベルトを守った。写真は挑戦者大村に右ストレートを決める荒川