20日のダブル世界戦(さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ)で内山高志、河野公平と対戦する外国人選手2人が16日、都内のワタナベジムで練習を公開した。
内山のWBA世界S・フェザー級タイトルに挑むロイ・ムクリス(23歳=インドネシア)は物静かな印象。「夢だった」という来日を果たし、世界ベルト奪取の希望を語ったが、話が7月に急死したマネジャーのテムジン・ランビンさんに及ぶと突然泣き崩れた。故・テムジンさんはムクリスの兄弟子にあたるクリス・ジョン(WBAフェザー級スーパー王者)がオーストラリアに本拠地を移した後、ムクリスに世界チャンピオンの期待をかけていたという。またムクリスは14歳の時に火事で両親を亡くし、15歳でスタン・ランビン氏(故テムジンさんの父親)の養子となったことも明かされた。「絶対にチャンピオンになって、亡くなったプロモーターに誇りをみせたい」――ムクリスは静かに炎を燃やしている。
トレーナーでもあるスタン氏によると、ムクリスはカウンター・パンチャー。それをうかがわせるように、2ラウンドのスパーではアップライト気味に構え、パンチに対する反応も悪くなかった。
ムクリスの練習後には、河野公平とWBC世界S・フライ級王座を争うトマス・ロハス(30歳=メキシコ)が報道陣の前に登場。こちらは「河野の映像は見たことがない。戦績だけ」と告白し「リングの相手の出方次第で対応する」と自信をのぞかせた。
33勝23KO12敗1分1NCと負けも多いロハス。しかしダルチニヤン等の著名選手との対戦で喫したものもあり、本人は「負けの数は恥ではない。キャリアだ」と胸を張った。細めのアゴから打たれモロいのではとも推測されるが、実際、12敗のうちKOされたのはダルチニヤンとアルセ戦のみ。ここ4年間に限れば3敗しかしておらず、ロハスの言は決して強がりではあるまい。
ロハスの自己分析によると「決まったパンチよりもコンビネーションで相手を痛めつけるのが得意」。この日はスパーは行わず、念入りの柔軟運動、ミット打ちなどを披露した。サウスポー・スタイルで一定の距離をとりつつ右リード、ワンツー、返しの右フックとトレーナーのミットに打ち込む。右フック、右アッパーを思い切りよく振っており、偵察した渡辺均会長も「思ったよりパワーはある」と警戒した。ただし「ひとつの場所でジッとしていないのは、やはり脚を止めて打ち合うことに不安があるのでは。いかに河野はそこに持ち込むかでしょう」ともみていた。(写真上はスパーを披露するムクリス、同下はロハスのミット打ち)
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