2010年11月30日火曜日

4大タイトル戦公開練習






 12月6日に開催される4大タイトルマッチの公開練習が30日、協栄ジムで行われた。
 関西から秋田屋まさえ(ワイルドビート)を迎え5度目の防衛戦に臨むWBC女子世界アトム級王者・小関桃(青木)は「相手は脚を使ったボクシングがうまいので、アウトボクサーにどう対処するかを練習してきた」とコメント。WBA女子世界S・フライ級王座に挑戦する藤本りえ(協栄)と2ラウンドのスパーを公開し、サウスポースタイルのキビキビとした動きを披露した。
 小関とのスパーでは左ジャブを主体にした動きを見せた藤本は「減量もうまくいっていて順調」と言う。試合に向けたスパーリングはこれまでよりも多めの60ラウンドをこなした。藤本の挑戦を受けて立つチャンピオン、天海ツナミ(山木)は「(藤本は)ストレートに伸びがある。それは気をつけたい」と警戒点を挙げつつも「前回の防衛戦より今回は距離が近くなる。打ち合いの中で技術を見せたい」と自信を感じさせた。こちらはシャドー、バッグ打ちをそれぞれ1ラウンドこなした。
 また福本雄基(三谷大和S)を迎えて日本S・フライ級王座の防衛戦に臨む佐藤洋太(協栄)も2ラウンドのスパーリング。ロープを背にしながらも鋭い左右のストレート、アッパーをカウンターするなど、テクニックを披露していた。こちらは「欲を出すとこけちゃうタイプなので」と前置きしつつも「日本タイトルを獲って欲が出てきた。世界の匂いがするような勝ち方をしたい」と宣言した。
 当日はもうひとつ加藤壮次郎(協栄)-井上庸(ヤマグチ土浦)の日本&東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチも行われる。加藤の持つ日本タイトルと、空位の東洋太平洋タイトルが争われる。
(写真は上から小関-藤本のスパー、会見に臨むツナミ、スパーを公開した佐藤)

丸山、サウスポー対決を制す


 29日夜後楽園ホールのメイン8回戦はライト級のサウスポー対決。日本同級10位丸山伸雄(八王子中屋)がノーランカー佐々木悟(ヨネクラ)を2回58秒TKOに下した。
 大柄な佐々木が勢いよく攻め込んだが、丸山は冷静にブロックで被弾を避けると右フックをリターン。2回早々にこのパンチで佐々木をぐらつかせると、主審が試合をストップした。丸山は「最強後楽園」で中森宏に敗れて以来の再起に成功。「もう一度ランキング選手とやって、勝って自信をつけたい」と話していた。12勝3KO4敗1分。
 またセミ8回戦では日本S・ウェルター級7位山本忍(石橋)がミドル級2位の田中徹(横浜光)に3-0判定勝ち。初回に山本は右カウンターでダウンを奪い、アウトボクシングの田中を上下の攻めで終始追い続けた。これでキャリア10勝目(7敗)。
 もうひとつの8回戦は青山慶洋(角海老宝石)が人見斉光(帝拳)に5回終了時点で負傷判定勝ちを飾った。

2010年11月29日月曜日

セグラTKO勝ち バスケスもV1

 27日(現地時間)メキシコ・ティファナにWBA&WBO世界L・フライ級統一チャンピオン、ジョバニ・セグラ(メキシコ)が登場。同国のマヌエル“チャンゴ”バルガスと10回戦を行った。
 イバン・カルデロンとの統一戦を制して3ヶ月ぶりのリングとなったセグラは、この日も開始ゴングとともに自信満々攻め込む。初回、早くもセグラの左右でバルガスはキャンバスに這った(主審はスリップと判断)が、2ヶ月前、WBO世界J・フライ級暫定王者ラモン・ガルシアに挑み、2-1判定で惜敗したバルガスはセグラの強打を食らっても勇敢に打ち返し、試合を盛り上げる。前進を止めないバルガスに四苦八苦する場面もあった統一王者だが、パワーと手数で押し込み、前半左目をカットしたバルガスはラウンドを追うごとに出血に悩まされる。7回終了時にドクターが主審にストップを要請し、試合が終わった。公式TKOタイムは8回10秒となっている。
 セミで行われたIBF世界ライト級タイトルマッチはチャンピオン、ミゲール・バスケス(メキシコ)が挑戦者リカルド“ペロン”ドミンゲス(メキシコ)に3-0判定勝ちで初防衛に成功した。
 リング狭しと動き回るバスケスが2回からペースを掌握。パワーレスだが、スキルフルなバスケスが、今年WBC王者ウンベルト・ソトに挑戦し判定負けしたドミンゲスの両目をカットさせて攻勢を印象づけた。スコアは120-108,119-109,118-110でバスケスと、大差がついた。

2010年11月27日土曜日

中国金5個 アジア大会フィナーレ

 第16回アジア競技大会のボクシング競技は26日夜最終日を迎え、女子2階級、男子5階級の計7カードの決勝戦が行われた。前日の決勝初日で金2個をゲットした地元中国はこの日も強く、3選手が勝って金5個とした。08年の北京五輪金メダリストのゾウ・シミンは49kg級で強豪ジャキポフ(世界選手権銅)を2回に逆転して優勝している。
 また91kg級はシリアの22歳ゴスーンがインドのシンを制し、アジア大会のボクシングで同国に20年ぶりの金をもたらす快挙を演じた。この日の結果は下記の通り。
・女子
60kg級 チェン・ドン(中国)判定13-4 トンジャン・タサマリー(タイ)
75kg級 リ・ジンジ(中国)RSC4回 エルデネソヨル(モンゴル)
・男子
49kg級 ゾウ・シミン(中国)判定9-5 ジャキポフ(カザフスタン)
56kg級 ペッチクーム・ウォラポジ(タイ)判定8-3 ツァン・ジァウェイ(中国)
64kg級 ダニヤル・エレウシノフ(カザフスタン)判定16-1 サントシュ・ビロスー(インド)
75kg級 ビジェンダー・シン(インド)判定7-0 アッボス・アトエフ(ウズベキスタン)
91kg級 モハメド・ゴスーン(シリア)判定8-1 マンプリート・シン(インド)

明日マルケス-カツィディス戦 計量パス


 ラスベガスのMGMグランドで明日27日(現地時間)挙行される世界ライト級3冠戦の計量が26日午後、同会場で行われ、フアン・マヌエル・マルケス(メキシコ=WBAスーパー王者、WBO正規王者)が134ポンド(60.78キロ)、マイケル・カツィディス(オーストラリア=WBO暫定王者)が135ポンド(61.23キロ)で無事クリアーした。
 マルケスはパッキアオとの第3戦がクローズアップされており、勝利はもちろん、その内容が注目される。カツィディスは長年トップシーンに君臨するメキシカンを食ってビッグマッチに生き残りたいところだ。
 同じリングで行われるWBC世界ウェルター級戦は王者アンドレ・ベルト(米)が145ポンド(65.77キロ)、挑戦者フレディ・エルナンデス(メキシコ)がリミットの147ポンド(66.68キロ)だった。
 もう一つのS・フェザー級10回戦は階級転向を図るWBA世界S・バンタム級スーパー王者セレスティーノ・カバジェロ(パナマ)、相手のジェイソン・リッツアー(米)とも130ポンド(58.97キロ)を計測した。カバジェロは最初のトライで1.5ポンドオーバーしていた。
=photo/GDP=

長谷川&粟生 W2階級制覇一夜明け

 そろって2階級制覇に成功した長谷川穂積(真正)、粟生隆寛(帝拳)の両チャンピオンが試合から一夜明けた27日、名古屋市内のホテルで会見に臨んだ。
 ともに「勝ってホッとしている」と感想を述べた長谷川と粟生。長谷川は「昨日は粟生の試合のおかげで力がすごい入った」と、弟分の見事な戴冠に刺激を受けたと強調し、粟生も「いつも(長谷川に)勇気をもらってばかりだったので、今回は少しでも力になれれば、という気持ちでした」と語った。
 内容について長谷川は「どうしても気持ちが入っていて、うまさより強く見せようとしてしまった。次はうまく戦ってきれいな顔で終わりたい」。久々の激闘で顔には傷が目立ったが「腫れているだけ」(長谷川)とダメージはないという。
 粟生の試合については浜田剛史・帝拳ジム代表が「技術プラス、アルファの力が出た。やろうとしたことはほとんど出せたし、そうでなければ勝てない相手でしたから。実力をすべて出したと思います」と、たたえた。
 長谷川は次戦で元バンタム級王者のジョニー・ゴンサレス(メキシコ)を迎え、粟生もメキシカン挑戦者が有力。再び同時出場の可能性もあるが、これについては「またやりたい。今度は俺が先に試合をして、粟生に力をあげたいとも思う」と長谷川が言えば、粟生も「一緒に試合をするのは光栄です。ただ僕が先に試合をしたい」と返した。すべての交渉はこれからとなるが、時期的なタイミングからWBC・S・バンタム級王者西岡利晃(帝拳)をくわえた豪華トリプル防衛戦の構想もある。

長谷川、フェザーも制す ブルゴスに判定勝ち

 再起戦で2階級上げて世界戦に挑んだ長谷川穂積(真正)が見事にベルトを巻いた。フアン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)に3-0判定勝ちし、バンタム級に続く“飛び級”2階級制覇に成功した。
 これが再起戦のリングでもある長谷川は序盤、硬さがうかがえた。それでも持ち前のスピードを生かした左ストレート、右フックでブルゴスを攻め、優位に試合を進めた。だが7回長谷川はメキシカンの左アッパーをアゴに食らい、ぐらつくピンチ。ここを驚異的にも打ち返してしのいだ長谷川。8回には偶然のバッティングで右目上をざっくりと切ったが、WBCルールによりブルゴスが減点を食い、勝利へと近づく。ポイントをリードする一方でこの日の長谷川は足を止めて打ち合うシーンが多く、珍しく被弾もしてハラハラとさせた。終盤2回ブルゴスは右目下を大きく腫らせながらも攻勢を続け、長谷川はクリンチも使いながらの打ち合いとなった。
 公開採点で行われた試合は結局長谷川が一度もリードを許すことなく117-110が2者に116-111のスコアで勝利。さまざまな重圧に負けず、長谷川が見事に世界チャンピオンに返り咲いた。リング上で亡き母への思いを語り、弟分の粟生と喜び合った長谷川は控え室でも「勝てて良かった」と第一声。
「途中まではよく動いて戦えたけれど、カットをしてから自分のボクシングができなかった。でも今日は強い気持ちを見せたかった、というのもある」とコメント。フェザー級で戦った感想は「(相手が)倒れないな、ということ。バンタムとは違う」と言いつつも「これでよく分かりました。これを次に生かさないと」と、自信とともに今後の修正の必要性をも語っていた。

粟生2階級制覇! タイベルトを撃破

 26日名古屋の日本ガイシホールで行われたダブル世界タイトルマッチの第一試合、WBC・S・フェザー級戦は、挑戦者で同級2位の粟生隆寛(帝拳)が王者ビタリ・タイベルト(ドイツ)からダウンを奪って3―0判定勝ちをおさめ、新チャンピオンとなった。これでWBCフェザー級に続く2階級制覇に成功した。
 この日の粟生は、立ち上がりからタイベルトにプレッシャーをかけ続けて、3回にはチャンピオンが得意の左フックを放つ前に速い左ストレートを打ち込み鮮やかなダウンを奪った。アマチュアの経験も豊富な試合巧者タイベルトも必死に手を出して反撃を試みたが、粟生はその後も優勢を保ち続ける。タイベルトは7回に粟生のパンチで左目を切られ、8回には別な箇所からさらに激しく出血。9回には粟生の連打にタジタジとなる。粟生は10、12回にも左を好打し、最後まで気を抜くことなく長丁場を乗り切った。スコアは115―112、118―112、116―110と全ジャッジが粟生の勝利を支持していた。
 感激屋の粟生は初めて世界王者になった時と同様テレビの勝利者インタビューで感涙に声を詰まらせたが、落ち着きを取り戻すと、「タイベルトは思ったより速かった。自分から行って(試合を)作りたかった。もっといけたのに」と反省の言葉が口をついた。それでも「これで長谷川さんに繋げられました」と、兄貴分の長谷川の試合に弾みをつけられたことを喜び、また涙。試合が近づくと、インタビューを切り上げ、長谷川の応援のためリングサイドに駆け出していた。

2010年11月26日金曜日

3位松崎、ノーランク岩井に敗れる

 26日後楽園ホールのセミファイナル8回戦で波乱--日本S・フェザー級3位の松崎保博(協栄)がノーランクの岩井大(三谷大和S)に判定負けを喫した。
 松崎の戦法はジャブから右強打につなぐパターンに終始。スピードに欠け、単調な試合を続けた。岩井もスピードには欠けたが、アッパー、ボディーブローに右ストレートとそれなりのバリエーションでランク獲りに意欲。終盤、松崎のボディー集中打を浴びたが右を返して押し返し、松崎の左目尻も切り裂いた。
 松崎はベテランらしからぬ試合運びで、75-78が2者に76-76の0-2判定で5敗目(20勝10KO1分)。殊勲の岩井は8勝4KO2敗。
 メインのウェルター級8回戦は、日本6位千葉透(国際)がファーペッチ・シットマノプチャイに1回1分55秒でKO勝ちしたが、タイ選手は2分足らずの間に2度のスリップに3度のダウンというていたらく。「倒れるようなパンチなんて当たっていない。最初から倒れるつもりなんでしょ。役者です」と千葉憮然。しかし「収穫は試合に備えてやってきたトレーニング。コンディションもよかった」と語って気を取り直していた。
 アンダーカードの8回戦は、森下裕己(協栄)が高桑和剛(輪島S)に6回TKO勝ち。またミニマム級8位の鬼ヶ島竜(三谷大和S)が5位濱中優一(国際)を初回57秒でKOし、3月の借りを返した。6回戦は和氣年邦(M.T)が福田勇輝(ワンツーS)に判定勝ちしている。

塩谷血染めの判定勝ち

 25日後楽園ホールのメイン8回戦に登場した日本S・バンタム級5位塩谷悠(川島)がノーランク山口卓也(レイS)に判定勝ちしたものの、山口のアタックに巻き込まれる格好で激戦に。塩谷がバッティングで、山口がパンチで負傷し最後は血みどろの乱戦になった。
 身長、リーチそしてキャリアで上回る塩谷。序盤は距離を詰めてくる山口の攻勢にジャブとカウンターで冷静な対処。初回山口の右でヨロめくものの右ストレートを繰り出し、4回にはこの右に左フックをつないでペースを握った。しかし、山口は塩谷の打ち終わりに好打。すると塩谷が熱くなって攻め返す。5回、バッティングで塩谷の左眉がザックリ切れて血が滴り落ちる。試合は、ランク奪取に意欲的な山口に呼応するように塩谷も正面から打ち合い、7回にはパンチで山口がカット。後半はタフな打撃戦となり、そのまま最終ゴングを聞いた。
 スコアは塩谷の77-76、78-76(2人)。ジャブを軸にしたアウトボクシングを練習してきたという塩谷は、思わぬ乱戦に反省ばかりだった。
 セミ8回戦は日本S・フライ級3位白石豊土(協栄)が永安潤之介(川島)に79-74(2人)、80-72と大差判定勝ち。白石はボディーショットで主導権を握り、フィニッシュこそ欠いたが磐石の試合運びだった。

2010年11月25日木曜日

地元中国早くも金2個 アジア大会決勝初日

 第16回アジア競技大会(中国・広州)のボクシングは25日夜仏山体育館で男子5階級、女子1階級の決勝戦が行われ、開催国の中国が早くも金2個を獲得。明日残りの7試合中4試合でどれだけ積み増しできるか?
 前日の準決勝戦で日本選手を破ったフィリピンの2選手は中国を相手に接戦を展開した。52級で須佐を制したサルダールはチャンに初回1-2で取られたものの、2回の攻勢で9-3と逆転。最終3回はチャンに反撃され3-6と取られ、辛くも13-11で制した。一方女子51kgで新本に完勝したアルバニアは、女子の世界王者レンと対戦。後半に反撃も及ばず、5-7でポイント負けし銀メダルに甘んじた。
 決勝の結果は下記の通り--。
・女子
51kg級 レン・カンカン(中国)判定7-5 アニー・アルバニア(比)  
・男子
52kg級 レイ・サルダール(比)判定13-11 チャン・ヨン(中国)
60kg級 クリシャン・ビカス(インド)判定5-4 フー・キン(中国)
69kg級 セリク・サピエフ(カザフスタン)判定9-3 U・ラフモノフ(ウズベキスタン)
81kg級 E・ラズロフ(ウズベキスタン)判定10-4 D・クマール(インド)
91kg超級 ツァン・ジレイ(中国)判定7-5 イワン・ダイチコ(ウズベキスタン)

高山のIBF挑戦は12月以降に延期

 元WBA世界ミニマム級王者で現在はJBCに引退届を出して活動している高山勝成(27=写真)は、27日(現地時間)に南アフリカのヨハネスブルクでIBF世界ミニフライ級王者ヌコシナティ・ジョイ(南アフリカ)に挑戦の予定だったが、これは現地プロモーターの都合により延期になっている。
 高山は出発予定だった21日の前日に主催者側からの連絡で延期を知らされたという。延期は「経済的理由」と伝えられ、スポンサーを探しているともいう。12月14日に行うという説もあるが、高山陣営に正式な通知はまだ届いていない。高山自身は「前(9月)にも南アフリカの試合で予定がずれ込んだことがあるので、(今回の延期は)想定ずみ」とマイペースで調整を続けている。
 高山は9月ツェポ・レフェレ(南アフリカ)との挑戦者決定戦に勝ち、現在はIBF1位にランクされている。24勝10KO4敗。

ダブル世界戦いよいよ明日ゴング




 ダブル世界戦の計量が25日、名古屋市内のホテルで行われ、出場4選手が一発で合格した。
 WBCフェザー級戦は長谷川穂積(真正)、フアン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)ともに57.0キロでパス。バンタムからクラスを上げた長谷川はほぼフェザー級上限の体重をつくってきた。「ベストコンディション。バンタムのときよりも体が軽い」と長谷川。計量後の食事についても「無理に腹に入れようとは思わない」といい、適量を摂って試合に備えるようだ。果たしてリングの上でどのような動きを見せられるか。「今回にかけては誰にも負けないくらい、勝ちたいという気持ちが強い」――。
 WBC・S・フェザー級戦は王者ビタリ・タイベルト(独)が58.7キロで、挑戦者の粟生隆寛(帝拳)がリミットの58.9キロ。この日も互いに笑顔でフレンドリーな雰囲気を醸し出したが、タイベルトについて粟生は「小さく感じた」とコメント。「長谷川さんと同じで、どんなに泥臭くなっても自分の手が上がっているよう、頑張ります」と必勝宣言をした。
 長谷川と粟生、そろって2階級制覇なるか!? 注目のゴングは明日、日本ガイシホールで――。

黒田辛勝-須田に2-0判定勝ち

 日本L・フライ級1位の黒田雅之(川崎新田)が24日後楽園ホールのメインに登場。同12位須田拓弥(沼田)と8回戦を行った。
 序盤、須田はフットワークを使って強打の黒田に的を絞らせない。距離をコントロールするとリズムがよくなり先手も須田が制した。黒田はジャブで丹念に追ったものの、須田は接近するときはしっかりくっつき、右アッパーを軸にコンビネーションブローをヒット。脚の止まった後半もほぼ互角の打ち合い。パワーで黒田がまさったものの、ゲームメイク、ペース掌握は須田のモノだった。
 ジャッジは76-76、77-76、79-74の2-0で黒田を指示したものの、「相手に付き合ってしまった……」と黒田は苦笑い。チャンピオンカーニバル出場も濃厚といわれる黒田だが課題を抱える前哨戦となった。黒田は18勝12KO3敗。
 セミ8回戦は石田將大(本多)が片桐秋彦(川崎新田)に2-1判定勝ち。

2010年11月24日水曜日

アマでも比国パワー猛威 須佐、新本とも敗退 準決勝

 須佐、新本とも決勝進出ならず――アジア競技大会(中国・広州)のボクシング競技は24日仏山体育館で各級の準決勝戦が行われ、52kg級の須佐勝明(自衛隊体育学校)はレイ・サルダール(フィリピン)に13-4でポイント負けした。サウスポーの相手に軽いパンチだったが的確に決められ、初回を1-3で失った後も、2回は2-7、3回1-3と取られ、無念の敗退。しかし須佐は前回06年のドーハ大会に続く銅メダルを獲得した。
 今回からアジア競技大会に初めて採用された女子の51kg級では、新本亜也(クリエイティブ・ジャパン)がやはりフィリピンのアニー・アルバニアと対戦、果敢に前に出たが、アルバニアにうまく死角からパンチを決められ初回0-6、2回0-5、3回1-2、4回0-3と取られ、トータルで1-16のポイント負け。「技術、経験とも相手が上で、完敗でした」(関係者)。

余裕しゃくしゃく?タイベルト ダブル世界戦調印式


 ダブル世界タイトル戦の調印式が24日、名古屋市内のホテルで行われた。
 WBCフェザー級を争う長谷川穂積(真正)は「メキシコの選手は気持ちが強く、(ブルゴスは)若いので、こちらもしっかりと強い気持ちを持って戦う」と簡潔ながらも力強いコメント。一方のブルゴスも「長谷川と戦うことは簡単なことではない」としつつ「長谷川に勝ってこそ、私の評価が上がる」と野心を隠さない。
 WBC・S・フェザー級戦は王者ビタリ・タイベルト(ドイツ)のリラックスした表情が印象的だった。席に着いた粟生に握手を求めたり、グローブチェックの際なども終始笑顔を絶やさず、余裕すら感じさせるものだった。「家にいるよう。準備は万端。(粟生は)強く、リングに上がるのが楽しみ。美しい試合をしたい」(タイベルト)。これを受けた粟生だが「美しいのはもちろんですが、見ている人が熱くなる試合をしたい。グリーンのベルトは僕のほうが似合うと思う」と、こちらも負けていない。互いにフレンドリーなムードだったが、本番のリングでは――?
 両試合のオフィシャル構成は以下のとおり。いずれも使用グローブは日本製8オンス。なお、ルールミーティングは明日行われることになった。
★WBCフェザー級……レフェリー=ロベルト・ラミレス・ディアス(プエルトリコ)/ジャッジ=ヒューバート・ミン、デュアン・フォード(ともにアメリカ)、ジョエル・スコビー(カナダ)
★WBC・S・フェザー級……レフェリー=ブルース・マクタビッシュ(フィリピン)/ジャッジ=デュアン・フォード(アメリカ)、金在奉(韓国)、ノパラット・スリチャロン(タイ)

「アマのプロ大会」ワールドシリーズ開幕


「アマチュアのプロ大会」と注目されるチーム対抗戦、ワールド・シリーズ・オブ・ボクシング(WSB)の第1試合が先週末から世界3大陸の6ヵ所で開催された。23日(現地時間)にはマイアミ・ギャロス対ロサンゼルス・マタドールズの対抗戦がマイアミのアメリカンエアライン・アリーナで行われ、地元のマイアミが3-2でロサンゼルスを制して1勝目を上げた。
 マイアミはバンタム、ライトの2階級を取られた後、ミドル、L・ヘビー、S・ヘビー級で3連勝して逆転。L・ヘビー級では08年北京五輪の銀メダリスト、ケニー・イーガン(アイルランド)がドリアン・アンソニーに3-0判定勝ちしてタイ、S・ヘビー級では09年大統領杯銅のトレント・ローリンス(豪)がデビッド・イモーシリに勝って逆転。チームとして1勝目を上げた。写真は勝利したマイアミ・ギャロスのメンバー(PHOTO/WSB)
 これでWSB全12チームの第一試合が終わった。結果は下記の通り(右端は試合地)
◇欧州
ミラノ・サンダー 3-2 パリ・ユナイテッド=ミラノ(イタリア)
クレムリン・ベアーズ 3-2 イスタンブルズ=モスクワ(ロシア)
◇アジア
アスタナ・アーランズ 5-0 仁川レッドウィングス=アスタナ(カザフスタン) 
バクー・ファイアーズ 5-0 北京ドラゴンズ=バクー市(アゼルバイジャン)
◇米州
メキシコシティ・ゲリラズ 5-0 メンフィス・フォーセス=メキシコシティ
マイアミ・ギャロス 3-2 ロサンゼルス・マタドールズ=マイアミ(米)
 WSBはAIBA(国際アマチュアボクシング協会)の首脳が提唱して始まった新企画。日本のプロ野球に似たフランチャイズ制を敷き、3大陸の計12都市に本拠地を置くチームによる対抗戦。試合報酬・賞金が用意され、同時にアマチュア資格を失うことがないという特典がついており、さらに5階級の優勝者には無条件で五輪出場資格も与えられるという。「オリンピック・ボクシングとプロボクシングの架け橋になる」というスローガンを掲げているが、アマの逸材をプロに流出することを阻止する狙いもあるとみられる。日本選手の出場の可能性もあるという。

2010年11月22日月曜日

長谷川もミット打ちを公開 

 ブルゴスの後、公開練習に臨んだ長谷川穂積(真正)。「減量するということについては以前と同じなので、その疲れはある」と言いつつも、バンタム時代に比べて楽になった体重調整は順調のようだ。
 再起戦で2階級も上げて世界戦という、異例の冒険。最大の注目点はフェザーの長谷川がどれだけ強いのか、ということだが「最後まで集中力切らさず動けると思います」と、もちろん本人は前向き発言。先日のパッキアオ-マルガリート戦について触れ「パッキアオは自分とは比べものにならないが、上の階級のさまざまな選手と戦っていて、またボクシングはそういう傾向にあると思う。自分もそれに乗りたい」(長谷川)。パッキアオもそうであるように、“階級の壁”に挑む長谷川は「スピードを生かして戦います」と自らの長所をフル活用するつもりだ。
 この日公開した練習は、シャドー、ロープのほか、山下会長とのミット打ちを2ラウンド。キビキビとしていて、バランスのいいコンビネーション・ブローを披露した。直前に見たブルゴスと比べ、「やはり速い」とうなる報道メディアも多くいた。

無敗ブルゴスが公開練習 26日ダブル世界戦

 26日のダブル世界タイトル戦で長谷川と空位のWBCフェザー級王座を争う同級1位のフアン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)が22日、名古屋市内で練習を公開。「6ラウンドまでに試合は終わると思う」と22歳の若者は自信を見せた。
 長谷川に勝っているところに「背の高さ、リーチ、パンチ力、持久力」を挙げたブルゴス。逆に警戒しているのはやはりスピードで「カウンターには気をつけたい。こちらは対策としてジャブ、ワンツー、ジャブをしっかりと打ちたい」。
 公開練習ではスパーリングは行わず、シャドー、ミット打ちを披露するにとどめたものの、決してパフォーマンス用ではなく、じっくりと時間を割いていた。サウスポーに構えたトレーナーとのミット打ちでは、しっかりと距離を保ち、相手の左ストレートのリターンに注意を払った攻防も。左のフック、アッパーを力まず打ち、コンビネーションの合間には右ボディーストレートも織り交ぜていた。
 ブルゴス自身が最大の利点に挙げる“体格の差”については「鶏と熊ぐらい違う」という。「階級を上げてすでにハセガワは鶏ではないかもしれないが、それでも私の階級のボクサーではない」と強調した。

新本もメダル確定! 準々決勝で快勝 アマ・アジア大会

 男子の須佐に続き女子の新本も銅メダル以上が確定――アジア大会のボクシング競技は21日も広州近郊の仏山体育館で行われ、前日初勝利した51kg級の新本亜也(クリエイティブ・ジャパン)が準々決勝に登場。ベトナムのグエンに9-3の大差でポイント勝ちし、女子ボクシングが採用された初めてのアジア大会でメダル獲得を決めた。
 この日の新本は関係者が「最高のデキ」と絶賛した内容。出てくる相手に対し、スタートからガードを固めて果敢に応戦し、打たさずに打つ試合運びに徹した。初回2-1とした後も、回を追うごとにリードを広げた。
 新本は24日の準決勝で、カザフスタン、北朝鮮を相手に圧勝してきた強敵アニー・アルバニア(比)との対戦が予定されている。

2010年11月21日日曜日

青空西田が2年ぶりに勝利


 21日、山口県の徳山大学体育館で元日本フェザー級ランカー、青空西田(29歳=新日本周南)が約2年ぶりのリング。7勝6KO2敗1分の福岡孝太(明石)に5回TKO勝ちし、復帰戦を飾った。
 西田はファイター型の福岡に対し、脚を使ってジャブを突く戦法で対峙。しかし4回、右アッパーをミスしたところに相手の右を食らい、キャリア初のダウンを喫する。ダメージの残る西田は5回にもコーナーを背負い、福岡の右フックで2度目のダウン。大ピンチに陥ったものの、直後の打ち合いで右アッパーを直撃させて福岡を倒し返すと、立ち上がった相手を猛攻し、主審のストップを呼び込んだ。
 ブランクの錆つきを感じさせる内容ながら、相変わらずの強打者ぶりを発揮した西田は12勝11KO2敗2分。「ランカーとやりたい。どこへでも行くので」と再浮上のチャンスを求めていた。
 またセミで出場した空見山(新日本周南)は藤田晋矢(三松S)に8回3-0判定勝ちした。

清水敗退 女子は新本快勝 アジア大会の結果

 中国・広州で開催中の第16回アジア競技大会、ボクシング競技は21日6日目を迎え、56kg級準々決勝で期待の清水聡(自衛隊体育学校)がリ・ミョンソン(北朝鮮)と接戦を展開したが、16-13のポイント負けを喫し、惜しくもメダルに届かなかった。「試合全般を通じて清水の方が押していたはずですが、なぜかポイントにつかなかった」(関係者)。アウェイで戦っている雰囲気だったともいう。
 男子は清水の同僚・須佐勝明1人が勝ち残り、すでにメダル獲得が確定。24日の準決勝に出場する。
 この日は日本の女子代表2人も今大会初の試合に出場し、51kg級の新本亜也(クリエイティブ・ジャパン)がナンディンツェツェグ・ミアグマルドゥラン(モンゴル)に8-4でポイント勝ちし、準々決勝進出を決めた。サウスポーの相手は5月のアジア選手権の準優勝者で新本は準々決勝で負けている。しかし今度は新本が強気で攻め、右を有効にヒットして試合を進めた。初回は2-2の互角。新本は4回まで毎回2ポイントを上げ、逆に失点は初回と3回に2点ずつ失っただけだった。リベンジを果たした新本は明日ベトナムのグエンとメダルを懸けた一戦に臨む。
 60kg級には若手の釘宮智子(平成国際大学)が出場。セニヤ・フィリスティーバ(キルギスタン)と対戦すしたが、15-7でポイント負けし敗退した。初回2-2、2回は3-4、3回は0-2とここまではよく食い下がったが、最後の4回は足が止まったところに相手の右をもらい失点。この回を2-7と取られた。

藤田健が高校生チャンピオン MVPは林田 全日本アマ選手権


 第80回全日本アマチュア選手権大会は21日、山口県の上関町民体育館で決勝が行われ、2010年度の各級チャンピオンが決まった。
 MVPに輝いたのはL・フライ級で高校生・井上尚弥(関東・相模原青陵)の挑戦をはね返し3連覇に成功した林田太郎(日連・駒大)。“スーパー高校生”と話題の井上を迎え、林田は右のボディーショットなどで展開をコントロール。12-7でポイント勝ちした。=写真=
 技能賞にはバンタム級を制した成松大介(九州・東農大)が選ばれた。河田千誉(東海・拓大)との決勝戦は文句なしのポイント勝ちだったが「まだ上に清水(聡=アジア大会に出場中)がいます」と貪欲にナンバーワンを目ざしていた。
 高校生ながら全日本チャンピオンになったのがライト級藤田健児(中国・倉敷)。中山翔太(東京・日大)との試合では2回左ストレートでダウンを奪い4-3でポイント勝ち。「まだ夢のようです」と感激のコメントをした藤田は敢闘賞に選ばれた。
 各級決勝の結果は以下のとおり(左が勝者)。
L・フライ級 林田太郎(日連・駒大)ポイント 井上尚弥(関東・相模原青陵)
フライ級 青木貞頼(中国・東農大)ポイント 三須寛幸(日連・拓大)
バンタム級 成松大介(九州・東農大)ポイント 河田千誉(東海・拓大)
ライト級 藤田健児(中国・倉敷)ポイント 中山翔太(東京・日大)
L・ウェルター級 福森雄太(四国・近大)ポイント 越川孝紀(日連・駒大)
ウェルター級 山田崇人(関西・東農大)ポイント 井上岳志(東京・法大)
ミドル級 村田諒太(日連・東洋大職)RSC2回 鳴海友基(東北・拓大)

タイベルトは練習公開10分


午後5時からは王者ビタリ・タイベルトが会見と練習を公開した。 こちらのリラックスぶりは粟生以上か。会見でコンディションを尋ねられると「あまりよくない……冗談だよ。練習はいつも通りにやってきた。スパーリングは70ラウンド。これも通常と変わらない」と王者。マホメット・トレーナーも「彼とは11年も一緒にやって十分分っている。準備は万端です」と答えた。
 次に粟生の印象を尋ねられたタイベルトは「あなたには答えたでしょ。私はもう3回答えたよ」と笑いながらアナウンサー氏を困らせた。そう言いつつ答えた挑戦者の印象は「強くて尊敬している。大変なチャレンジャーを選んだ」というもの。トレーナーは「試合は熱いハートとクールな頭脳が勝敗のカギになる」と語った。
 粟生の公開練習を見に来なかったのは「寝ていたから」(トレーナー)だというが「すべてを見せるわけではないから意味がない」とマッチメーカー。タイベルトも「テクニックは研究済み。戦いの前に相手に会う必要はない」と余裕。リラックス感たっぷりの王者陣営だが、トレーニングの公開は冒頭の10分と制限され、報道陣が目にしたのは準備運動とミット打ちだけ。パンチのモーションが小さく、シャープに打ち切るミット打ちは実力の片鱗を表していた。

粟生、タイベルト公開練習


 26日、名古屋で行われるWBCダブル世界タイトルマッチの公式行事がスタート。21日にはS・フェザー級戦に出場する粟生寛隆(帝拳)と王者ビタリ・タイベルト(ドイツ)の公開練習が名古屋のアマチュアジム、チーム・ゼロで行われた。
 午後3時から練習した粟生は、「リラックスしていながらいい緊張感がある。自分から仕掛けるが、バランス重視。相手は何かが突出しているわけではないが、すべてが平均点以上でスキがない。上手い選手なので攻防一体を念頭に練習してきた」と語った。その表情は粟生自身がいうようにリラックスしたもの。減量苦から開放されて「以前は最後シンドくて減量のための練習になっていたが、いまは元気、強くなるための練習ができている」と手応え十分。そして「いま中日ドラゴンズ、名古屋グランパスと優勝してのっている。グランパスは僕の高校時代の先輩・玉田さんが決勝ゴールを決めて縁を感じる。僕も決めます」と抱負を語った。写真は今回の世界戦仕様Tシャツをまとった粟生。バックにこれまでの勝ち星19個の☆がプリントされ、胸にもう一つ。20個目の白星は2階級制覇となる。

大久保、ソーサに大差の判定負け(続報)

 メキシコのモンテレーで27日(現地時間)、元WBC世界L・フライ級王者エドガル・ソーサ(メキシコ)の持つWBCインター・フライ級王座に挑んだ同級元OPBFフライ級大久保雅史(青木)は善戦したが、12回3-0判定を喫した。
 静かな立ち上がりの後、2回には海外初試合の大久保がボディー打ちで仕掛け、ソーサをたじろがせる。だが百戦錬磨のソーサは接近戦を挑む大久保にパンチを上下に散らしペースを掌握。懸命に食い下がる大久保だが、元世界王者のテクニックが支配。9回、口をカットしてドクターチェックを受けた大久保は右でのけ反り、突進を続け、連打を繰り出すものの、ソーサの牙城を崩せなかった。
 公式スコアは120-108、118-110、119-109でソーサの手が上がった。
 インター王座の初防衛を果たしたソーサは41勝24KO6敗。これでロデル・マヨールに敗れて以来6連勝。大久保は18勝6KO4敗1分。

大久保、世界2位ソーサに判定負け メキシコ

 WBC世界フライ級2位のエドガル・ソーサ(メキシコ)対前東洋太平洋フライ級チャンピオン大久保雅史(青木)のWBCインター同級タイトルマッチは20日メキシコのモンテレーで行われ、ソーサが12回3-0判定勝ちし、タイトルを防衛した。スコアは、120-108、118-110、119-109と大差だったが、いつも最後まで戦い通す大久保の粘りはこの試合でも発揮されたようだ。
 元L・フライ級王者でフライ級に転向したソーサ(31)は、この勝利で現王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)への挑戦を決定づけている。41勝24KO6敗。敗れた大久保(30)は18勝6KO4敗1分。

衝撃の一発KO ウィリアムズ2回で眠る 世界ミドル級戦

 アトランティックシティで20日行われたWBC世界ミドル級タイトル戦「因縁のリマッチ」は意外な決着――王者セルヒオ・マルティネス(アルゼンチン)が元世界ウェルター&S・ウェルター級王者(現ミドル級2位)のポール・ウィリアムズ(米)を2回1分10秒KOに沈め、タイトルの初防衛を果たした。この回、マルティネスの放った左フックがアゴに痛撃されたウィリアムズは顔からキャンバスに倒れ、そのままKOとなった。
 両者は昨年12月に対戦し、この時は倒し合いの末2-0判定でウィリアムズが勝ったものの、判定が論議を呼んで今回の再戦となっていた。マルティネス(35)は46勝25KO2敗2分。敗れたウィリアムズ(29)は39勝27KO2敗。
 写真は顔からキャンバスに倒れKOされたウィリアムズ=PHOTO/SUMIO YAMADA=

ステイグリッツはV4 WBO・S・ミドル級戦

 WBO世界S・ミドル級チャンピオン、ロベルト・ステイグリッツ(ドイツ)は20日ドレスデンで同級9位エンリケ・オルネラス(メキシコ)の挑戦を3-0判定で退け、4度目の王座防衛に成功した。
 チャンピオンは中盤ややペースダウンしてオルネラスの反撃を受けたが、終盤は盛り返して、3人のジャッジとも117―111とつける文句なしの判定勝利を挙げた。
 これでステイグリッツ(29)は39勝23KO2敗。この2敗はオルネラスの兄弟、リブラド・アンドラレーデドに喫したものだった。敗れたオルネラス(30)は30勝20KO7敗となった。

2010年11月20日土曜日

大場、中岸のラフ戦法制して再起

 20日、名古屋国際会議場イベントホールで行われた10回戦は、大場浩平(大一スペースK)が中岸風太(カシミ)を3-0の判定に下してOPBFツニャカオ敗戦から再起に成功した。
 試合はスタートから荒れ模様。中岸がいきなり飛び掛って攻め立てた。右でホールドして左アッパーを連発すると、そのままもつれて両者がマットに落ちる。スリップの判定だったが大場のダメージは明らかだった。中岸はホールドの反則で減点を課せられるも、強攻を続けて大場を追い込んだ。序盤はラフな中岸が圧力をアピールしたが、中盤に差し掛かると大場が安定。ラフファイトを続ける中岸のボディーを攻めつけてペースを完全掌握。中岸は腹を抱えながらも執念を見せるが、それがダーティーファイトとなって現われ6回にもバッティングで減点1。大場は中岸の粘りにダウンを奪うまでは行かなかったが、98-91、97-92、98-91と大差で30戦目を飾った。28勝11KO1敗。中岸は17勝9ko3敗1分。
 セミ8回戦は林翔太(畑中)が坂井允(鈴鹿ニイミ)に6回TKO勝ち。元OPBFバンタム、S・バンタム級王者のロリー松下(カシミ)が骨折から戦線復帰。プラモド・ソーウォラピン(タイ)を左ボディー一発で沈めて大橋弘政にベルトを奪われて以来の再起に成功。またウェルター級11位の飯田将成(コパン星野)もアディテップ・デッチウェット(タイ)に初回KO勝ちしている。

元王者新井田さんがスポーツジム開く 横浜



 元WBA世界ミニマム級チャンピオンの新井田豊さん(32)が20日、地元横浜に新感覚のスポーツジムをオープンした。その名も「Body Design 新井田式」。シェイプアップはもちろん、ダイエット、バルク・アップ、それぞれ目的に合わせた体作り――「ボディー・デザイン」を手助けしようというものだ。
 2度も世界王座についた新井田さん、08年に引退後は「とにかく休みたい」と長期間の充電生活を続けていたが、今年に入り自らの経験を生かした新しいスタイルのスポーツジムをやりたいと、会社(株式会社WORLD FAMOUS)を興し、この日のジム・オープンにこぎつけた。及川秀文トレーナーら10人ほどのスタッフも揃え、意欲満々だ。
 11度の世界タイトル戦を経験する間にコンディショニングを勉強したという新井田社長。
「からだ作りは自信があるんで、栄養学的なことも含めて個人個人に合った最適なプランをカウンセリングします。一般の人にもっと楽しみながらトレーニングしてほしいですね」とPR。ボクシングジムではないから、約50坪のスペースにはリングもサンドバッグもない。しかし、そこは元世界チャンピオンが主宰するジム、「技術をマスターしたい人には、ちゃんと教えます」と、ミットとグローブも用意している。
 月謝1万円はボクシングジムより安い!! 「Body Design 新井田式」の営業時間は午前10時から午後10時まで(日曜日のみ昼12時から夕6時まで)。神奈川県横浜市都筑区中川中央1-35-16 マイキャッスルセンター北103号(Tel.045-482-5213)アクセスは、横浜市営地下鉄センター北駅2番出口から徒歩2分。 ※写真上は大阪からかけつけた格闘家の小比類巻太信さん、度紀武彦アポロジムトレーナーとのスナップ。下写真はジム・スタッフと新井田さん

須佐メダル確定! リンにRSC勝ち アジア大会

 中国・広州で開催中の第16回アジア競技大会は20日、ボクシング競技5日目を迎え、52kg級の須佐勝明(自衛隊体育学校)が準々決勝でリン・ユーチェ(台湾)に2回2分52秒RSC勝ちをおさめ、メダル獲得が確定した。
 この日の須佐は終始リンを圧倒し1、2回と打ちまくり再三カウントを聞かせた。初回は8-2、2回も主審がストップをコールするまで9-0と一方的にリードしていた。
 前大会でも銅メダルを獲得している須佐、この勢いで金もしくは銀を目指す。次はKO、RSCで勝ち進んでいるレイ・サルダール(比国)が相手だ。

井上、藤田健の高校生組も決勝進出 アマ全日本選手権

 山口県上関町民体育館で開催中の第80回全日本アマチュアボクシング選手権大会は20日、準決勝が行われ、明日の決勝進出者が決まった。
 川内、須佐、清水のアジア大会出場組を欠く今大会だが、主たる有力選手が順調に勝ちあがっている。高校生ながら出場のLフライ級井上尚弥(関東・相模原青陵)、ライト級藤田健児(中国・倉敷)の2人はこの日もそれぞれ柏崎刀翔(北信越・日大)、大宮孝彦(東北・自体校)相手に印象的な勝利をおさめ、全日本チャンピオンに王手をかけた。一方、Lウェルター級で優勝候補・吉野修一郎(関東・東農大)が福森雄太(四国・近大)に敗れる波乱もあった。
 明日の組み合わせは以下のとおり。
L・フライ級 林田太郎(日連・駒大)-井上尚弥(関東・相模原青陵高)
フライ級 三須寛幸(日連・拓大)-青木貞頼(中国・東農大)
バンタム級 成松大介(九州・東農大)-河田千誉(東海・拓大)
ライト級 藤田健児(中国・倉敷高)-中山翔太(東京・日大)
L・ウェルター級 福森雄太(四国・近大)-越川孝紀(日連・駒大)
ウェルター級 山田崇人(関西・東農大)-井上岳志(東京・法大)
ミドル級 村田諒太(日連・東洋大職)-鳴海友基(東北・拓大)

2010年11月19日金曜日

アマ初の女子世界ランキング発表! 日本は唯一箕輪が9位に

 アマチュアの女子ボクシング初めての公的「世界ランキング」が作成された。AIBA(国際アマチュアボクシング協会)のローザンヌ事務局が18日公表したもので、48kg級から81kg超級まで10階級各10位まで計100名が名を連ねている。9月バルバドスで開催された世界選手権大会の成績をもとにランク付けをしたという。当然ながら1位は同大会の優勝者たちで、48kg級 メリー・コム(インド)、51kg級レン・カンカン(中国)、60kg級ケイティー・テイラー(アイルランド)といったお馴染みの名前が並ぶ。
 ランクされている100名中、アジア選手は軽量級を中心に24名。中でも突出しているは現在行われているアジア大会のホスト国・中国で、チャンピオンのレンを含む6名がランクされている。日本選手では唯一、世界選手権で1勝した箕輪綾子(横浜さくらジム=写真)が、54kg級の9位にランクされた。
 横浜さくらジムで練習中の本人に感想を聞くと、「初めて知りました。(ランクされている日本選手が)自分だけとは……これからも頑張らなければ、と気合が入りますね」。現在中国広州で開催中のアジア大会に行けず悔しい思いをしているという箕輪、次は来年3月の全日本女子選手権で5連覇を狙う。

岡田、フルマークで米国2勝目


 ロサンゼルスを拠点にキャリアを進める元MTジム所属の岡田隆志が18日(現地時間)米国カリフォルニア州サンディエゴのクラウンプラザ・ホテルのリングに登場。S・フライ級契約の4回戦でダニエル・モダー(メキシコ)と対戦した。
 前戦で元アマチュア世界選手権優勝のマックウィリアムズ・アローヨ(プエルトリコ)を下す金星を挙げた岡田は開始ベルとともに執拗なボディーアタックを敢行して優勢。長身のサウスポー、モダーをロープへ詰め、防戦に追い込む。手数とスピードで追い詰める岡田に、時折ワイルドなパンチを振りかざすモダー。会場から「パッキアオ-マルガリートの再現だ」との野次も飛ぶほど。その後も岡田のコンスタントな連打が支配し、シャープな右が顔面、ボディーを襲ったが、タフなメキシカンは耐え抜いた。
 スコアは3ジャッジとも40-36のフルマークで岡田が支持された。
 「相手は長身選手なので、距離をつぶしてプレッシャーをかければ勝てると思っていました」と勝者は作戦勝ちを強調。試合後、地元ファンの祝福攻めにあった岡田(3勝1KO1分)は、早ければ、来月中旬にもロサンゼルスで次ファイトが予定されている。(三浦勝夫)

2010年11月18日木曜日

清水もインド選手破る アジア大会結果

 須佐に続いて清水も勝った――中国・広州で開催中の第16回アジア競技大会、仏山体育館で行われているボクシング競技は18日、もう1試合日本選手が出場し、56kg級の清水聡(自衛隊体育学校)がチョットラル・ヤダイ(インド)に7-4でポイント勝ちし、準々決勝に進出した。
 サウスポーの清水は、パワーにまかせてガンガン出てくるヤダイに対し初回は1-2でリードを許したが、2Rは相手が出てくるところにうまく右フック、ショートを迎え打ち。特に右フックが有効だった。これでこの回は4-2と取り、逆転。3Rも179センチの長身を生かした試合運びで2-0とリードを広げ、文句なしのポイント勝ちにこぎつけた。
 次は21日、リ・ヨンソン(北朝鮮)とメダルを懸けての一戦となるが、「リの試合を見ましたが、清水が行けると思います」と日本チームの関係者も期待している。

須佐が16-0で完勝 アジア大会結果

 中国・広州で開催中の第16回アジア競技大会、仏山体育館で行われているボクシング競技は18日3日目を迎え、52kg級に出場した須佐勝明(自衛隊体育学校)がソンコン・レオング(マカオ)に16-0のポイント勝ちで好スタートを切った。
 この日の須佐は、3ラウンドを通じてガードを固めながら上下にうまくパンチを打ち分けた。いい右もヒットし、特にボディーへのブローが効いていた。スコアも、1R3-0、2R11-0、3R3-0と相手に1ポイントも許さない完勝だった。20日には台湾のチェンと対戦し、勝てばメダル獲得が確定する。
 須佐の同僚清水聡は、今日夜の部で56kg級予選に出場する。

内山-ソリス戦発表。李-下田戦とダブルで来春1.10

 WBA世界S・フェザー級チャンピオン内山高志(ワタナベ)3度目の防衛戦が18日正式発表になった。相手は暫定王者のホルヘ・ソリス(メキシコ)。試合は1月10日、有明コロシアムで行われる。この日はダブル世界タイトルマッチで、同S・バンタム級新チャンピオンの李冽理(横浜光)が6位下田昭文(帝拳)を挑戦者に迎える。
 王座統一戦に乗り出す内山は「(ソリスの)名前が上がったときからワクワクしていた。知名度も実力もある選手。これまでの中で一番強い相手です。手数が多く先手でくるタイプなので打ち合いが多くなると思います。僕も厳しい練習を積んできている。チャレンジャーの気持ちでやりたい」。これまで内山のKOラウンドを言い当ててきた渡辺均会長が「ソリスはパッキアオと8回までいった。内山には7回までにKOして欲しい」と注文をつけると、内山は「僕はそれを意識せず、勝つ事を前提に試合を進めたい」と苦笑した。
 また国内対決となるS・バンタム級戦は「下田選手は文句なしの実力派。この選手に勝ってこそチャンピオンと呼ばれるにふさわしいと思う。チャレンジャー精神で、下田選手に勝って評価を上げたい」と王者・李。世界初挑戦の下田も「いいタイミングで挑戦のチャンスがきた。プーンサワット戦も見たが、チャンピオンはクレバーでスタミナもあって、打ち合いもできる。乗り越える価値のある選手だと思います。人生賭けて頑張ります」と抱負を語り、両者「正々堂々と戦いましょう」と健闘を誓った。
 またこの日はアンダーカードにチャンピオンカーニバル、日本S・フェザー級タイトルマッチも加わったトリプル・タイトル戦。こちらは王者・三浦隆司(横浜光)が福原力也(ワタナベ)の挑戦を受ける。

大物食い岡田隆志が明日米国3戦目

 ニューヨーク、MSGで大物ホープを下して名前をとどろかせた元MTジム所属のフライ級選手、明日18日(現地時間)米国サンディエゴのリングに登場する。そのマックウィリアムズ・アローヨ(プエルトリコ)戦から5ヵ月、岡田はS・フライ級4回戦で、ダニエル・モダー(メキシコ)と対戦する。
 17日、試合会場のホテルで行われた計量で岡田は113ポンド3/4(51.60キロ)、モダーは115ポンド(52.16キロ)を計測した。
 ロサンゼルスに在住し、これが米国3試合目となる岡田(2勝1KO1分)は今回も統一世界王者ジョバニ・セグラらとスパーで鍛えた。「なかなか好人物に見えました」と相手のモダーの印象。国境を越えてティファナからやってきたモダーは(2勝1KO2敗)。リナレス似のイケメンの長身サウスポーだ。(三浦勝夫)
 写真は計量をパスした岡田㊧とモダー=PHOTO/CATCH MIURA=

2010年11月17日水曜日

名城がWBCロハス挑戦 来年2月5日大阪で


 前WBA世界S・フライ級王者、名城信男(六島)が来年2月5日、大阪府立体育会館第1競技場でWBC同級チャンピオンのトーマス・ロハス(メキシコ)にアタックする。17日、大阪市内で発表会見が行われた。
 名城(29歳)は今年5月にウーゴ・カサレスとのリマッチで判定負けし、2度目のWBA王座から陥落。カサレスへのリベンジを期していたが、カサレスは久高寛之(仲里ATSUMI)相手に防衛戦を行うことが決まり、意外にもWBC王者ロハス挑戦が決まった。名城は10月にインドネシアのキーを3回KOで圧倒し再起戦に勝利している。戦績は14勝9KO2敗1分。
 一方のロハス(30歳)は去る9月に日本に登場し、河野公平(ワタナベ)との王座決定戦に大差判定勝ち。暫定時代を含め2度目のWBC王座に就いている。サウスポーのスピード豊かなタイプで、河野戦ではほぼフルマークのデキで試合を進めたが、最終12回にダウンを食らい、あわや大逆転KO負けのピンチにもあった。名城戦が初防衛戦になる。
 名城3度目の王座奪取なるか――グリーンのベルト獲得には、日本人7人目のA&C両団体制覇もかかる。

12月に亀田3兄弟同時出場 大毅はオルティーヌとV2戦

 15日、東京・赤坂のTBSで亀田3兄弟の次戦に関する発表会見が行われた。12月26日、さいたまスーパーアリーナで亀田興毅、大毅、和毅が初めて一挙出場する――というもの。現在3兄弟で唯一の世界チャンピオン、大毅は15位挑戦者シルビオ・オルティーヌ(ルーマニア)を迎えてWBAフライ級王座2度目の防衛戦に臨むことも発表された。興毅、和毅の対戦相手は調整中。
 坂田戦に続き再びフライ級を選択した理由について大毅は「ベルトがなくなったらさびしいから」と話した。相変わらず減量はキツいようだがオルティーヌ戦の必勝を期していた。大毅に代わりオルティーヌの映像を見たという興毅は「小さくてファイター型。パンチを当てるのが難しそう。KOは難しいかも」と予想するが、さて……。
 その興毅は16日に都内のホテルで亀田プロモーション社長就任式を行った。これまでの父・史郎さんに代わり、今後同プロのメインとなって業務にあたるという。本業のボクシングについては「3階級制覇が夢なので、それに向けて頑張っていく」と語った。

川内、初戦突破ならず―― アジア大会64kg級

 中国・広州で開催中の第16回アジア競技大会は16日ボクシング競技がスタート。日本勢の一番手として、64kg級予選に川内将嗣(自衛隊体育学校)が登場した。アーミル・カーン(パキスタン)を相手に緒戦を制したかとみられたが、結果は5―4で際どいポイント負け。初回2-2、2回は2-1で取られたのが響き、最後の3回は1-1。「一方的な試合内容だと思ったのに残念。減点が悔しかった……」(日本関係者)。18日には52kg級須佐勝明、56kg級清水聡が出場する。

2010年11月16日火曜日

140万件! パッキアオ-マルガリート戦PPV購買数

 先週土曜日13日、米国のカウボーイ・スタジアムで行われたマニー・パッキアオ-アントニオ・マルガリートによるWBC世界S・ウェルター級王座決定戦のPPV購買数が全米で140万件周辺に到達すると報じられている。
 通常、PPVの成績は試合後少なくとも1週間後に発表されるが、今回、地元テキサス州ダラスのダラス・モーニング・ニュース紙が独自の調査で結果を公表したもの。あくまで“見込み”ということだが、誤差は少ないとしている。
 この数字は同会場で3月行われたパッキアオ-ジョシュア・クロッティ戦の2倍。5月のメイウェザー-モズリー戦と同数で、怪物的な数字を残した07年のメイウェザー-デラホーヤ戦(240万件)以前、非ヘビー級戦で記録だったトリニダード-デラホーヤ戦と同数。08年のパッキアオーデラホーヤ戦の125万件、昨年のパッキアオ-コット戦の120万件を上回った。
 価格が1件54ドル95セントと割高だったにもかかわらず、この購買件数は上々といったところか。“ニューPPVキング”パッキアオがメイウェザーと対戦したら、どんな数字が生まれるかと今から関係者は胸を躍らせている。

大久保出発-20日にメキシコでWBCインター戦

 20日、メキシコはモンタレー(西岡がジョニー・ゴンサレスを破った場所)でWBCインター、フライ級王者エドガル・ソーサ(メキシコ)に挑戦する大久保雅史(青木)が16日夕刻成田を出発した。
 大久保は成田空港で「ワクワク、ドキドキですね。早く試合をしたいです。ビビリ? いまのところないです(笑)。最近はスパーリングを週4回、8ラウンドずつこなしてコンディションはいいです。ウェイトもあと2㌔弱ですから、メキシコに着く頃には落ちているでしょう。力強い勝利報告を待っていてください」ときっぱり。
 大会はWBCのシルバー、コンチネンタルアメリカス、ユースに暫定女子フライ級と豪華なもの。大久保はそのメインイベントに登場する。写真はこの試合のポスター。

和氣、岡畑にTKO勝ち

11月15日、渡嘉敷ジム主宰“スーパー・スピリット・ファイティング”のメイン8回戦は、和氣慎吾(古口)が岡畑良治(セレス)を6回2分1秒TKOに下して9勝目(4KO3敗1分)をマークした。
 サウスポー同士の対決は、ファイター型の岡畑が距離を詰めるが和氣はフットワークを使って自分の距離をキープ。これで試合の主導権を握ると3回あたりからプレスを強めてより攻撃的にチェンジ。岡畑も相手の打ち終わりにパンチを合わせるなどして必死に喰らい突いていったが、スピードにまさる和氣は強烈なボディーブローと顔面への左強打を繰り出し、岡畑の右目上を切り裂いてドクターストップによるTKO勝ちを得た。 

王者タイベルトも来日 26日粟生の挑戦受ける


 26日名古屋のダブル世界タイトルマッチのひとつ、WBC世界S・フェザー級戦で粟生隆寛(帝拳)の挑戦を受ける王者ビタリ・タイベルト(ドイツ)が15日午前成田着のルフトハンザ機で到着した。
 ホームタウンのシュツットガルトからの長旅で「疲れている」といいつつも愛想よく「粟生とは(今夏イギリスで)一度会ったことがあり、いつも笑いを絶やさないフレンドリーな選手との印象を持った」「彼はモラルをもって戦う選手、リスペクトしている」と挑戦者をほめた。しかし試合については具体的に語らず、「粟生をどう分析しているか」との質問には「分析とはどういう意味だ。私は試合映像を見ただけ。トレーナーが分析している」とそっけない答え。そのシャブロフ・トレーナーも「非常に強い相手」としか語らない。「ベンツ、BMW、トヨタ…外見だけでは判断できない。走らせてみないと分からない」と言って質問をはぐらかした。タイベルトはなかなかの頭脳派?
 カザフスタン出身、28歳。アテネ五輪で銅メダルを獲得するなど豊富なアマ歴があり、2005年以来のプロ生活では20勝6KO1敗。独身。写真はシャブロフ・トレーナー㊧とタイベルト

長谷川の対戦者ブルゴス来日 26日名古屋のダブル世界戦出場


「長谷川はバンタム級では偉大な王者だったが、フェザー級は私の階級。彼はパンチ力の違いを思い知らされるだろう」
 26日名古屋の日本ガイシホールで予定されるWBC世界フェザー級王座決定戦(名古屋市)で前バンタム級王者長谷川穂積(真正)と対戦する同級1位のフアン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)が、15日早朝成田着のアエロメヒコ航空機でサンドバル・マネジャーらとともに一行4名で来日した。
 疲れた様子も見せず記者会見に応じたブルゴス(22)は、9歳で元アマチュア・ボクサーの父からボクシングを教わり、オジのビクトルは元世界級王者というボクシング一家の出。プロ戦で25戦全勝18KO負け知らずの強打者だ。
 長谷川が敗れた4月のモンティエル戦等の試合映像をみており、「長谷川はカウンターを狙ってくるだろう。距離を間違えずに戦いたい」と抱負を語り、エスピノサ・トレーナーが「勝つのはブルゴス。KOもありえる」とつけ加えた。
 サウスポーとの対戦は今度が初めてだそうで、サウスポーのスパーリング・パートナー(エディバルド・オルテガ)を同行させている。

2010年11月15日月曜日

一番手・川内、明日出撃 アジア大会


 中国の広州で開催されている第16回アジア競技大会、ボクシング競技は明日16日から予選がスタートする。日本からは男子3名(いずれも自衛隊体育学校)、女子2名の計5名が出場しているが、早速初日にリングに上がるのが世界選手権3位入賞歴もあるベテラン、川内将嗣。64kg級でアーミル・カーン(パキスタン)が相手だ。
 18日は52kg級で須佐勝明がレオン・ソンコン(マカオ)と、56kg級で清水聡がチョットラル・ヤダイ(インド)と対戦。女子は、21日に51kg級新本亜也(クリエイティブ・ジャパン)がナンディンツェツェグ・ミアグマルドゥラン(モンゴル)と、60kg級釘宮智子(平成国際大学)がセニヤ・フィリスティーバ(キルギスタン)と対戦する。男子はいきなり優勝候補や強敵との対戦はなく、組み合わせの抽選はまずまずの結果。女子は新本の相手が5月のアジア選手権準優勝者で、この時新本は準々決勝で負けている。リベンジしないことにはメダルはない。
 本国博監督以下日本選手たちは9日に到着以来、選手村に滞在して調整を続けている。試合会場と同じ練習場は仏山の岭南明珠体育館で、滞在先から車で1時間20分もかかることから、1度下見に出かけただけ。毎日の練習は選手村内でやっているという。「調子はみんな上がっている」といい、メダルの期待も高まる。3位入賞まで川内は3回勝たなくてはならないが、他は全員2回勝てばOKだそうだ。もちろん、選手たちにはこれに留まらず、金・銀を狙ってほしいところだ。
 写真は男子の代表、左から清水、須佐、川内の3選手と右端は本監督

李に強力ライバル出現 リゴンドウ、暫定王者に

 パッキアオ-マルガリート戦が挙行されたダラス・カウボーイスタジアムで行われたもう一つのタイトル戦で、キューバの至宝ギエルモ・リゴンドウがリカルド・コルドバ(パナマ)を下し、プロ7戦目で初の世界王座を獲得した。
 李冽理(横浜光)が正規王者に君臨するWBA世界S・バンタム級暫定王座を争った両者。サウスポー対決はシドニー、アテネ五輪で金メダルに輝いたリゴンドウ(29歳)が4回、左ボディーでダウンを奪うなど優勢。しかし、この王座の元保持者コルドバ(27歳)も6回、右でキューバ人のグローブをマットにつかせ、カウントを聞かせる。しかしノーダメージのリゴンドウは以後、軽快なフットワークに乗せてアウトボクシングを徹底。公式スコアは117-109、114-112(リゴンドウ)、114-112(コルドバ)と割れたものの、スプリット判定でベルトを腰に巻いた。
 リゴンドウは7戦目の戴冠(全勝5KO)。この一戦からトップランク社とサインしている。「彼はアメリカに来て、判定勝ちの要領を学んだようだ」と捨て台詞を吐いたコルドバは37勝23KO3敗2分。

2010年11月14日日曜日

強い!パッキアオ、マルガリートに大差勝利


 パッキアオが6-1有利の賭け率どおり磐石の強さを見せつけ、6階級目のベルトを巻いた。13日(現地時間)米テキサス州ダラスのカウボーイ・スタジアムで行われたWBC世界S・ウェルター級王座決定戦はパウンド・フォー・パウンド・ナンバーワン、マニー・パッキアオ(フィリピン)が元WBA-WBO世界ウェルター級王者アントニオ・マルガリート(メキシコ)を12回大差の判定で下し、現役最強を誇示した。
 序盤からスピードと機動力に勝るパッキアオの独壇場。高いガードで対抗するマルガリートだが、パッキアオの回転力の速いコンビネーションを狙い打ちされ、右目尻をカット。6回、ボディー打ちでパッキアオの動きを止めたマルガリートだったが、7回以降、多彩なアングルからパンチをコネクトするパックマンが悠々ポイントを蓄積。傷口が弓形に腫れ上がったメキシカンを痛めつけ、快調に展開をコントロール。終盤、何度かドクターチェックが入ったマルガリートは、それでも試合を投げず終了ゴングを聞いた。スコアは120-108,119-110,119-109と大差でパッキアオの勝ち。
 病院へ直行したマルガリート(38勝27KO7敗)に対し、快勝したパッキアオ(52勝38KO3敗2分)は「キャリアで最高にハードなファイトだった」と相手の健闘を称えた。
PHOTO/SUMIO YAMADA

ヘイV2 同国人対決に3回TKO

 現地時間13日、イギリスのマンチェスターで挙行されたWBA世界ヘビー級タイトルマッチはチャンピオン、デビッド・ヘイが同国人挑戦者のオードリー・ハリソン(WBA13位)に3回1分53秒TKO勝ち。2度目の防衛に成功した。
 初回は互いにけん制し合いブーイングも起きたが、2回からヘイは敏捷な動きで攻撃を強化。3回、右ストレートで攻め入りサウスポーのハリソンをロープに追いやると、ワンツーからの右連打でダウンさせた。詰めも鋭く、続行に応じたハリソンをすぐさま左右パンチで襲い、最後は右フックを決めたところでルイス・パボン主審が試合をストップした。元五輪金メダリストのハリソン(39歳)だが、勢いのあるヘイの前にいいところなく敗れ去った。
 ヘイ(30歳)は25勝23KO1敗。

高山が渡邊に判定勝ち

 13日夜、後楽園ホールのメイン8回戦は日本フェザー級10位・高山和徳(船橋ドラゴン)が渡邊卓也(青木)に3-0判定勝ち。ダウンシーンはなく、79-74、79-75、78-76のスコア。
 高山は初回にスイング気味の右で渡邊をぐらつかせる好スタート。その後はこれといったダメージを与えることはできなかったが、左右のフックで攻勢をアピールした。渡邊はていねいなジャブで対抗したものの、ポイントを挽回するまでにいたらなかった。今年2月、李冽理(現WBA世界S・バンタム級王者)と空位の日本王座を争い判定負けした高山はこれで18勝4KO7敗4分。

2010年11月13日土曜日

野口がうすいに辛勝

 12日夜、後楽園ホールのメイン8回戦は日本バンタム級8位の丸山有二(野口)がうすい祐介(石川)と対戦。うすいのアウトボクシングに苦しみながら2-1で辛くも判定勝ちした。ダウンシーンはなく、スコアは77-75、78-75、76-77だった。丸山の戦績は11勝1KO9敗1分。
 またセミでは日本ミニマム級7位三田村拓也(ワールドスポーツ)が須江伸太郎(KS)に3-0判定勝ち。デビュー以来の連勝を9(1KO)に伸ばした。軽快な出入りでスタートした三田村は3回に右オーバーハンドを決めて須江をダウン。キャリア2度目のKOも期待させたが須江も頑張り、フルラウンドの勝負となった。スコアは80-71、79-73、78-74だった。
 そのほかの8回戦2試合の結果は、サウスポーの久保幸平(セレス)がタイのタノーペッチ・シンマナサックを初回1分33秒TKO。相手の右を振ってくるところに踏み込んだ久保が左ストレートで倒したもの。岸裕機(野口)-安沢栄二(帝拳)戦はバッティングによる岸の負傷が続行不可能とされ、5回54秒で試合終了。結果はドローだった。

元東洋王者ロリー松下が復帰戦 20日名古屋


 “ツニャカオの天敵”が帰ってくる--20日名古屋で予定される大場浩平-中岸風太戦の前座で元東洋太平洋バンタム&S・バンタム級チャンピオンのロリー松下(カシミ)がタイのプラモド・ソーウォラピンとの8回戦に出場するが、これはフィリピンの強豪にとって実に1年5ヵ月ぶりのリング。昨年5月の大橋弘政戦で両手首じん帯断裂の大ケガを負ったロリーは名古屋の大学病院で手術を受けた後も帰国せず、金沢市のカシミジムの合宿所に住みながらリハビリ。昼間はジムのトレーナーとして主にキッズを教えながら復帰戦を目ざしてきた。
 ケガの回復具合を聞くと「大丈夫。特に右手はパーフェクト」という。ずっと帰国もせずに日本で頑張ってきたのも「もう一度世界タイトルマッチやって、世界チャンピオンなるため」だった。そのために必要なら誰とでも戦うといい「(マルコム)ツニャカオでもOK」とつけ加えた。4年前(07年1月)東京でツニャカオを攻略して一度は手にした東洋太平洋バンタム級タイトルはいま再び日本を拠点に戦う同国人のライバル、ツニャカオ(真正)のもとにある。15日にやっと27歳の誕生日を迎えるロリー(本名・ロリー・ルナス)、まだ老け込む歳ではない。

2010年11月12日金曜日

久高が1階級上げカサレスに挑戦 12月23日大阪で


 WBA世界S・フライ級チャンピオンのウーゴ・カサレス(メキシコ)に対しWBA世界フライ級8位・久高寛之(仲里ATSUMI)が挑戦することが決まり、11日久高の所属ジムが発表した。12月23日、大阪府立体育会館第一競技場で挙行される。
 久高(25)はこれまでフライ級で2度世界挑戦して坂田、デンガオセーンに敗れており、今度は1階級上げての挑戦で「3度目の正直」を期している。去る5月タイで世界1位(当時)のパノムルーンレックに逆転KO勝ちしてWBCのインター・シルバー王座獲得の殊勲も演じており、勢いは今回が一番。強打が売りの久高だが、「フライやとパンチがあまり乗らない気がした。S・フライ級の方がいい」と、階級変更にも不安はないという。
 王者カサレスは5月に名城信男(六島)から王座を奪いこれが3度目の防衛戦となる。32勝23KO6敗2分。久高は19勝8KO8敗1分。テレビ中継は、スカイAが生で放映する。

2010年11月11日木曜日

宮崎と引き分け 元日本1位滝澤が眼疾のため引退

 元日本L・フライ級1位の滝澤卓(タキザワ・23)が眼失のため引退する。2月に大阪で宮崎亮(井岡)の日本王座に挑み、4回負傷引き分けで涙を飲んでいた。
 本人から届いた引退声明を印す。「私、滝澤卓は6月に左目網膜裂孔、10月20日に右目網膜剥離が発覚し、現役続行が不可能となりました。よって、11月28日をもちまして引退させて頂きます。6年間大変お世話になりました」
 6月の黒田雅之戦で右目を傷めたのが最初で、実際にはその前から飛蚊症が出ていたらしい。26日の世界戦の前座で試合が決まっていたが、練習中に右目の剥離になったとは不運だった。11月28日を引退日としたのは、6年前にプロ・デビューした同じ日だからだそうだ。滝澤は滝澤一会長の長男として、アマチュアでインターハイ3位(井岡一翔に敗れた)。04年にプロ転向し、19勝8KO2敗1分。今後はスポーツインストラクターの仕事を続けていくという。

清水が日本フライ級王座返上 世界挑戦に専念

 日本フライ級チャンピオンとして4度の王座防衛をこなしていた清水智信(金子)が8日付で日本ボクシングコミッションにタイトルを返上した。実現すれば自身3度目となる世界タイトル挑戦に向け、準備に専念するため。
 清水(29)にはWBA王者亀田大毅(亀田)に挑戦の話が出ていた。テレビが同じTBS系ということから実現が期待されたが、結局話はまとまらないまま。ならばと、金子健太郎会長はWBAを通じて暫定王者のルイス・コンセプション(パナマ)への挑戦を要請している。亀田大毅が12月に予定する次戦が、コンセプションとの統一戦ではないと見越してのオファーだが、暫定王者になって亀田との統一戦を要求するつもり?
 なお空位となった日本フライ級王座決定戦は、WBC世界13位の五十嵐俊幸(帝拳)と、最強後楽園を制して出場権を得た現1位小林タカヤス(川島)とがチャンピオンカーニバルで対決する予定だが、期日はまだ出ていない。

2010年11月8日月曜日

高山IBF挑戦発表


 高山が全勝のIBF王者に挑戦―。ミニマム級で過去にWBC、WBA暫定と世界王座を獲得した高山勝成(27)が、今月27日に南アフリカでIBF同級王者ヌコシナチ・ジョイ(27=南アフリカ)に挑戦することが正式決定した。8日、大阪市内の会見で発表された。=写真は高山と中出トレーナー=
 ジョイは21戦全勝(15KO)の戦績を誇る万能型の長身サウスポー。今年3月に当時の王者ラウル・ガルシア(メキシコ)と大差判定で下してベルトを奪取。高山戦が初防衛戦となる。開催地は標高1700メートル以上のヨハネスブルクが予定されている。
 高山はIBFなどJBC未公認のメジャー団体王座獲得を狙うため、昨年11月にJBCに引退届を提出。フリーの立場となった。その後、フィリピンのALAジムとプロモート契約を結んでいる。
 今年9月に南アフリカでの挑戦者決定戦を制し、トップコンテンダーとしての指名挑戦が決まった。「こんなに早くチャンスが回ってくるとは思わなかった。しっかりとタイトルを日本に持って帰りたい。判定なら勝てない気持ちがある。KOします」と意気込みを語った。
 ジョイの試合映像は入手に苦労し、ガルシア戦を確認したのがわずか1週間前という。「ガードが堅くて、ワンツーをしっかり打ってくる。身長とリーチは向こうが上だが、スピードは勝っている。頭脳的に戦いたい」と攻略をイメージしている。スパーリングは相手がおらず、シャドーやマスボクシングなどの練習をこなしているという。

細野、大差判定勝ちで日本王座獲得

 李冽理の返上によって空位となっていた日本フェザー級王座の決定戦が8日後楽園ホールで行われ、WBA14位の細野悟(大橋)が日本7位の梅津宏治(ワタナベ)を大差判定に下して新チャンピオンになった。
 試合は王座復帰を目指す梅津が初回からスパートし、打ち合いとなった。アグレッシブな梅津に対して細野はショートブローに強烈な左ボディーアッパーで対抗。時には小さなバックステップで梅津を呼び込んでクロス気味の右を決めるなどインファイトの技術で上回ってポイントを積み重ねる。梅津もあきらめず攻め立てたが、攻防の巧みさを披露した細野が大差判定勝ちでかつての東洋に続いて2冠目をゲットした。
 スコアは98-92、99-91、99-93。新たな戦い方を見せた細野は「前半倒せなかったらポイント取るボクシングをしようと思った。今回はこれでいいかな、と。1月のプーンサワット戦で得たものがあった。楽しいボクシングだけじゃなくて勝つボクシングも必要だと」と細野。9月下旬、リナレスとのスパーで左わき腹を骨折。スパーもほとんどできないというハンデをものともしなかった。
 敗れた梅津も「(相手は)左アッパーがうまかった。あのくらいのポンイト差は出ても仕方ないと思う」と完敗を認めた。
 セミは木村悠(帝拳)が町田昌丈(グリーンツダ)に8回判定勝ち。翁長吾央(大橋)はタイのペッチジョムトーン・ソータナピニョに3回TKO勝ち。岡田誠一(大橋)は健太郎マイモンコンプロモーション(TI山形)を3回TKOに下している。

 この試合のテレビ放映は9日深夜27:15~27:45 テレビ東京で。ゲストとしてWBA世界S・バンタム級新チャンピオン李冽理が解説する。李と細野はアマ時代に対戦経験があり、細野がポイント勝ちしている。

2010年11月7日日曜日

老雄ジョンソン、グリーンをKO スーパーシックス戦

 ロペス-マルケス戦のセミで行われたS・ミドル級トーナメント「スーパーシックス」戦。ともに途中参加組のグレン・ジョンソン(米)-アラン・グリーン(米)の対戦は、41歳のベテラン、ジョンソンが8回36秒KO勝ちで、トーナメント初戦ながら準決勝進出を果たした。
 元L・ヘビー級王者ジョンソンは、いまだに健在だった。スタートからプレスをかけてグリーンを追い込み、毎ラウンドのようにダメージングブローを叩き込む。グリーンも単発ながら反撃打をリターンするのだが、押し込まれる印象はぬぐえない。徐々にグリーンの戦力を減退させたジョンソンが8回、強打を見舞うと、グリーンはマットに横転。カウント中、何か口走るグリーンは戦意喪失。そのままカウントアウトされた。
 ジョンソン(51勝32KO14敗)は次戦で、WBA王者アンドレ・ウォードと対戦する。トーナメント2連敗のグリーンは29勝20KO3敗。
※ 写真はロープにグリーンを詰め右ストレートを決めるジョンソン =PHOTO/SUMIO YAMADA=

ロペス、マルケスをストップ WBOフェザー級戦

 ラスベガスのMGMグランドで6日(現地時間)挙行された王者フアン・マヌエル“ファンマ”ロペス(プエルトリコ)-挑戦者ラファエル・マルケス(メキシコ)によるWBO世界フェザー級タイトルマッチは、ロペスが8回終了TKO勝利を飾り、2度目の防衛を果たした。
 ダウンシーンはなかったが、やはり強打者同士の対決はスリリングだった。3回、プレスをかけていたマルケスにロペスの左が決まり、メキシカンはロープまで飛ばされる。4回は逆に攻め込むファンマにマルケスのカウンターがヒットし、プエルトリカンのヒザが揺れる。この回、ロペスは後頭部を打ったとされ、ウィークス主審から減点1を取られた。5回にもグラついたロペスだったが、コンスタントにパンチを決めてペースを奪回。マルケスを手数で圧倒し後半へ。8回ロープを背に乱打を浴びたマルケスに、コーナーの元王者ダニエル・サラゴサ氏が棄権を申し出、ロペスの手が上がった。直接の原因はマルケスが右肩を負傷したためだった。
 ストップまでのスコアは77-74、78-73、77-73と3ジャッジともロペス優勢と採点していた。ロペス(27歳)は30勝27KO無敗。マルケス(35歳)は39勝35KO6敗。
※写真はマルケスに右を見舞おうとするロペス =PHOTO/SUMIOYAMADA=

いよいよフアンマ×マルケス! 計量クリア

 現地時間の土曜日6日、ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで挙行される大一番、フアン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ)-ラファエル・マルケス(メキシコ)の計量が5日午後、同アリーナで行われ、両者ともリミット半ポンドアンダーの125ポンド1/2(56.93キロ)を計測した。試合はロペスの保持するWBO世界フェザー級王座が懸けられる。
 王者“ファンマ”にはフェリックス・トリニダード、ウィルフレド・ゴメスの母国プエルトリコが生んだ名チャンピオン2人がエスコートし、計量の場が盛り上がった。試合オフィシャルはレフェリーがトニー・ウィークス(ラスベガス)、ジャッジはラウール・カイース・シニア(カリフォルニア)、デューン・フォード(ラスベガス)、ディーブ・モレッティ(ラスベガス)。
 同じリングで行われるS・ミドル級「スーパー・シックス」の計量はグレン・ジョンソン(米)が167ポンド、アラン・グリーン(米)がリミットの168ポンドだった。

松田無念の王座転落 佐々木はTKO防衛 ダブル東洋戦


 6日夜後楽園ホールで行われたダブル東洋太平洋タイトルマッチは、フェザー級松田直樹、S・ライト級佐々木基樹の帝拳ジムのチャンピオン・コンビが明暗を分けた。松田は、同級11位ジョネル・アリビオ(比国)とダウン応酬の末、6回に右をカウンターされて痛烈ダウン。タオル投入のTKO負けで王座転落となった。一方S・ライト級戦は、佐々木が同級12位ゲイスラーAP(インドネシア)の挑戦を7回1分7秒KOで撃退し、7月にランディ・スイコから獲得したタイトルの初防衛に成功した。
 松田は初回偶然のバッティングで左眉をザックリ割られ出血し、以後流血に苦しめられた。2回にアリビオの右強打を打ちおろされてダウン。3回には逆に右を決めてカウントのお返し。その後も流血に苦しみながらの試合が続く。ペースを掴みかけたのも束の間、6回に右をカウンターされて痛烈なダウン。カウント途中でタオルが入り、この回55秒TKOで松田の腰からベルトが失われた。「自分が弱かっただけ。粟生とか世界戦を控えているのに、俺が(帝拳ジムの)勢いを止めちゃって申し訳ない」と、松田は自らの敗北がジムの同僚に影響しないかと気遣っていた。
 佐々木はインドネシア王者を読むのに少し手間取った。時折思い切りのいい右ストレートを放って対抗するゲイスラーは、近年この国から来日して日本選手の引き立て役を務める不甲斐ない選手と比べるとはるかにましだった。しかし7回佐々木の左フック一発でもろくもダウンすると、そのまま10カウントを聞いた。
 この日の前座8回戦では元日本フライ級暫定王者五十嵐俊幸(帝拳)がメキシコの新鋭アルマンド・サンチェスと接戦を展開し、フルに戦って3-0判定勝ちを飾った。最近好調の五十嵐も、この日はKOならずとも油断のできない相手をしっかりアウトボックスし、日本タイトル前哨戦を飾った。
 写真上は無念のKO負けで王座を失った松田。同下はゲイスラーを左フック一発で沈めた佐々木

2010年11月6日土曜日

亀田3兄弟が12月揃って試合 興毅は社長就任

 亀田兄弟の長男で元世界L・フライ&フライ級チャンピオンの亀田興毅が亀田プロモーションの代表取締役社長に就任したことが明らかになった。これまで社長だった父・史郎氏に代わって、亀田ジムの経営母体である同プロモーションのトップに立つ。ボクサーとしても現役続行で社長業とは、かつてのオスカー・デラホーヤ(ゴールデンボーイ・プロモーション社長)と同じか。なお、史郎氏は、今後はサポート役に回るという。
 正式発表はまだだが、亀田3兄弟は12月26日にさいたまアリーナで初めてとなる3兄弟揃っての試合を予定している。大毅は保持するWBA世界フライ級王座の2度目の防衛戦となるもよう。

ロマゴンの後継王者にクワンタイ WBAミニマム級決定戦

 タイ人ボクサー同士によるWBA世界ミニマム級王座決定戦が5日夜バンコクで行われ、同級1位のクワンタイ・シットモーセンと同2位のピグミー・コーキットジムとが激しい打撃戦を展開した。試合は接戦のまま12回を終了し、クワンタイが2-1の判定勝ちで新チャンピオンとなった。スコアは2人が116-112、115-114でクワンタイとし、残る1人(原田武夫氏)は逆に115-114でピグミーの勝ちとしていた。
 この王座は、ローマン・ゴンサレスがL・フライ級で王座決定戦出場(獲得)したため、返上していたもの。 クワンタイはPABAの同級王者で、この日の勝利で戦績を31勝17KO不敗1分とした。一方敗者ピグミーは、42勝18KO6敗2分となった。
 なお、タイ選手の名前はジムの移籍等でよく変わるが、WBAランキングでは、クワンタイ・チョーノー・パッタルーンとなっている。

2010年11月5日金曜日

10月のMVPは三浦隆司 


 東日本ボクシング協会(大橋秀行会長)は4日、10月度の「最優秀選手」に3日の日本S・フェザー級タイトルマッチで、稲垣孝(フラッシュ赤羽)の挑戦を9回TKOで撃退したチャンピオン、三浦隆司(横浜光)が選ばれたと発表した。
 また「敢闘賞」は、28日の東洋太平洋スーパー・フライ級王座決定戦で、ダニーロ・ペーニャ(比国)に6回負傷判定勝ちをおさめ新チャンピオンとなった粉川拓也(宮田)、同じく「新鋭賞」は、19日の8回戦で木村隼人(韓国=横浜さくら)に8回TKO勝ちしたモービル・マーチン(中日)に決まった。

2010年11月3日水曜日

7戦全KO土屋MVP! 東日本新人王決勝



 第67回東日本新人王決勝戦は3日午後から東京・後楽園ホールで行われ、不戦のミドル級を除く11階級で熱戦が繰り広げられた。注目のライト級では、デビュー以来全KOの土屋修平(角海老宝石)が本領発揮。2回、中澤将信(帝拳)に右アッパーを打ち込んでダウンさせ、ノーカウントでKO勝ち。これで7戦全KO勝ちをマークした土屋は、全試合終了後、今大会のMVP――「最優秀選手賞」に選ばれた。
 期待通りの好勝負が展開されたのはミニマム級。特に2回はベスト・ラウンド。元高校王者・原隆二(大橋)の左フックを浴びて尻餅をついた安慶名健(横浜光)だが、この回終盤には逆に右を決めて逆転のダウンを奪う。これはダメージ深く、あわやKOの場面だったが、原はこのピンチを切り抜けると、すぐに回復し、3、4回はボディー攻めで勝利を決定づけた。原が3―0判定勝ちで「技能賞」に選ばれている。 S・バンタム級は角海老宝石ジムの同門対決。コーチ義人が初回の打ち合いで大橋健典を2度倒しKO勝ちし「敢闘賞」に選ばれた。角海老宝石ジムは5人決勝に送って3人が優勝と、久々に角海老勢が活躍したトーナメントだった。
 往年の重量級ライバルの“代理戦争”となったのはウェルター級。世界王者輪島功一さんの子息・大千(輪島功一スポーツ)と、カシアス内藤の教え子林欽貴(E&Jカシアス)が激突。結果は初回林の右フックが決まり、輪島ダウン。マーチン主審は試合を続行させず、輪島のKO負けとなった。
 この日の優勝者12名は東軍代表として12月19日同じ後楽園ホールのリングで西軍相手に全日本新人王決定戦に臨む。試合結果は下記の通り。
MM級 原隆二(大橋) 3-0判定 安慶名健(横浜光)
LF級 山口隼人(湘南RYUJU) 2-0判定 多打魔鎖獅(TI山形)
F級  堀 陽太(横浜光) 引き分け 平 龍太郎(石神井スポーツ)
    ※新人王規定により堀の勝者扱い。公式記録はあくまで引き分け
SF級 佐藤宗史(石神井スポーツ) 3-0判定 清水大樹(横浜光)
B級  堤 英治(ONE TWOスポーツ) TKO5R29秒 高橋康弘(ドリーム)
SB級 コーチ義人(角海老宝石) KO1R2分56秒 大橋健典(角海老宝石)
FE級 関豪介(角海老宝石) 2-0判定 小野田昌史(ワタナベ)
SFE級荒井 翔(ワタナベ) 3-0判定 高橋里望(ドリーム)
L級  土屋修平(角海老宝石) KO2R1分23秒 中澤将信(帝拳)
SL級 山田智也(協栄) 3-0判定 高橋光政(角海老宝石)
W級  林 欽貴(E&Jカシアス) KO1R1分5秒 輪島大千(輪島功一スポーツ)
M級  岩崎和雄(ロッキー)=不戦勝
※写真上は中澤を沈め7連続KO勝ちしMVPに輝いた土屋。下はこの日決まった12人の新人王たち

アマチュア AIBA会長にウー氏再選

 1日からカザフスタンのアルマトイで開催されているAIBA(国際アマチュアボクシング協会)の総会で、2日役員の改選が行われ、CK・ウー会長(台湾・64)が再選を果たした。会長選はウー氏以外に立候補者はなく、投票権を持つ106ヵ国のボクシング連盟がウー会長を信任して、2期目(任期4年)のウー政権が決まった。 写真は再選の決まったウー会長=PHOTO/AIBA=