2009年8月31日月曜日

石田「“暫定”を取り外したい!!」


 WBA世界S・ウェルター級暫定王座を獲得した石田順裕(金沢)が31日、大阪市内のジムで一夜明け会見。「まだ暫定なので……」と、あらためて真のチャンピオンを目ざす意気込みを語った。
 昨日のアベンダーニョ戦では中盤から前に出る作戦だったが、金沢英雄会長の指示でアウトボクシングを貫いたことを明かした。「勝ちに徹してもらった。次からはチャンピオンにふさわしい、打ち合って観客を喜ばせるような戦いをしてもらう」と金沢会長。これに応えて石田は「僕は行くか、離れるかのボクシングしかできない。今度はその中間で戦えるようになりたい」と課題をあげた。
 暫定チャンピオンとなった石田は速やかに王座統一戦へと向かわねばならないが、次戦について金沢会長は「WBAから指令が出ればもちろん従う」としつつ、暫定王座の防衛戦をプランのひとつに掲げた。すでに年末に大阪の会場を押さえているという。ただし石田本人は「何度防衛するというより暫定の文字を取り外したい。統一戦をしたい」と宣言していた。

カバジェロV10.レアルを中盤ストップ


 WBAスーパー&IBF世界S・バンタム級王者セレスティーノ・カバジェロ(パナマ)が29日(現地時間)メキシコのメヒカリで地元のフランシスコ・レアル(メキシコ)を7回終了TKO。WBA王座の防衛回数を大台の10に乗せた。(IBF王座は2度目の防衛戦)
 初回、右一撃でダウンを奪ったカバジェロは2回にも世界初挑戦のレアルにダメージを与え優勢。それを乗り切った挑戦者は長身王者に肉迫、観衆の声援を受けて見せ場をつくる。だがスマイルを浮かべるカバジェロは強烈なレバー打ちでサウスポー挑戦者の攻勢を遮断。6回、右目をカットしたレアルは出血が止まらず、7回終了後セコンドがリタイアを申し出た。
 カバジェロは33勝23KO2敗。レアルは14勝9KO5敗2分。
 同じリングで行われたWBC女子世界S・フライ級戦は王者アナ・マリア・トーレス(メキシコ)がアバ・ナイト(米国)を3-0判定で下して防衛成功。これまで無敗のナイトの善戦も光ったが、ラッシング・パワーで勝るトーレスが96-94,99-91,97-94のスコアで支持された。(三浦勝夫)

デンガオセーン挑戦に向かう大毅、敵は減量!?


 石田-アベンダーニョ戦セミに出場したWBA世界フライ級11位の亀田大毅(亀田)はメキシコのホセ・アルベルト・クアドロスを無難に4回KO。10月6日の同級王者デンガオセーン挑戦に駒を進めた。
 試合はプレスをかける大毅が4回に相手をつかまえ、連打で倒したもの。来る大一番に向け「人間がここまで変われる、というところを見せたい」と殊勝に話した。
 ただ、懸念されるのがウェイト。「体が大きくなっている」という大毅は「2年前(内藤戦)は50.8キロに落としとるけど。これはやってみな分からん」と話していた。53.0キロ契約で上がったこの日のリングを見ても、あと2.2キロ落とすのは容易でないと推測される。

左ジャブでアベンダーニョ制す 新暫定王者・石田


 30日大阪府立体育会館第1競技場で行われたWBA世界S・ウェルター級暫定王座決定戦は、3位・石田順裕(金沢)が4位のマルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)を大差3-0判定で制し、暫定タイトルを獲得した。
 入場時から気合が入りすぎの感のあった石田は立ち上がりの硬さを心配させたが、得意の左ジャブを当てて波に乗った。アベンダーニョが出てきても体を入れかえながら左フックを好打。ベネズエラ人はボディーから攻めて顔面を狙うが石田をとらえることができない。大きなヤマ場のない展開だったものの、石田は最後まで集中力を切らさず文句なしの勝利を飾った。
 この日の勝因はジャブだった。「上体が突っ込まないように気をつけて打ち続けた」と石田。昨年の初戦では逆に突っ込んで打とうとして失敗した経験を生かしたかたちだ。暫定ながら34歳にして世界タイトルを獲得し「うれしい」と喜ぶ一方で「まだこれは暫定のベルト。真のチャンピオンに必ずなる」と話していた。次戦は未定だが、石田には王座統一戦という重要な仕事が控えている。

2009年8月30日日曜日

ビロリア郷里ハワイで初防衛 IBF・J・フライ級

 4月にフィリピンでウリセス・ソリスを攻略しIBF世界J・フライ(L・フライ)級王座についた”ハワイアンパンチ”ことブライアン・ビロリア(米)が29日(現地時間)地元ハワイのホノルルで初防衛戦に臨み、同級15位ヘスス・イリベ(メキシコ)に3-0の判定勝ちを飾った。
 イリベは早い回に右手を傷めていたが、最後まで戦い切った。スコアは118-110, 117-112, 117-111。
 ビロリア陣営は試合後この階級の実力王者(WBO)イバン・カルデロンとのチャンピオン統一戦をアピールした。ビロリア(28)はこれで26勝15KO2敗。イリベは15勝6敗5分。

地元フックが新王者に WBO世界クルーザー級

  29日(現地時間)ドイツのハレで行われたWBO世界クルーザー級タイトルマッチで王座交代--地元の同級2位マルコ・フック(ドイツ)が王者ビクトル・エミリオ・ラミレス(アルゼンチン)のV2を阻んで3-0判定勝ちし、新チャンピオンとなった。スコアは116-111(2人)、115-112 だった。
 新チャンピオンのフック(24)は、セルビア生まれ。これで26勝20KO1敗。ラミレス(25)は15勝12KO2敗。

=速報=石田が暫定王座に WBA世界S・ウェルター級戦

 30日夜大阪府立体育会館(第1競技場)で行われたWBA世界S・ウェルター級暫定王座決定戦は、同級3位石田順裕(金沢)が同4位マルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)に12回判定勝ちし、暫定ながらチャンピオン・ベルトを巻いた。
 ダウンシーンはなかったものの、石田の文句ない判定勝ちで、スコアは119―109、118―110、117―111と大差がついた。
 新チャンピオンの石田は1975年生まれの34歳。20勝7KO5敗2分。一方のアベンダーニョは35歳。戦績は27勝19KO6敗1分。
 この階級の正規王者はダニエル・サントス(プエルトリコ)。石田陣営はサントスが1年以上防衛戦を行わないことを理由に暫定戦の承認を取り付けていた。サントスは11月14日に1位ユーリ・フォアマン(ベラルーシ)との指名戦が決まっており、石田とのチャンピオン統一戦はその後になる。
 WBA世界暫定王座決定戦と同じリングで行われた53キロ契約の10回戦に出場した亀田大毅(亀田・WBA世界フライ級11位)は、ホセ・アルベルト・クアドロス(メキシコ)に4回連打で10カウントKO勝ち。約1ヵ月後の10月6日に、同じ大阪でデンガオセーン・カオウィチット(タイ)の持つWBA世界フライ級王座挑戦の決まっている大毅としては、関西のファンの前で顔見せを兼ねた世界前哨戦を無難にこなしたかたちだ。
 8回戦でWBC世界バンタム級9位ウィリアム・ゴンサレス(ニカラグア)と対戦した石田の同僚加藤心和(金沢)は、判定で敗れている。

2009年8月29日土曜日

明日カバジェロ、10度目の防衛戦


 WBA・IBF世界S・バンタム級王者セレスティーノ・カバジェロ(パナマ)が29日(現地時間)メキシコのメヒカリで2冠王座の防衛戦に臨む。相手は地元選手のフランシスコ・レアル(メキシコ)。前日計量で、両者とも53.30キロでパスしている。
 前回4月のマセブラ戦で思わぬ苦戦を強いられたカバジェロ(32勝22KO2敗)が敵地でWBAは10度目、IBFは2度目の防衛戦。「タイトルはタイで獲ったし、IBFのベルトはモリターのホームで手に入れた。今回もアウェーでの強さを発揮して勝つ」と自信のコメント。
 一方のレアル(14勝9KO4敗2分)はランク外で格下と思われる。「ここメヒカリの人でも私が勝つと思っている人は少ない。でもチャンピオンは誰かは重要ではない。自分を信じて世界王者になる」と気丈に語っている。
 なお同じリングではWBC女子世界S・フライ級王者アナ・マリア・トーレス(メキシコ)がアバ・ナイト(米国)を相手に防衛戦。両者とも52.2キロを計測した。(これは現地からの情報。リミットは52.16キロ)。

中広防衛、本田に判定勝ち 広島の日本S・フライ級戦

 29日広島県三次市で行われた日本S・フライ級タイトルマッチは、チャンピオン中広大悟(広島三栄)が7位挑戦者の本田秀伸(グリーンツダ)からダウンを奪って2-0判定勝ち。2度目の王座防衛に成功した。
 中広は初回に右ショートで本田をダウン。好スタートをきったがサウスポーの挑戦者もすぐさま立て直す。駆け引きを駆使したボクシングで試合を拮抗させた。チャンピオンが抜け出したのは5回。右を多く当てて明白にポイントを奪取する。しかし本田も最後まで重大なピンチに陥るシーンはなかった。スコアは96-95、97-93、95-95。
 勝った中広からは「初回のダウンで勝ったつもりになった。そのあと警戒されて……俺の引き出しが足りません」と反省の弁が出た。「最近ダメ。このままじゃ日本タイトル戦で足もとを救われてしまいます」(中広)。“ディフェンス・マスター”との10ラウンドを振り返り「今回は技術より心理作戦で疲れた」とも話した。
 また前座の結果は以下の通り(左が勝者)。
8回戦 板垣幸司(広島三栄)判定 太田垣雅之(オール)
6回戦 越智大輔(ビッグアーム)TKO6回 松原章訓(倉敷守安)
6回戦 岡崎祐也(中内)KO1回 村井伸行(大一スペースK)
4回戦 重田優介(中内)TKO4回 原田正志(広島三栄)
4回戦 藤本周吾(マサ伊藤)判定 武縄鉱(倉敷守安)
4回戦 山岡和生(広拳)負傷引分2回 森分亮次(中外)

ウランゴ逆転TKO勝ち 新鋭クラウド戴冠

 28日(現地時間)米フロリダ州ハリウッドで、IBF公認の2つの世界戦が行われた。
 まず王者フアン・ウランゴ(コロンビア)に1位ランドール・ベイリー(米国)が挑んだIBF世界J・ウェルター級戦はダウン応酬。プレスをかけるウランゴがやや有利で迎えた6回、この日まで39勝35KO6敗の強打者ベイリーの右で王者が仰向けに倒れる。ダウンと同時に右目をカットしたウランゴだったが、8回から反撃態勢。9回、サウスポーからの左で倒したウランゴは、このラウンドと10回にダウンを追加して断然優勢。11回、青息吐息に陥ったベイリーのセコンドが棄権を申し入れた。TKOタイムは1分51秒。
 2度目の王座の初防衛に成功したウランゴは22勝17KO2敗1分。
 もう一つのIBF世界L・ヘビー級戦は無敗の1位タボリス・クラウド(米、19勝18KO)と元王者のベテラン、クリントン・ウッズ(英、2位)による王座決定戦。前半は2回を除き、10歳年少で勢いに乗るクラウドのペース。8回、クラウドの左でウッズはヒザが折れ、追撃でストップ寸前のピンチに陥る。10回にもクラウドのラッシュにさらされたウッズ(37歳)だったが、持ち前のタフネスを発揮して乗り切った。
 大差のスコアが予想されたが、公式採点は3者一致の116-112と意外な中差。いずれにせよクラウドが支持された。

石田、アベンダーニョとも自信 明日暫定世界戦

 30日大阪府立体育会館であるWBA世界スーパー・ウエルター級暫定王座決定戦の前日計量が29日大阪市のホテルであり、4位・石田順裕(金沢)と5位マルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)が69・8㌔の同級リミットを両者一杯で一発パスした。
 これに先だって行われた調印式後の記者会見では両者KO宣言。石田は「この試合は金沢会長を含めいろんな人の力で実現した。絶対に勝ちたい。右ストレートが当たればKOもある」と決意表明。一方のアベンダーニョも「今とてもいい状態なので、タイトルは獲れる。コンビネーションで5回に倒して勝つ」と意気込んだ。計量前の検診でも石田が体温36・0度、脈拍60、血圧の上が147で下が89、アベンダーニョは体温35・7度、脈拍68、血圧の上が153で下が84と異常は認められなかった。

2009年8月28日金曜日

升田、ポンサクレックに6回TKOで敗れる


28日、タイ・チェンマイでポンサクレック・グラティンデーンジムの持つWBC暫定世界フライ級王座に挑んだ升田貴久(三迫)は2回にダウンを奪われた末、6回にもダウンを喫して同1分6秒TKOに退いた。 ウェイトをつくるのがやっとだった升田。モチベーションこそ高かったがリングでは体が動かなかった。距離をキープし、飛び込んでくる王者の出鼻にカウンターが作戦だったが、スタートから本来の動きができない升田は王者にあっさりインサイドを明け渡し、ボディーブロー、右アッパーにさらされてもともと少ないスタミナを消耗。2回には早くもワンツーで飛び込まれ、右を追加されてダウンを喫した。
 その後幾分切れを取れ戻したかに見えたが、狙って倒しに掛かった王者に試合をコントロールされ、猛攻にさらされた。 そして迎えた6回、仕留めに掛かったポンサクレックは左ボディーを連発して升田をロープに追い込むと右フックをかぶせて2度目のダウンを奪った。ボカレ主審はカウント中にストップを宣言してTKOとなった。
「何も覚えていません」と升田。それでも階級を上げて再起すると話している。一方暫定王座防衛に成功した王者は「升田は力強くもうまくもなかった。タイの暑さも彼には影響したのかも」と圧勝劇を振り返り、「内藤は亀田興毅とやるようだから、その勝者と戦う。どっちと戦うことになっても正王座を奪い返す自信はある」ときっぱり語っている。=写真は2回のダウンシーン

2009年8月27日木曜日

明日タイでWBCフライ級暫定戦-ポンサクレック、升田計量パス


試合を明日に控えて、WBC暫定世界フライ級タイトルマッチの計量が27日午後、タイ・チェンマイのル・メリディアン・ホテルで行われた。スポンサーの遅刻で定刻の午後3時を20分廻ってハカリに乗った両者はともにリミットの50・8キロでパスしている。
 昨日夕方バンコク経由でチェンマイ入りした挑戦者の升田貴久(三迫)は、この1週間ほとんど食べ物を口にしておらず「食べても冷凍みかんをちょこっと口にするぐらい。水すら1日100cc摂れるかどうかだった。今朝200グラムオーバーで、普通は一晩寝るとそのくらい落ちるんですけど、まったく落ちず。汗も出ないのでガムをかみ続けていました」という。 計量をクリアした升田の口からは思わず「頑張った」という言葉が出た。
 減量は確かに苦しかった。しかしモチベーションは最高。「体調もいいです」と升田。射場トレーナーも「本当にツキかったけれど本人生き生きしているんですよ。思った以上の動きをするかもしれません」と期待の弁。27日のチェンマイは乾いてはいるが非常に暑く、ガップチュンロイ公園に設置される屋外リングという状況は厳しそうだ。升田、射場コーチとも「この暑さの中での試合は未知。水分補給など暑さ対策を考えています」。久保マネジャーは日本から“冷えピタ"を大量に持ち込んだという。「ビデオを見た。チャンピオンは思った以上に攻めが荒い。それがプレッシャーになってくるかもしれないが、うまくカウンターを取りたい」(升田)。「ペースを取れれば疲れは少ない。最初のペース争いがカギ」(射場コーチ)。果たしてチェンマイの奇跡が起きるか--試合は明日午後3時半(日本時間同5時半)リングイン。 オフィシャルは次の通り。
スーパー・バイザー/エドワルド・タンガラジャ(タイ)
レフェリー/ブラッド・ボカレ(豪)
ジャッジ/金谷武明(日本)キム・ジェーウォン(韓国)モントン・スリヤチャン(タイ)

西岡&リナレス世界戦チケットが早くも完売


 西岡利晃&ホルヘ・リナレス(ともに帝拳)の両チャンピオンが防衛戦に挑むダブル世界タイトルマッチ(10月10日・代々木第2体育館)のチケットが販売開始後わずか2日間で完売した。27日帝拳プロモーションが発表したもの。
 このダブルタイトル戦はWOWOW開局以来初の大がかりなイベント「WOW FES(ワウ・フェス)」の目玉企画として行われ、西岡-エルナンデス戦、リナレス-サルガド戦の前座では細野悟-榎洋之のOPBFフェザー級戦、三浦隆司-小口雅之の日本S・フェザー級戦もラインナップされている。チケットは26日から一般販売されたが、異例の早さでソールド・アウトとなった。

安田が元王者メッグン挑戦

 六島ジムの日本バンタム級12位・安田幹男が元WBC世界フライ級王者メッグン・シンスラット(タイ)と対戦することが決まった。試合は9月30日大阪府立体育会館第2競技場の名城-カサレス戦セミで行われる(54キロ契約8回戦)。
 メッグン(31歳)は1999年フライ級時代のマニ―・パッキアオからベルトを獲ったことで知られる(1度防衛)。その後階級を上げ、2006年大阪で池原信遂に3回TKO負けし、その翌年にはホルヘ・アルセにも敗れたものの、再び連勝し最新のWBCランキングでバンタム級15位に入った。ウェブサイト「BOXREC」では63勝44KO5敗の戦績。
 一方の安田(26歳)は左フックに威力を秘めた強打の右ボクサーファイター。8月、宮城竜太(BMB)との強打者対決に初回TKO勝ちし、芹江匡晋(伴流)戦以来の再起を飾ったばかり。戦績は14勝11KO4敗2分。

2009年8月26日水曜日

K-1関与の山田トレーナーに3ヵ月停止処分 JBC

 日本ボクシングコミッション(JBC)は、他のプロスポーツに関与したとして、東日本ボクシング協会から処分願いの出されていたJBスポーツジム山田武士トレーナーの件で24日に倫理委員会を開き競技した結果、同日付で「7月13日から3ヵ月間セコンド資格を停止」とする処分を科した。
 この処分は、JBCルール第10条第2項「すべてのライセンス所持者は、JBCによる特別の許可がない限り、他のプロスポーツに関与もしくは従事することはできない」、ならびに懲罰規定第2条2項「ボクサー以外のボクシング関係者に対する処分」に基づき、決められた。
 山田トレーナーは、以前もJBC、協会からK-1への関与を注意され、最近のK-1の大会でも選手のセコンドを務めていたことから、今回の処分となった。なおJBCは同時に、クラブ・オーナーの森川常次氏を厳重注意処分としている。

アベンダーニョ自信「前回も私が勝っていた」


 石田順裕とWBA世界S・ウェルター級暫定王座を争う同級5位のマルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)が26日、東京のフラッシュ赤羽ジムで練習を公開した。
 2階級上の東洋太平洋王者・清田祐三(F赤羽)とのスパーは、体格差があったため当初予定の3ラウンドが2ラウンドに変更された。それでも初戦で石田を苦戦させた、意外な踏み込みの速さは健在。パートナーを務めた清田も「いきなり(飛び込んで)来る」と感想を語っていた。スパーのほか、シャドー、ロープ、バッグとみっちり動いたアベンダーニョはすでに体重もリミットの154ポンドだという。
 石田との再戦については「アウトボクシングをしてくると思うが怖くはない」。初戦で際どい判定を落としたことに「昨年も私が勝っていた。今回はWBAのジャッジだし、判定でも妥当な採点が下されるだろう」と最後まで自信満々だった。ベネズエラで2ヵ月間張ったキャンプでは初戦のDVDを徹底的に研究したそうだ。
 一行は明日大阪入りする。=写真はスパー後清田とポーズをとるアベンダーニョ㊧=

石田が公開練習


 WBA世界スーパーウエルター級暫定王座決定戦に出場する同級4位・石田順裕(金沢)が25日、大阪市生野区のジムで公開練習に臨んだ。2回のスパーリングは試合当日の前座で元世界王者・輪島功一氏とエキジビジョンマッチを行う元プロボクサー金子俊昭氏が相手。ジムの先輩で元世界王者の徳山昌守氏も駆けつけた。
「今回は勝たないとあかん試合。前回地元判定の声もあった。これに勝って終わりじゃなく、正規の王者ともやって実力を証明したい。だから今回は通過点。不安がないくらいに練習した」と落ち着いた口ぶり。
 米国ロサンゼルス合宿など通算のスパーリング・ラウンド数は200回を超え、過去最高の仕上がりに自信がみなぎった。見守った徳山氏は突破口に「上下の打ち分け」を授けた。同級5位マルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)はアップライトの右構え。自身も現役時代、同タイプだっただけに「上下の攻めでこられると嫌だった。上フェイントで下へいって、距離を詰められてからショートレンジの戦いへ持ち込まれると。だから石田もこれしかない」と助言。石田も「前回ジャブが当たらなかった。顔は当てにくくてもボディーは逃げない。上下の攻めは大事」と納得した。2度WBC世界スーパーフライ級王座に就き、通算9度防衛したノウハウで国内27年ぶりのスーパーウエルター級世界王座をもたらす覚悟だった。

ミラノでアマ世界選手権 日本の8選手28日出発

 昨年の北京オリンピック後アマチュアボクシングの最大規模の大会となる、AIBA世界選手権大会が9月1日から12日まで、イタリアのミラノで開催される(開会式は8月31日)。
 今回が15回目となる大会には、11階級の王座目指して143ヵ国から約700名の選手が参加。各試合、1ラウンド3分の3回戦でトーナメントが開催される。
 日本は主に昨年度全日本選手権の優勝者を中心にL・フライ級からミドル級まで8名が出場する。この中には前回のシカゴの世界選手権で銅獲得の川内将嗣、昨年の北京五輪に川内とともに出場したフェザー級清水聡も含まれる。好結果を期待したい。
  日本チームの陣容は下記の通り。
LF 林田太郎(駒沢大学)
F 三須寛幸(拓殖大学)
B 丸亀光(法政大学)
FE 清水聡(自衛隊体育学校)
L 杉浦剛史(拓殖大学)
LW 川内将嗣(自衛隊体育学校)
W 平野義幸(自衛隊体育学校)
M 林健太郎(日本体育大学)
団長・福島修
監督・本博国
コーチ・荒木健
同 小山田裕二
 一行は28日にミラノに向け出発する。

内藤大助-亀田興毅戦実現 両ジムが発表

 内藤大助-亀田興毅の因縁の対決が実現――WBC世界フライ級王者内藤大助(宮田)に元WBA世界L・フライ級王者で現WBAフライ級1位の亀田興毅(亀田)が挑戦する。25日、両者の所属する宮田、亀田両ジムが合意に達し、連名でメディアにニュース・リリースを流した。一昨年弟の亀田大毅が内藤に挑んで判定負けした際には反則行為を巡って大騒動となったが、兄興毅は弟の失敗したベルト獲りに成功できるか? 内藤はこれを返り討ちして6度目の防衛成功を目指す。
 内藤は暫定王者ポンサクレックとの統一戦に優先させて亀田の挑戦を受けることになったが、リリースの宮田博行・宮田ジム会長のコメントによると、試合は両陣営プラス、WBC、日本ボクシングコミッションの4者間で合意に至っているという。「11月開催」と一部メディアが報じているが、開催地も含め、興毅がWBCランキングに入った後、正式に記者会見を開いて発表するということだ。
 なお、興毅は9月5日にディファ有明で前哨戦を予定している。また二男の大毅が10月6日大阪でWBA王者デンカオセーンに挑戦が決まっており、「なんとしても2人揃って世界チャンピオンになることを願っております」と、五十嵐紀行・亀田ジム会長の談話。
 王者内藤の談話。「ファンの皆様のご期待によい形で応えられるように全力を尽くして頑張ります。皆様のご声援を宜しくお願いいたします」
 挑戦者亀田の談話。「大毅が内藤選手に挑戦してから2年。俺は兄として、あの時大毅が獲れなかった緑のベルトを必ず亀田家に持ち帰ります。2階級制覇させてもらいます」

2009年8月25日火曜日

ゲレロ2階級制覇 地元ディアスは幸運の判定勝ち

 22日(現地時間)米テキサス州ヒューストンで行われたIBF世界S・フェザー級タイトルマッチは、元IBF世界フェザー級王者ロバート・ゲレロ(米)が王者マルコム・クラッセン(南アフリカ)を12回3-0判定に破り、2階級制覇の新チャンピオンとなった。
 ゲレロは左目をカットするハンデを負ったものの、前半からポイントをリードし、中盤からペースを上げたクラッセンを制した。スコアは116-112、116-113、117-111。
 ゲレロ(26)は25勝17KO1敗1分2NC。クラッセン(27)は4月に同国人のカルロス・バロイから奪った王座の初防衛に失敗。24勝15KO5敗。
 この日のメインカードは、元世界王者同士が対戦した空位のWBO北米L・ウェルター(S・ライト)級王座決定戦(12回戦)。ライト級の元統一王者フアン・ディアスが、元IBF・J・ウェルター級王者ポーリー・マリナージ(ともに米)に僅差の3-0判定勝ちをマークしたが、判定を巡って紛糾。マリナージのアウトボクシングが優勢だったものの、地元のディアスに幸運の白星がついたという見方が強い。ディアスは2月にフアン・マヌエル・マルケス(メキシコ)に敗れ無冠となって以来の試合だった。

2009年8月24日月曜日

井岡がミニマム級8位に 8月度日本ランキング

 最新8月度日本ランキングが24日決まった。チャンピオン組では、三垣龍次(M.T)を45秒でストップした近藤明広(日東)がライト級王座に就いたほか、S・ライト級の小野寺洋介山(オサム)が初防衛に成功。日本タイトル戦ではないもののミドル級王者の鈴木哲也(進光)はOPBF同級との2冠を達成している。
 新ランクでは、大型ルーキーの井岡一翔(井岡)がミニマム級8位に登場。井岡は3戦目で元世界ランカーの日本7位・松本博志(角海老宝石)に快勝した試合を受けて。敗れた松本は11位に後退した。
 ほか中澤翔(L・フライ級11位=大鵬)、石崎義人(フライ級12位=真正)、安田幹男(バンタム級12位=六島)ら関西勢に加え、ランカーに勝利した大村光矢(ライト級8位)と岳たかはし(ミドル級5位=新田)の2人が今月入った。また復帰2戦目で日本1位の阪東ヒーロー(フォーラムS)を破った元日本S・バンタム級王者・福原力也(ワタナベ)も復帰、S・フェザー級3位にランクされた。
 一方、世界ランキングを落ちたビッグネーム、榎洋之(角海老宝石)はフェザー級3位に。フライ級の升田貴久(三迫)は同1位にランクされた。WBC22位の升田は28日タイで同級暫定王座戦に出場する。

臼井、タイ王者下し再起


 24日夜、後楽園ホールでは日本バンタム級5位の臼井欽士郎(横浜光)がタイ同級王者ガーオナー・チューワッタナに8回3-0判定勝ちした。
 これが大場浩平戦(判定負け)以来の再起戦となる臼井(29歳)は左ボディーと右カウンターを軸に試合をリード。しかし46戦目(24勝19KO18敗3分)のベテラン、ガーオナーも打たれ強さを発揮して粘る。臼井はクリーンヒットを決めるもコンビネーションにつなげるまでは至らず、終盤はしぶとく反撃するガーオナーにやや手を焼き、試合終了のゴング。スコアは79-74、79-75、78-75だった。臼井の戦績は18勝8KO2敗。
 また、この日は臼井-ガーオナー戦のほかにも8回戦が5試合行われた。
 日本フライ級5位の池原繁尊(横浜光)は韓国の鄭眞綺に5回40秒KO勝ち。右スイングとボディー攻勢で鄭を痛めつけ、5回開始早々に左へ回る鄭をまたも右フックでとらえて倒したもの。こちらも4月の清水智信戦(負傷ドロー)以来となる再起を飾った。18勝14KO1敗2分。
 日本S・フライ級4位のホープ、赤穂亮(横浜光)はタイのジョッキーレック・シッスーイを3回にボディーで倒してTKO勝ち。13勝7KO1分と無敗をキープした。
 日本ミドル級のランカー対決となった田中徹(9位=横浜光)対中堀剛(7位=本多)戦は中堀が5回TKO勝ち。バテ気味の田中を連打で攻めてダウンさせると同時にストップがかかったもの。
 ほか、フライ級の松信俊一(大橋)対大嶽正史(石橋)戦は引き分け。渥美博文(横浜光)対越田茂実(青木)戦は渥美の判定勝ち。

王者西岡が公開スパー

 10月10日のダブル世界タイトル戦(東京・代々木国立競技場第二体育館)でWBC世界S・バンタム級王座3度目の防衛戦に臨むチャンピオン西岡利晃(帝拳)が24日、東京・神 楽坂の帝拳ジムで報道陣に練習を公開した。
 今回は「バランスと右の強化」を重点的に練習しているという西岡。挑戦者イバン・エルナンデス(メキシコ)について、ビデオでチェックしているという。「手数の多い、非常にまとまったいい選手」と高評価した上で、「圧倒的強さで勝つ」と西岡は必勝宣言した。
この日は同僚の日本フェザー級王者・松田直樹を相手に3ラウンド動いたが、初日とあって軽めのスパーだった。今週末から、水曜日にも来日するフィリピン人パートナーを相手に、今週末から本格的なスパーリングを重ねる予定。
 このエルナンデス戦をクリアすれば、その後はこの階級のビッグネーム、バンタム、S・バンタム2階級制覇したラファエル・マルケス(メキシコ)との対戦が濃厚だけに、西岡のモチベーションはいやでも上がる。「3度目の防衛に挑戦するつもりで、気を引き締めてやりたい」と、今度も積極的なチャンピオンである。=写真はスパーで松田に右ストレートを打ち込む西岡=

訃報 コルドバWBA元会長逝く


 WBA(世界ボクシング協会)の元会長、エリアス・コルドバ氏が23日朝(現地時間)、パナマ市内の病院で死去した。92歳。死因は発表されていないが、暫く入院生活を送っており、老衰といわれている。
 コルドバ氏は過去に2度WBA会長を務め、他にも世界選手権委員長はじめ要職を歴任した斯界の大物。パナマ市出身。「ドクトル・コルドバ」と呼ばれたのは、有名な外科医だったから。ボクシングを愛好し、パナマのコミッション・ドクターとしてこの世界に入ったが、やがてパナマ・ボクシング・コミッション、WBAの顔として活躍し、会長ポストを現職のヒルベルト・メンドサ氏(ベネズエラ)に譲った後も、長くボクシング界に大きな影響力を保っていた。数年前にはWBAの「終身名誉会長」にも選ばれている。日本のボクシング界とも深い繋がりを保ち、再三来日していた。
 写真はパナマの同胞ロベルト・デュランと肩を並べるありしのコルドバ氏。

グティエレス暫定王者に(WBC・S・フェザー級) IBFガルシア僅差防衛

 22日(現地時間)メキシコのバハ・カリフォルニア州のカボ・サンルカスで行われたWBC世界S・フェザー級暫定王座決定戦は、3位ウンベルト・グティエレス(メキシコ)が1位セルゲイ・グリヤケビッチ(ベラルーシ)と激戦の12ラウンドを戦った末、2-0判定で勝ち、暫定チャンピオンとなった。スコアは115-111 116-110と2者がグティエレスの勝ち、残る1人は113-113のドローだった。
 20歳のグティエレスは、26勝19KO1敗。グリヤケビッチ(28)は2敗目(26勝12KO)だった。この階級の正規王者ウンベルト・ソト(メキシコ)は11月に1階級上げてエドウィン・バレロのWBC世界ライト級王座挑戦の計画があり、チャンピオン統一戦を待たずしてグティエレスが正規王者になる可能性大。 
 同じリングで行われたIBF世界ミニマム級タイトルマッチも大接戦。不敗王者のラウル・ガルシア(メキシコ)が同国人のサミー・グティエレス(15位)に2-0判定勝ちで4度目のタイトル防衛に成功した。両者はこれまで2度対戦している国内のライバル。いずれも接戦を展開(最初は引き分け、再戦は2-1判定でガルシア)、今回3度目で初めて世界を懸けて戦ったが、やはり接戦だった。
 ガルシア(26)はこれで26勝16KO2分と不敗を維持。グティエレス()は21勝12KO4敗3分。

2009年8月23日日曜日

復帰戦の久高、タイ選手にTKO勝ち

 5月にタイで世界フライ級王座に挑戦し王者デンガオセーンに2-1判定で惜敗したWBA同級13位・久高寛之(仲里ATSUMI)が、23日午後大阪・クレオ大阪中央で復帰第1戦に臨み、タイのラッタナデート・ポーティティマ(タイ)に7回1分14秒TKO勝ちを飾った。
 初回にダウンを奪った久高だったが、その後ラッタナデートも粘り、回は後半へ。7回に久高がタイ選手をロープに詰めボディーに連打したところで、レフェリー・ストップがかかった。久高(24)の戦績はこの勝利で18勝7KO8敗1分に。

前座で真道、秋田屋勝つ


 23日の多田-ヤニ戦前座では女子5試合、男子2試合が行われた。
 女子6回戦はOPBF女子フライ級5位の真道ゴー(クラトキ)が同9位ジョミュシン・ギャットノーウォー(タイ)に5回ストップ勝ち、また秋田屋まさえ(ワイルドビート)が小田美佳(宮田)に判定勝ち。男子の6回戦は松本一男(森岡)が濱田英一(大阪帝拳)に判定勝ち。=写真は秋田屋―小田戦=
 そのほか4回戦の結果は以下の通り(左が勝者)。
安藤麻里(フュチュール)判定 玉置シュリーマン(神拳阪神)
田中奈浦子(フュチュール)判定 見藤舞利子(大鵬)
北脇絵美(フュチュール)判定 藤本奈月(セレス)
山川浩平(グリーンツダ)判定 西口優太(森岡)

多田反省の初防衛 WBA女子ミニマム級戦

 23日、大阪府豊中市のよみうり文化ホールで行われたWBA女子世界ミニマム級タイトルマッチは、チャンピオン多田悦子(フュチュール)が7位挑戦者のヤニ・ゴーキャットジム(タイ)に3-0判定勝ち。初防衛に成功した。
 サウスポーの多田はやや硬さのうかがえる立ち上がりだった。積極的に飛び込んでくるヤニを右フックで迎撃し、3回あたりからは左ストレートのカウンターも決めたが、全般的に相手に合わせたボクシング。「練習してきたことができなかった。守りに入っていた」と本人も反省したように、リズムに乗り切れないままの10ラウンドとなった。それでも、これといったピンチは招かず、96-94が2者(尹、金)に97-93(李=いずれも韓国)のスコアで支持された。ダウンシーンはなし。
「不細工な試合。でも次につながった」と多田。この日観戦に訪れたWBC女子世界L・フライ級王者・富樫直美(ワタナベ)とのチャンピオン対決が12月大阪で内定している。

バルザイ、郷里でベルト失う WBO・S・ミドル級戦


 22日(現地時間)ハンガリーの首都ブダペストで行われたWBO世界S・ミドル級タイトル戦で波乱--。地元で凱旋した不敗王者カロリー・バルザイ(ハンガリー)が6位ロベルト・ステイグリッツ(ドイツ)に11回12秒TKO負けを喫し、王座を追われたのだ。
 挑戦者の強いプレッシャーに押されて徐々に消耗していったバルザイ。9回のダウンはスリップと判定されたが、次の10回もダメージを負い、コーナーは11回のゴングに応じさせなかった。
 新王者ステイグリッツ(28)は、これが2度目の世界挑戦で、36勝22KO2敗。これまで21勝15KOだったバルザイ(30)は初黒星。=Photo/Sumio Yamada=

ブラーマーが暫定王者に WBO・L・ヘビー級戦

 ブダペストのWBO世界S・ミドル級戦(22日)と同じリングで行われたWBO世界L・ヘビー級暫定王座決定戦は、5位ユルゲン・ブラーマー(ドイツ)が3位アレクシー・クゼンスキ(ポーランド)から4度のダウンを奪い11回39秒タオル投入のTKO勝ち。暫定王者となった(正規王者はゾルト・エルディ)。
=Photo/Sumio Yamada=

2009年8月22日土曜日

江口36秒で敗退、渡部66秒KO勝ち-レイジングバトル


22日後楽園ホールでA級ボクサー4回戦賞金トーナメント“レイジングバトル”がスタート。KO至上主義を謳う大会らしく、70キロ契約の2試合はいずれも初回で決着した。
 前日本ミドル級王者でこの大会に再起を期した江口敬二(姫路木下)を07年新人王の岳たかはし(新田)が食った。それもわずか36秒でストップ。開始から一気に攻めて出た岳は怒濤の集中打で江口をダウン。再開後も攻め手を緩めずラッシュしてレフェリーストップを呼び込んだ。また海老根範充(国際)と対戦した渡部あきのり(協栄)も66秒KO勝ち。モデルチェンジ中の渡部はフットワークを使って試合をコントロール。出てきた海老根を右フック一発で仕留めた。両者が激突する決勝は10月23日。
 60キロ契約戦、澤永真佐樹(赤城)と4年ぶり復帰の小沢大将(全日本パブリック)というベテランが激突したオープニングバウトから盛り上がった。ともにカウンター、リターンのタイミングで一撃KOを狙い、初回に澤永がダウンを奪うと、2階に小沢が倒し返す。3回に入るとともにガスが切れたが、一撃必倒の意欲満々、けれん味ない打ち合いを展開して譲らずドロー。2-1で延長を制した澤永が決勝を射止めた。もう一つの60キロ契約戦は、小林生人(角海老)が真鍋圭太(MT)に判定勝ち。
 65キロ契約戦は山口裕司(JBスポーツ)が清田広大(協栄)に、前川洋昭(帝拳)が元日本王者・伊藤俊介改め森田瞬(金子)に判定勝ちしている。
 アンダーカードの6回戦は、昨年のS・フライ級新人王藤原陽介(ドリーム)が高室洋臣(角海老宝石)に判定勝ちで負けなしの10連勝(4KO)。同L・フライ級新人王青野弘志(角海老宝石)は橋本祥太(協栄)に2回ワンパンチでKO負けで初黒星(8勝3KO)。石田將大(本多)が牧野準(ワタナベ)に5回KO勝ち。4回戦は、山口祥之(湘南RYUJU)が赤刎賢治(拳誠)に3回TKO勝ち。

AIBAの世界ランキング発表 日本の8選手も

 AIBA(国際アマチュアボクシング協会)は20日付けで世界ランキングを公表した。
 以前は年に1度、各級10位までのランキングを発表していたことがあるが、今回は「AIBA始まって以来初のランキング」と自賛するだけあって、各級1位から90位前後まで、最大のL・ウェルター級は103位までランクしている。
 いずれもオリンピックや世界選手権、五輪予選などAIBA主催の主要大会の成績によって、ポイントを与え、順位を付けているという。1位は2000点を超し、全階級を通じて最大の獲得ポイントは、フェザー級1位(北京五輪金)ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)の2900点、2位がL・フライ級1位ゾウ・シミン(中国)の2500点だった。
 日本選手もL・フライ級からウェルター級まで8階級に1人ずつランクされており、中でもフェザー級の清水聡(自衛隊体育学校)が8位、L・ウェルター級の川内将嗣(自衛隊体育学校)が7位と、北京五輪出場の2選手がひと桁台にランクイン。日本選手の順位は下記の通り--。
LF級44位 大久保賢児(早稲田大卒)450P
F級86位 須佐勝明(自衛隊体育学校)150P
B級73位 萬田竜也(東農大卒)200P
Fe級7位 清水聡(自衛隊体育学校)1200P
L級64位 星大二郎(東農大卒)250P
LW級8位 川内将嗣(自衛隊体育学校)1250P
W級50位 平野義幸(自衛隊体育学校)400P
M級48位 村田諒太(東洋大職) 450P
 過去の大会の成績を基にしているため、すでに活動していない選手も含まれている(所属名の後の数字は獲得ポイント)。

石田必勝誓う 元職場の児童養護施設訪問


 30日に宿敵アベンダーニョとのWBA世界S・ウェルター級暫定王座決定戦(大阪府立体育会館第1競技場)を控える石田順裕(金沢)が必勝宣言――。22日、東大阪市の児童養護施設「若江学院」を訪れ、児童たちから激励を受けた。試合当日は会場に100人近くを招待し、念願の世界チャンピオン獲得を目ざす。
 石田は1998年8月から約2年2ヵ月の間、当施設に勤務。住み込みで働きながら資格をとり、その一方でアマチュアの社会人選手権大会にも優勝した。この日、子どもたちの「がんばれ」エールをもらった石田は「絶対に負けられへんな。さらにやる気になりました」と決意の表情。アベンダーニョ戦に備えアメリカ合宿から続けたスパーリングを昨日打ち上げ、現在のウェイトはリミットまで約2.5キロという。

多田47.1キロ、ヤニ46.7キロ 明日WBA女子ミニマム級戦

 WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチ(大阪府豊中市・よみうり文化ホール)の計量が22日、大阪市内のホテルで行われ、チャンピオン多田悦子(フュチュール)と挑戦者7位ヤニ・ゴーキャットジム(タイ)ともにアンダーでクリアした。多田は47.1キロ、ヤニは46.7キロ。
 計量に先立つ会見でヤニの印象を「思っていたよりも小さい」と話した多田。今回チャンピオンとして初めてのリングに立つが、気負いはみじんも感じさせない。初防衛戦に備えて右リードの強化を図ったといい「練習したことができればKOにつながると思う」。最後は「KOを狙わずにKOしたい」と長谷川穂積ばりのコメントで締めた。一方のヤニも「勝つ自信がある。絶対勝ちます」と宣言。こちらは多田について「思ったより大きい」と言っていた。WBC女子L・フライ級王者・富樫直美(ワタナベ)とのチャンピオン対決の話もある多田としては、6戦無敗のヤニをしっかり撃退したいところだ。
 一方で同級は正規王者・多田がこうして防衛戦に臨むにもかかわらず、7月31日にトリニダード・トバコで暫定王者が誕生している。WBAによると、本来ならば挑戦者決定戦として行うものながら、興行が成り立たないためプロモーターの要望で暫定戦となったというが、これはやはり解せない。
 なお、明日の試合のオフィシャルは以下の通り。※レフェリー=フェルディナンド・エストレーリャ(比)、ジャッジ=李光雨、尹元鐸、金秉基(いずれも韓)

2009年8月21日金曜日

ジム移籍で心機一転 9月の復帰戦に備える中岸


 戸髙秀樹ジムの新看板、元S・バンタム級ランカーの中岸風太(21)が9月9日、後楽園ホールのメインカードで13ヵ月ぶりにリング復帰する。内田義則(セレス)相手のフェザー級契約の8回戦。
 金沢のカシミジム所属だったが、6月29日付けで戸髙秀樹ジムに移籍。今度が移籍第一戦となる。アマ資格を巡って日本アマチュアボクシング連盟を相手どって裁判を起こしたあの“中岸問題”(後に和解が成立)で有名になった高校生ボクサーも、試合直前の9月3日には22歳になる。戸髙会長(元2階級制覇の世界チャンピオン)は高校生時代からロサンゼルスでマック・クリハラ・トレーナーのもとで一緒に汗を流した“兄貴分”だ。
 初めての東京生活にはまだ慣れない点もあるようだが、「(金沢を)出てくる時に“世界獲りたい”とハラを括ってきたんで、全部が(世界の)前哨戦のつもりで頑張る」と中岸。東洋太平洋王者の細野悟(大橋)や日本ランカーの天笠尚(HS山上)らとスパーを積みながら、調整に余念がない。やや伸び悩みの感もあったが、環境をチェンジしての心機一転を期している。戸髙会長は「まずは日本ランキング復帰を目指します」とコメントはおとなしいが、究極の目標はビッグなタイトル?
 中岸は、プロで18戦し15勝8KO2敗1分。

バレロのラスベガス進出に朗報 資格申請可能に

 ビッグマッチ実現に向けてバレロが一歩前進した。ラスベガスを管轄する米国ネバダ州コミッションがルールを改正。過去に脳へのダメージが原因でライセンス交付を拒否されたボクサーに対しても、同州が要求する試合前のMRI検査などをパスすれば、試合出場が可能になったのだ。
 これはWBA世界ライト級王者エドウィン・バレロ(ベネズエラ)にとって朗報だ。バレロはプロデビュー前の2001年、母国で起こったオートバイ事故が原因で、2004年ニューヨーク州コミッションが実施したMRI検査(脳検査)でライセンス発行を拒否され、処分が全米に波及していた。その後テキサス州がバレロにライセンスを発行。今年4月、アントニオ・ピタルアを倒してベルトを巻いた。
 もちろんバレロは検査にパスしなければならないが、テキサス州の例からもライセンス取得は確実視される。彼をプロモートするトップランク社もバックアップを確約。11月14日にラスベガスMGMでのパッキアオ-コット戦のアンダーカード出場させる予定。相手はウンベルト・ソト(メキシコ)などの名があがっている。
 またネバダ州コミッションは試合中に発生するカットの判定に関して即座の「ビデオ判定」を採用する決断を下した。これは目のカットなどがヘッドバットによるものか、ヒッティングによるものかをより明確に判定するため。ちなみにノックダウンかスリップダウンの判定には用いない、としている。2つのルール改正は9月1日より効力を持つ、と発表されている。

2009年8月20日木曜日

サーシャがWBC総会で東洋防衛戦 11月済州

 ロシに帰国中のサーシャ・バクティン(沖縄ワールドリング)が11月初め韓国済州島で開催されるWBC年次総会の記念興行で、保持する東洋太平洋バンタム級タイトルの防衛戦を行うことになった。中真茂会長が20日明らかにしたもの。
 サーシャ(28・WBC同級2位)は7月沖縄の初防衛戦に勝った直後に母国ロシアに一時帰国。その直後にはロシアのプロモーターが、10月10日同国でサーシャの世界戦を企画していることを明らかにし、所属の沖縄ワールドリングジム・中真茂会長を困惑させていた。しかしその後8月に入ってサーシャから連絡があり、話し合った結果、WBC総会時の試合をすれば、世界挑戦に向けより強くアピールできると納得し、試合出場をOKしたという。2度目の防衛戦では、東洋太平洋ランキング2位の蔡昇錫(韓国)を相手にする。
 「東洋はこれが最後にしたいですね」と中真会長。その後は世界挑戦というのがサーシャ陣営の願いである。23連勝10KO不敗。
 なお挑戦者蔡(30)は韓国王者。これまで16勝6KO1敗(BOXRECによる)。来日経験はないが、2月に小室裕一朗(新松戸高橋)に10回判定勝ちしている。=写真はサーシャと中真会長=

2009年8月19日水曜日

江藤弟、引き分け勝者扱い 東日本新人王準々決勝

 19日の後楽園ホールでは第66回東日本新人王トーナメント準々決勝8組が行われた(2組は選手棄権のため中止)。S・フェザー級話題の江藤兄弟の弟伸吾(白井・具志堅スポーツ)は高畑里望(ドリーム)と接戦を展開。結果は引き分けとなったが、ドローと採点した2ジャッジから優勢点を与えられ、新人王規定で勝者扱いとなった。これまで5勝4KOを生んだ強打も不発だったが、終盤の連打で高畑を守りに立たせ、辛くも準決勝にサバイバルした(写真は試合後のリング上でインタビューを受ける江藤)。
 また同じS・フェザー級健太郎マイモンコンプロモーション(TI山形)は、初回サウスポーからの右フックを横山大輔(ドリーム)に強打してダウンを奪い、10カウントのKO勝ちを飾った。健太郎は2連続KO勝ち。
 この日の試合結果は以下の通り。
B 楠岡正海(本多) 判定 荻野敦(ワールドスポーツ)
Fe 緒方勇希(角海老宝石) 判定 温水祥平(石川)

Fe 八戸保頼(日東) 判定  橋本雅樹(高崎)
Fe 今関佑介(花形) 負傷引き分け2回 岸文昭(宮田)
SFe 打馬王那(ワタナベ) 判定 岩井大(三谷大和スポーツ)
SFe 石川昇吾(新日本木村) 判定 名雪貴久(船橋ドラゴン)
SFe 江藤伸悟(白井・具志堅スポーツ) 引き分け 高畑里望(ドリーム)
 ※新人王規定により、江藤の勝者扱い
SFe 健太郎マイモンコンプロモーション(TI山形) KO1回 横山大輔(ワールドスポーツ)

2009年8月18日火曜日

ラスベガスのトップランク・ジムが閉鎖

 数多くのチャンピオン、名選手が汗を流したラスベガスの「トップランク・ジム」が先週金曜日14日をもってクローズした。1989年にオープンした同ジムは20年の歴史を閉じたことになる。
 理由は経済不況によるもの。かつてシュガー・レイ・レナード、オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、レノックス・ルイスらがトレーニングした名門ジムも、練習生が減り、最近ではトップランク傘下の選手もほとんど見かけなくなった。半年前からこの状況を憂慮したトップランク社代表ボブ・アラム氏が閉鎖を決断したもの。「これは極めてビジネス的な決断。ジムを開けている意味がなくなった」と苦渋な言葉を吐いている。同氏によると、ジムを維持するために年間約25万ドル経費がかかるという。
 ジムで日々のオペレーションを担当したハワイ系のミッチ・ハンプ氏(69歳)は「ボス(アラム氏)が『もう終わりだ』と言うのだから、私も出て行くしかない。よい日をここで送れたこととたくさんのグレート・ファイターと接したことが懐かしい」とコメント。
 ビッグマッチの最終調整場所として名を馳せた聖地が静かに姿を消した。
 

リナレス兄TKO勝ち


 15日、メキシコのコスメルで行われたWBA世界L・フライ級暫定王座決定戦のリングにホルへ・リナレス(帝拳=ベネズエラ)の兄ネルソン・リナレス(ベネズエラ)が登場。10回戦でオクタビオ・カストロ(メキシコ)に7回2分47秒TKO勝ちを収めた。 
WBAウェルター級2位にランクされるリナレスは11ヵ月ぶりのリング。それでも、この日のプロモーター、ナチョ・ウイサル氏の招聘で2ヵ月間メキシコでトレーニングを積んだリナレスは好調。パワーで押しまくり、カストロを圧倒。7回終盤、左右でメキシカンを倒し、ストップに持ち込んだ。この勝利でリナレス(27歳)は17勝10KO1分。今後もメキシコシティでジムワークを続行し、世界アタックのチャンスをうかがう。次戦は9月5日パナマの「KOドラッグ」興行あるいはネオメル・セルメーニョ-クリスチャン・ミハレス再戦(9月12日・モンテレイ)のリングに登場を予定している。

サントス-フォアマン戦はトップランクが落札

 WBA世界スーパー・ウェルター級“正規王座戦”の入札が16日(現地時間)パナマシティのWBA本部で行われ、1位挑戦者ユーリ・フォアマン(ベラルーシ=米国)をサポートするトップランク社が興行権を獲得した。落札金額は16万5千ドル(約1600万円)。入札の最低金額は15万ドルだった。 王者ダニエル・サントス(プエルトリコ)をプロモートするドン・キング・プロモーションをはじめ、他の入札業者はなかった。落札したトップランク社の副社長によると、サントス-フォアマン戦は11月14日のパッキアオ-コット戦の前座カード、または12月5日ニューヨーク(アトランティックシティの可能性も)で挙行されるという。 当初、サントスへ挑戦を目指していた石田順裕(金沢)は交渉がはかどらず、石田側はマルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)との暫定王座決定戦へとシフトした経緯がある。

10.10 ダブル戦前売チケット先行予約中 一般は26日から


 西岡利晃&ホルへ・リナレス出場のダブル世界タイトル戦(10月10日・東京・国立代々木体育館第二競技場)のチケットは、17日から25日まで、主催のWOWOWで先行予約中。詳しくは、WOWOWのホームページで( http://www.wowow.co.jp/sports/。一般売りは26日から。
リングサイド席=30,000円/A席=20,000円/B席=10,000円/C席=5,000円
●問い合わせは帝拳ジム(℡.03-3269-6667)

2009年8月17日月曜日

升田がポンサクレックに挑戦 28日タイで暫定フライ級戦

 元東洋太平洋フライ級王者の升田貴久(三迫)が今月28日タイのチェンマイでWBC世界フライ級暫定王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)に挑戦することが決まり、17日三迫ジムが記者会見を開き発表した。升田は世界初挑戦。
 WBCのこの階級正規王者は内藤大助だが、今年4月にWBCが暫定王座決定戦を認め、ポンサクが勝って暫定王者についた。今回はチャンピオン統一戦の前に升田相手の防衛戦をこなそうというもの。
試合自体は以前から決まっていたが、会見で「今日WBCから認定された」と三迫会長が明らかにしたように、升田は6月小林タカヤスに2-0判定で敗れ、6位まで上がっていた世界ランキングも15位以下に落ちてしまった。最新ランキングでも22位から上がらなかったことから、WBCの直接承認を得てようやく正式決定となったもの。
「うれしい。今年に入って下がり切っていたモチベーションが一気に上がりました」と、挑戦の決まった感想を聞かれて、升田は素直に喜びをあらわした。
「海外挑戦で、三原(正)が勝った時のことを思い出している。(升田が)ワンディに勝った時のように戦えば、勝てる」と強気なのは三迫仁志会長。当の升田は「相手については強いというイメージしかないが、あれこれ考えてもしかたない。自分の持っているものを出し切りたい」と抱負を語っていた。
 ポンサクレック(32)の戦績は72勝38KO3敗1分、升田(30)は20勝5KO8敗3分。挑戦者一行は試合2日前の26日にタイ入りする予定。写真は記者会見で抱負を語る升田㊨と三迫会長

初のエアボクシング大会開催 13歳今川君が優勝


 業界初の試みとして、エアボクシング・プレ大会(東日本ボクシング協会主催)が16日昼から東京・大森のゴールドジムで催された。
「エアボクシング」とはシャドウボクシングのこと。アマチュアでは女子ボクシングで「演舞の部」として定着しているが、プロでは採点で優劣を競う形式のトーナメントは初めてである。今回は6歳から71歳まで、総勢56名(女子は7名)が参加。大橋秀行・東日本ボクシング協会会長を筆頭に、川島郭志、セレス小林、川嶋勝重の元世界王者らがジャッジを務める中、シャドウとはいえ、勝負とあってみな真剣そのもの。それぞれ仮想の相手に鋭く力強いブローを繰り出していた。
 結局一般の部では、今川未来君(木更津グリーンベイジム)が計6試合(?)を勝ち抜いて優勝した。ホルヘ・リナレスが好きという未来君は、ボクシングを始めて5年という13歳の中学生だ。決勝で惜しくも敗れ準優勝に留まった和田優麻君(TAIKOH小林)は12歳。小学生の部では、徳本琉聖君(京浜川崎・9歳)が決勝で山口龍哉君(大橋・9歳)を制して優勝。また、出場者の最高齢71歳の今野均さんら3名に「特別賞」が贈られた。 
 今回はプレ大会と銘打たれていたが、「エアボクシング」の名付け親でもある三迫将広さん(エアボクシング検定委員会・委員長)の話によると、今回の結果を元にランキングを作成し今後定期化して年に2回ぐらいの大会を開催したいという。

2009年8月16日日曜日

名城の暫定王座にドネア ルエバノは反則勝ちでV5

 15日(現地時間)ラスベガスのハードロック・ホテルで行われた空位のWBA世界S・フライ級暫定王座決定戦はWBA世界フライ級王座を返上して臨んだノニト・ドネア(フィリピン)が、3位ラファエル・コンセプシオン(パナマ)に3-0判定勝利でベルトを手にした。
 前日の計量で、リミットの115ポンドでパスしたドネアに対し、コンセプシオンは何と4ポンド半オーバーの119.5を計測。罰金が科された。2回、コンセプシオンの左フックでダメージを受けたドネアだが、回復が早く、軽快なステップに乗ってパナマ人をアウトボクシング。左マブタの出血にもめげず突進を繰り返すコンセプシオンに右を巧打するなど、スピードとスキルで上回った。
 3ジャッジのスコアは117-111、115-113、116-112のユナニマスでドネアを支持。勝ってもタイトルは獲れなかったコンセプシオンだが、数字以上に健闘が目立った。
 同じリングのWBO世界フェザー級戦は波乱の幕切れ。王者スティーブン・ルエバノ(米)に比国のホープ、バーナベ・コンセプシオン(1位)が挑戦。 序盤やや優勢だったコンセプシオンは5回にも右でルエバノのヒザを揺らす。迎えた7回、サウスポーのルエバノが左をヒットして反撃態勢。ラウンド終了ベルが鳴った後、コンセプシオンの右強打が王者を直撃。たまらず崩れ落ちたルエバノは数分間もリングに横たわるダメージを被った。
 明らかな反則パンチ。7回終了ルエバノの失格勝ちの裁定が下った。ルエバノは5度目の防衛。 
 写真はドネア-コンセプシオン戦から=Photo/Sumio Yamada=

こちらも暫定 レベコがWBA・L・フライ級ゲット


  メキシコのコスメルで15日(現地時間)行われたWBA世界L・フライ級暫定王座決定戦は、元王者で現1位のフアン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)が、同3位のフランシスコ“チキータ”ロサス(メキシコ)に2-1判定勝ちを飾り、チャンピオンとなった。
 スコアは2人のジャッジが115-113でレベコの勝ちとしたが、残る1人は116-112で逆にロサスの勝ちを支持し、多数決判定でレベコ(25)の手が上がった。ノックダウンはなし。激しい闘志でプレスをかけ続けるロサスに、レベコはフットワークを駆使してカウンターを打ち込む展開。ほぼ互角で迎えた最終12ラウンド、アルゼンチン人がロサスの出鼻にグリーンショットを決めて締めくくった。
 2度目の世界戦で戴冠したレベコは21勝11KO1敗。世界戦2敗目のロサスは20勝12KO7敗2分。WBAの正規王者だったアスロウムはケガのため長期間試合ができなくなったため「休養王者」となり、それまで暫定王者だったホバニ・セグーラ(メキシコ)が正規王者に昇格。新たに今回の暫定王座決定戦が行われたもの。行う必要があったのか首を傾げたくなるが……。

2009年8月14日金曜日

坂田の次戦は前インドネシア王者と


 前WBA世界フライ級チャンピオン、坂田健史(協栄)の次戦は9月21日後楽園ホールで予定されているが、その対戦者が決まったと主催の協栄ジムから13日発表された。インドネシア・フライ級5位のディッキー・プトラ(22)で、前同級国内チャンピオン。これまで8戦5勝2KO3敗の成績を持つ選手。名城の世界王座挑戦を希望する坂田は今回もS・フライ級契約で10回戦に臨む。
 セミはOPBF女子S・フライ級王座決定戦で、藤本りえ(協栄)がOPBF1位のミッシェル・プレストン(ニュージーランド)と対する10回戦。日本女子ボクシングの第一人者藤本(OPBF2位)が、JBC傘下で女子プロボクシングが解禁となってから初のベルトを手にできるか。他に日本S・バンタム級2位・瀬藤幹人(協栄)が8回戦で、片山功(中内)と対戦する。
 写真は試合ポスター。リングサイド1万円から3千円までのチケットは、ローソンチケット、チケットぴあ等で前売り中。

レベコ-ロサスで暫定戦 WBA・L・フライ級


 暫定戦乱発で何かと批判を浴びるWBAだが、今週土曜日15日メキシコのコスメル島でWBA世界L・フライ級暫定王座決定戦が行われる。1位フアン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)と3位フランシスコ“チキータ”ロサス(メキシコ)の顔合わせだ。
 このタイトルは正規王者ブライム・アスロウム(フランス)が休暇王者扱いとなり、暫定王者ジョバニ・セグラ(メキシコ)が正規王者へ昇格。新たに暫定王者を設けなくともいいはずだが、何とも理解に苦しむ。
 12日(現地時間)行われた記者会見にはレベコに元世界王者パブロ・チャコン、ロサスにルーベン・リラ(メキシコで亀田和毅を指導)両トレーナーがエスコート。両者とも今回が2度目の世界挑戦。レベコは07年、アスロウムに判定負け。ロサスは今年2月、WBAミニマム級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)にこれも判定で退けられている。「これまでの対戦者の質でロサスを上回っている。私の方がベターな準備をしている」とレベコが語れば、ロサスは「多くは話したくない。土曜日、リングを見てください」と応戦した。

クリチコ兄、ロス再登場 地元アレオーラと防衛戦

 デビッド・ヘイ(英国)との防衛戦が流れたWBC世界ヘビー級王者ビタリ・クリチコ(ウクライナ)が“思い出の土地”ロサンゼルスで、1位挑戦者クリストバル・アレオーラ(米)を迎えることが決まった。試合は9月26日、同地のステープルズ・センターで挙行される。
 欧州ドイツをベースに戦うクリチコだが、03年、時の王者レノックス・ルイスに挑んだ場所がロサンゼルス。不運な負傷TKO負けを喫したクリチコは、その10ヵ月後、再びステープルズ・センターに登場し、コーリー・サンダース(南ア)をストップして、ルイスが返上した王座を獲得した。一時、居住したこともあるロスで、クリチコは知名度が高い。
 13日(現地時間)試合会場で行われた記者発表で、両者は抱負を口にした。
「これは2人のパンチャーによるヘビー級のボクシング。何が起こるか、誰にもわからない。でも私はどんなことにも対応できる。私はピーター戦でいいパフォーマンスを披露したし、ゴメスをストップした。アレオーラにも同じことをするだけ」(クリチコ)
「どんな男だって負ける時はある。2本の腕がありゃ、どんな男にも勝てる。ワンパンチで決まる試合。我々どちらかが必ずダメージを被る。それが私じゃないことを祈る」(アレオーラ)

パブリック-ウィリアムズ戦決定

 対戦が噂されていた“ゴースト”ことケリー・パブリック(米)とポール・ウィリアムズ(米)が10月3日、アトランティックシティで戦うことで合意に達した。試合はパブリックの持つWBC&WBO世界ミドル級王座が争われる。
 パブリックをプロモートするトップランク、ウィリアムズを擁するダン・グーセン・プロモーターの間で交渉は難航した。しかし最終的にウィリアムズが200万ドル(1億9千万円)弱の報酬で合意。同額でWBA王者シュトゥルムから統一戦のオファーがあったパブリックは、その倍近い金額でサインするもよう。
 これが3度目の防衛戦になるパブリックに対し、WBO・J・ミドル級暫定王者のウィリアムズは3階級目のベルトを狙う。両者は来週火曜日、ニューヨークで記者発表会に臨む。
 一方、ケーブルTV大手「ショータイム」が主催するS・ミドル級トーナメント「スーパー6」が10月17日に開幕。同日のカードはカール・フロッチ-アンドレ・ダーレル、アルツール・アブラハム-ジャーメイン・テイラーの2試合。11月21日にミケル・ケスレル-アンドレ・ウォードが予定される。

歴史的決定! 女子ボクシング採用 2012年ロンドン五輪から

 IOC(国際オリンピック委員会)は13日ベルリンで開いた理事会において、次回開催の2012年ロンドン五輪大会から新たに女子ボクシングを競技種目に加えることを決定した。AIBA(国際アマチュアボクシング協会)は「歴史的決定」とこれを歓迎する声明出した。
「ジャック・ロゲIOC会長の発表は、もはやボクシングが五輪競技中唯一男子のみによって行われる競技ではなくなることを意味する――」と、AIBAは今回のIOC決定を称えている。またウーAIBA会長も「女子ボクシングの追加で、オリンピックは本当に世界的な大会となった」と喜んでいる。
 歴史的な五輪となるロンドン大会の女子ボクシングは、フライ、ライト、ミドルの3階級で、それぞれ12名ずつのトーナメント形式で行われる。これは、ボクシング競技全体の出場選手数が「286名」と制限されているため、男子の現行11階級から1階級分(出場枠36名)を削って10階級とし、この分を女子競技に当てるため。今後出場枠を増やしていくことが期待されている。

2009年8月13日木曜日

リナレス、米国トレーニングに向け離日

 10月10日の2度目の防衛戦でフアン・カルロス・デルガトとの「不敗対決」が決まったWBA世界S・フェザー級チャンピオン、ホルへ・リナレス(帝拳)が12日、成田発の便で離日。母国ベネズエラに一時帰国した後、米国に舞い戻り、ロサンゼルス、ラスベガスに滞在してスパーリングを中心としたトレーニングを続ける。日本に戻るのは試合の2週間前を予定している。
 ベネズエラの一時帰国は、現地での要望が強いため。予定されるサイン会や記者会見をこなして地元ファンにサービス。さらにパリナスの実家で父メジソンさんの営むジムで「1日だけ練習してくるよ」とリナレス。貴重なリフレッシュになりそうだ。
 ラスベガスでは、練習以外に大事な仕事が待っている。帝拳ジム・本田明彦プロモーターによると、今度の防衛を果たした後リナレスは米国に本格的に進出する計画。その際大物のプロモーターと組むことになるが、現在デラホーヤのゴールデンボーイ・プロモーション(GBP)、ボブ・アラムのトップランク社の2大プロモーター双方から契約を迫られているという。どちらと組むか、「ベネズエラのゴールデンボーイ」と異名をとるリナレスの心は、憧れの人デラホーヤ率いるGBPに傾いているが……。

イケメン対決 福原が3-0で阪東制す

 13日夜後楽園ホールの拳志会ファイト、メインのS・フェザー級8回戦は、日本1位阪東ヒーロー(フォーラム・スポーツ)と元日本S・バンタム級チャンピオン、福原力也(ワタナベ)の強打とイケメン同士の対決として注目を集めたが、明白な判定で福原の手が上がった。
 試合は、初回福原の左フックにグラリ、阪東反撃の右に今度は福原がフラリ。スリリングな幕開けとなったが、2回以降は福原が左を巧みに使いながら阪東の強打を封じた。阪東は最後まで逆転を狙って強引に振り回したものの決定打なし。結局ダウンシーンはなかったものの、福原がうまい試合運びで阪東に文句なしの判定勝ち。2階級制覇に望みを繋いだ。スコアは78-75、79-75、80-74と3~6点差で福原。
 この日のセミの8回戦では、元日本S・フライ級王者、菊井徹平改めサラリーマン徹平(花形)が渡辺才一(船橋ドラゴン)にやや手を焼いたものの、6回にはダウンを奪い、3-0判定勝ち。残る2つの8回戦は、日本フライ級10位林徹(セレス)が中村優一(正拳)に3-0判定勝ち。バンタム級大塚隆太(18鴻巣)は小室裕一朗(新松戸高橋)に判定勝ち。

2009年8月12日水曜日

ボクシング・ビート9月号本日発売

旧ボクシング・ワールド編集部が挑む新たなボクシング専門誌「ボクシング・ビート」9月号は本日(12日)発売です。表紙は、10月10日に予定している凱旋ダブル世界タイトル戦の主役、西岡利晃、ホルへ・リナレスのチャンピオン・コンビです。また遠くナミビアで挙行された嶋田雄大の世界挑戦を現地取材。試合リポートの他、「アフリカン・ボクシング昨日・今日・明日」と題した特集を組んでいます。お近くの書店でお求めください。
●主な内容
ダブルで凱旋 西岡、リナレスがそろって防衛戦
長谷川はどこまで強くなる? V9戦リポート&今後
ゴンサレスー高山戦
最強の刺客に苦杯…粟生

飯田覚士の直撃トーク ゲスト・清水智信

09相次ぐ内外の番狂わせ劇
ガッティが、フォレストが…著名選手の不慮の死
改めて問う それでも日本はWBA、WBC以外認めないのか
大阪でWBA暫定戦 ロスでスパー特訓の石田順裕
2009サイドストーリー-新人王トーナメント
無名から一転脚光-粉川拓也、山口賢一

リポート
カーン大差判定でコテルニク攻略
アグベコ、ダルチニヤンを返り討ち
ブラッドレーりキャンベルの野望砕く
WBC王座は不敗アレクサンダー戴冠
シュトルム際どくV7
不敗ツビックは僅差で暫定王座ゲット
アンティロン、ベルト届かず
セグーラは比国の挑戦者撃退
アダメク圧勝ガンを4回終了TKO

榎まさかの黒星、李に苦杯
家住12年目の王座奪取
殊勲近藤45秒で王座交代
鈴木も2冠王者
世界1位黒木アピール不足
井岡一翔、タフガイ松本を2回で倒す
前王者沼田痛い再起戦

好評連載
マークのバイオファイル/トマシュ・アダメク
浜田剛史のトップ選手ウオッチング/マルコス・マイダナ
人-ZOOM/下田昭文、本田秀伸、佐藤達雄
あのボクサーは今/打越秀樹さん
チャンピオンの無名時代/戸髙秀樹さん

ビッグショット/アクション/内外トピックス/コメント&ジャーナル/観戦ガイド/リングサイドニュース/リックはこう見る/GYM/世界のリング/ジョー小泉の海外ボクシングの周辺/PRESS SEA-T山崎照朝国内試合結果/ランキング/読者の指定席
アマチュア/全国高校総体-岡山の藤田兄弟が同時優勝/関東大学リーグ拓大18年ぶり優勝決めた/名選手シリーズ-大貫敏郎さん

定価920円

2009年8月11日火曜日

榎-細野、三浦-小口、下田戦も 10.10の前座も豪華カード


 西岡、リナレス出場のダブル世界タイトル戦は、前座にも興味深いカードが決まっている。東洋太平洋フェザー級チャンピオンで世界に向けて快進撃中の細野悟(大橋)が、元チャンピオンで世界挑戦も経験したベテラン、榎洋之(角海老宝石)の挑戦を受けるタイトルマッチ12回戦だ。
 11日の記者会見には細野、榎も同席。細野が「榎さんは僕の中で評価が高い。必ずKOで勝つ」と強気のKO宣告をしたのに対し、榎はベテランらしく「自分を挑戦者に選んでくれてありがとうございます」と控え目のコメント。7月の再起戦を落としていることもあり「これが最後のチャンスだと思ってがんばります」ときっぱり決意表明。
 プロデビュー以来15連勝12KOの細野が、このまま勢いに乗って勝てば、世界に向けて弾みがつこう。また榎がベテランの意地を見せ細野を破ると、熱望していた世界再挑戦の可能性も出てくる。
この日は他に日本S・フェザー級の新チャンピオン、三浦隆司(横浜光)が同級5位で「かつらボクサー」として有名になった小口雅之(草加有澤)を相手に初防衛戦に臨むほか、WBC世界S・バンタム級10位・下田昭文(帝拳)出場の8回戦(相手未定)もある。

10.10 西岡&リナレスのダブル世界戦発表


 西岡利晃とホルへ・リナレスの帝拳ジムの世界チャンピオン・コンビが凱旋試合--10月10日東京・国立代々木競技場第二体育館で予定されるダブル世界タイトル戦の陣容が決まり、11日東京ドームホテルで記者会見が開かれた。西岡は保持するWBC世界S・バンタム級王座の3度目の防衛戦で、同級6位のイバン・エルナンデスを相手に、リナレスはWBA世界S・フェザー級王座の2度目の防衛戦で同級7位のフアン・カルロス・サルガドと、いずれもメキシコの強豪を挑戦者に迎える。
リナレスが27勝18KOならサルガド(24)も20勝14KO1分という「不敗対決」となった。一方西岡の相手エルナンデス(26)はS・フライ級で一度は世界王座(WBO)についたことがあり、その後体重苦から2階級上のS・バンタム級にアップした右のボクサーファイター。25勝15KO3敗1分の好成績を残している。
 しかし西岡、リナレスともに直近の防衛戦をアウェイのメキシコで行い、印象的なKO防衛を果たして、乗りにのっているだけに「勝つことは確信している。前回のゴンサレス戦以上にインパクトのあるKOで勝ちたい」(西岡)「日本で試合がてきて本当にうれしい。2年8か月ずっと待っていたからね。KOでも判定でもいい。(最近6試合)ずっとKOだから、今度もKOかも。がんばります」(リナレス)と、揃って必勝宣言。
 なおこのダブル世界戦はWOWOW開局以来初の大がかりなイベント「WOW FES(ワウ・フェス)」の目玉イベントとして企画され、当日午後3時からのボクシングの生放送は、ノンスクランブル、つまりBS放送が受信できればWOWOWに加入していなくとも視聴が可能だ。

前座でライト級7位大沢敗れる

10日後楽園ホールのセミ(ライト級8回戦)では、大上三矢(三迫)が日本同級7位の大沢宏晋(大星)との接戦を制し、2ー1判定勝ち。立ち上がり大沢がジャブを決めてやや優勢だったが、3回にマーチン主審がストップをかけた直後に大村の左フックが決まると、大沢大きく腰を落として倒れかける。主審は試合を中断して休養を与えたが、以降は大沢ペース・ダウン。終盤は大村が追い上げ、アッパーを交えた攻撃で大沢を苦境に立たせたが、フィニッシュはならなかった。スコアは浦谷、土屋両ジャッジが76-75、77-75で大村の勝ち。残る中村は逆に76-75で大沢の勝ちとし、スプリット・デシジョンで大上の手が挙がったもの。
同じくミドル級8回戦は、日本ミドル級4位の渕上誠(八王子中屋)が岡田山金太郎(オサム)をほぼ一方的に攻めまくり、最終8回2分8秒レフェリーストップによるTKO勝ちを記録している。渕上は3月大阪で日本王者鈴木哲也に挑み2-1判定で敗れており、これが再起戦だった。
なお6回戦では、アマチュア(東洋大学)からプロ転向した椎野大輝(三迫)のデビュー戦があり、萩原猛(T&T)を5回TKOに破り、幸先よいスタートを切っている。

小野寺、ダウン奪いV1 和宇慶に大差判定 日本S・ライト級戦


10日夜後楽園ホールで行われた日本S・ライト級タイトルマッチは王者小野寺洋介山(オサム)が同級3位和宇慶(わうけ)勇二(ワタナベ)の挑戦を大差判定でかわし、4月に木村登勇から奪ったベルトの初防衛に成功した。しかし会心にはほど遠いデキ。3回右強打を浴びせてダウンを奪ったものの、その後はサウスポー和宇慶のしぶとい抵抗にてこずりミスブローを連発。それでも最後まで豪快なスイングを続け、満員のホールを沸かせた。
3審判のスコアは、マーチン98-91、土屋97-91、福地97-92と大差で小野寺の勝ちを支持したが、当の勝者は「全然ダメ」と自己採点。それでも「和宇慶選手は気持ちが強い選手なので、自分も気持ちは負けたくなかった」。この点に関しては満足だったようだ。「まだまだ課題も多いので、一生懸命練習していきたい」と謙虚に語っていた。

2009年8月10日月曜日

広島で故・辻選手の納骨式 西岡、リナレスも墓参


3月にリング禍で亡くなった元日本ミニマム級1位、故・辻昌建選手(享年30)の納骨式が9日、郷里の広島県市内の霊園で営まれた。辻選手の所属した帝拳ジムから、本田明彦会長、長野ハルマネジャー、浜田剛史代表の幹部以下、田中繊大、大和心両トレーナー、そして同僚を代表して10月にダブル防衛戦の決まっている西岡利晃、ホルへ・リナレスの両世界チャンピオン、松田直樹、中川大資の日本チャンピオンと、佐々木基樹(北海道でキャンプ中)を除く同ジムの現役全チャンピオンが東京から駆けつけ、辻選手の霊前で手を合わせた。
 辻選手の眠る辻家の墓は瀬戸内海を一望にした 眺めのいい一画に新たに建立された。。現在実家のある広島市街はもちろん、中学生まで過ごした似島も眺めることができる。父賢興さんは「昌建には自分も生き方を教えられた。彼のことを忘れないでください」と挨拶した。

亀田大毅がデンガオセーン挑戦へ


 WBAフライ級11位・亀田大毅(亀田)が10月6日大阪市中央体育館で同級王者デンガオセーン・カオウィチット(タイ)に挑戦することが10日発表になった。 
都内で行われた会見で五十嵐会長は今回の経緯を「諸々の条件の中、タイ側と合意したのが10月6日、大毅だった。WBAの承認も下りた」と語った。
内藤挑戦以来2度目の世界挑戦となる亀田は「いろんなこと試したい。それが通じるかどうかは分らないが、通じるものだとと思って練習している。出せる力出し切りたい」と抱負を語った。
 亀田はデンガオセーン戦の前、8月30日大阪で行われるWBA暫定S・ウェルター級王座決定戦、石田順裕-マルコ・アベンダーニョ戦のセミファイナル10回戦にも登場。ホセ・アルベルト・クアドロス(メキシコ=24歳。11勝5KO9敗)が相手。世界戦まで1ヶ月余りのインターバルとなるが「試合間隔は人それぞれ。俺は1ヶ月でいける。この前の試合が5月でちょっと間隔が開いていたから、ちょうどいいかな」と亀田。
 デンガオセーン挑戦は指名権を持つ興毅と思われていたが「複雑な気持ち。大毅が勝ったらオレどうなるねん(笑)。でももちろん負けて欲しくない」と冗談交じりで語り、「これが亀田ジムの世界戦興行デビュー戦。相手のファイトマネーが高額でたいへんらしいから自分の試合(9月5日)が終わったら、大毅のために営業する」と弟の戴冠チャンスにエールを送った。 
チケット(5万円、3万円、1万円、5千円、3千円、弁慶レディースシート(女性限定)1万円、5千円)
発売は次の通り。
●ローソンチケットでファン先行予約8月12日10:00~/一般発売8月13日10:00~
●チケットぴあ8月18日10:00~
●イープラス8月13日10:00~

2009年8月9日日曜日

元王者ラリオスが引退発表


 日本のリングにも何度も上がった元WBC世界スーパー・バンタム級&フェザー級王者オスカル“チョロロ”ラリオス(メキシコ、32歳)が現役引退を発表した。 ラリオスは8日(現地時間)地元メキシコ・ハリスコ州サポパンで行われた興行で、リング上から引退の胸中を明かした。「ボクシングは私に多くの満足を与えてくれた。ファンのみなさん、関係者、マスコミのサポートに心から感謝します。グラシアース!」。声は途切れ途切れで、最後は涙声になった。
 1994年1月プロデビューしたラリオスは、2002年5月、イスラエル・バスケスを12回KOで破り、WBC・S・バンタム級暫定王座獲得。その後正規王者に昇格し、同タイトル9度防衛。同じバスケスに3回TKO負けでベルトを失ったが、08年5月、WBCフェザー級暫定王者に。1度防衛後、正規王者となった。今年3月の粟生隆寛(帝拳)との第2戦がラストファイト。これまでの戦績は63勝39KO7敗1分。
 なお、この日のメインではホープ、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ、NABFウェルター級王者)がマラット・クゼエフ(ロシア)に2回2分33秒KO勝ちで、WBCユース・ウェルター級王者に就いている。=写真はラスト・ファイトとなった去る3月の粟生戦直後=

石田-アベンダーニョで”暫定戦” 8月30日大阪


 金沢ジムの金沢英雄会長は8日、WBA世界スーパーウエルター級4位・石田順裕(金沢)が今月30日大阪府立体育会館第1競技場で世界初挑戦すると発表した。WBA世界同級5位マルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)との暫定王座決定戦。
1カ月の米ロサンゼルス合宿を打ち上げて帰国した石田は「決まったと聞いてうれしかった。前回が地元判定との声もあったのでスッキリ勝ちたい」と早くも気合い十分だった。両者は昨年9月以来の再戦。前回は石田が10回判定勝ちした。ところが5回にダウンを喫する2―1の小差で今回こそ真価が問われるリングとなる。
1カ月のロス合宿では連日10回のスパーリングを消化。課題だったスタミナ作りとともに2階級制覇した元世界王者・畑山隆則も手がけルディ・エルナンデストレーナーに師事してアベンダーニョ対策も授かった。「この1年長かった。世界戦を決めてくれた会長のためにも勝ちたい」。スーパーウエルター級世界王座は現役時代、東洋太平洋王座を8度防衛しながら世界挑戦できなかった金沢会長の悲願でもある。昨今の暫定濫発に対する批判もあるが、「世界戦を実現するためにドバイ、マイアミ、ベネズエラも行った。暫定でもチャンピオンはチャンピオン」と金沢会長はまな弟子に奮起を促した。

亀田和毅がTKO勝ち 

亀田三男9連勝--6日(現地時間)メキシコシティでプロ9戦目に臨んだ亀田家の三男和毅(亀田)は、バンタム級6回戦でマルコ・アントニオ・チャブレ(メキシコ)に4回43 秒TKO勝ちを飾り、プロ転向以来無傷の9連勝8KOをマークした。
 亀田ジムに入った連絡によると、この日和毅は4勝不敗のルイス・モラレスと対戦するはずだったが、当人が計量に現れなかったため、同じマネジャーを持つチャブレが代役を務めた。この日の和毅は立ち上がりから左ジャブ、ボディーブローで組み立て、一方的展開に。最後は右ストレートで相手のアゴがはね上がったところで、レフェリー・ストップがかかった。
 試合後の和毅のコメント。「今日は悪いところと良いところが出た。試合でスパーのようにするんはむずかしいわ。次は8回戦やし、年内のタイトル戦に向かっていくだけ」

後楽園ホールでU-15全国大会開催


9日後楽園ホールで第2回U-15ボクシング全国大会が開催。小中学生43組と、シャドー大会に出場した4歳から11歳のキッズ20名が日頃の練習の成果を競った。
 試合後各カテゴリーの表彰が行なわれ、小学生の部優秀選手に原虎徹(埼玉・越谷市)、丸田陽七太(兵庫・川西市)、谷田瞳磨(兵庫・姫路市)の三選手が選ばれた。
 中学生の部の優秀選手は、福井勝也(東京・世田谷)、横田一磨(兵庫・明石市)、桑原拓(大阪・平野区)の三選手が受賞。
 8名出場した女子の優秀選手は、仲田輪幸選手(山梨・甲府市)が選ばれた。
 またこの大会はベストマナー賞が設置されており、こちはら女子の中から仲田幸都子(山梨・甲府市)、小学生の部から山内郁弥(愛知・豊田市)、中学生の部から英征矢(石川・河北郡)の各選手が選ばれた。
 さらにシャドー大会も優秀選手が選出されており、稲元紘平(埼玉・熊谷市=4歳)、関拳斗(福岡・福岡市=6歳)、大杉兼心(三重・鈴鹿市)の三選手と決まった。稲元選手は女子ボクサー稲元真理(熊谷コサカ)の長男。関選手は関ジム・関博之会長次男。長男・拳児選手も小学生の部でポイント勝ちしている。中学生の部にエントリーした、元OPBF王者仲里繁氏の長男・周磨選手は初回RSCで敗れた。

2009年8月8日土曜日

横浜で全国キッズ大会開催


 8日、横浜・赤レンガ倉庫一号館ホールで、第9回全国ちびっ子ボクシング大会が開催された。
 午前11時から、小学生の部23試合、中学生の部14試合が行なわれ、小学生の部MVPに松本圭佑(神奈川・横浜市)が選ばれた。松本選手は元日本&東洋フェザー級王者で現在大橋ジムでチーフ・コーチを勤める松本好二氏の子息。技能賞は小堀陽介選手(神奈川・横浜市)が、敢闘賞は北川開於士(静岡・島田市)が受賞した。
 また中学生の部のMVPは納屋樹選手(東京・江戸川区)。技能賞は山下凌選手(神奈川・横浜)が、技能賞は岡本啓佑選手(愛知・清須市)が選ばれた

バス事故のアルボレタ選手死亡

 乗車していたバスの事故で危篤状態になっていたパナマの強豪ボクサー、ホセ・アルボレタ選手(29歳)が現地時間の7日午前4時、収容されていた病院で息を引き取った。
 同選手には外科手術が行われたが、肺や肝臓などから多量の出血があり、事故の5人目の犠牲者となった。他の乗客も30人以上が重軽傷を負っているという。
 今年2月、東京で下田昭文(帝拳)と対戦したアルボレタ選手は9月5日パナマ市で開催されるWBAの「KOドラッグ」興行に出場を予定し、ジムワークに向う途中、事故に遭った。

2009年8月7日金曜日

下田と戦ったアルボレタが交通事故で重傷


 パナマからのニュースで同国の強豪ボクサー、ホセ・アルボレタが交通事故に巻き込まれて重傷を負い、生死の境をさまよっていることが伝えられている。
 アルボレタ(29歳)は6日朝(現地時間)パナマ市でバスに乗って練習に向かう途中、バスが転倒。すでに乗車していた客4人の死亡が確認されており、負傷者が多数出ているという。アルボレタも深刻な怪我を負っており、最寄りの病院の集中治療室に収容され、安否が心配されている。 S・バンタム級の常連ランカーだったアルボレタは今年2月、東京で下田昭文(帝拳)と対戦し、3回負傷ドローに終わっていた。 現地の情報ではバスの運転手が飲酒運転していたのが、事故をまねいたという。

2009年8月4日火曜日

後楽園の東日本新人王準々決勝結果-4日

左が勝者
L・フライ級
金田聖博(ドリーム)判定 山口隼人(湘南RYUJU)
S・バンタム級
杉原孝二(セレス)判定 高橋謙太(協栄)
ライト級
ジェームス村重(KG大和)不戦 山崎将也(協栄)
小林和優(湘南RYUJU)判定 笠井暢也(協栄)
S・ライト級
下田知宏(大橋)KO2回 山田智也(協栄)
ウェルター級
新藤寛之(宮田)判定 座間カイ(金子)
伊藤修平(ドリーム)不戦 渡辺重明(セレス)
清水友輔(マーベラス)判定 向幹一郎(セレス)
加藤大樹(宮田)判定 浅野裕一(船橋ドラゴン)
松信亮次(大橋)判定 志賀紀夫(角海老宝石)

2009年8月3日月曜日

3日、後楽園の東日本新人王準々決勝の結果

※左が勝者
ミニマム級
鈴木 翔(角海老宝石)判定 伊藤史耶(M.T)
L・フライ級
前田健太(角海老宝石)判定 元木謙太(レパード玉熊)
小俣達也(新田)判定 濱岡直矢(山龍)
バンタム級
中島聖規(マナベ)KO1回 岡本直也(東拳)
S・バンタム級
長井一(ワタナベ)TKO1回 星野裕匡(ヨネクラ)
フェザー級
沼田純一(石神井S)判定 ディエゴ瀬良垣(角海老宝石)
ライト級
今井信成(ワタナベ)引分 橋本賢(ヨネクラ)
※今井の勝者扱い
有馬啓祐(協栄)判定 手賀亮太(ヨネクラ)
S・ライト級
土井政弘(ヨネクラ)判定 田中聡太郎(角海老宝石)
ミドル級
胡 朋宏(横浜光)TKO1回 川端達郎(白井・具志堅S) 

初の兄弟同時優勝 インターハイ岡山の藤田兄弟

 第63回インターハイ決勝は3日、奈良県の平群町総合スポーツセンター体育館で行われ、2009年の高校チャンピオンが決まった。
 今年はモスキート級井上尚弥(神奈川・新磯)、バンタム級藤田健児(岡山・倉敷)と1年生王者が2人も誕生。両選手ともキッズ・ボクシングから活躍した選手で、ここ数年高まるちびっこボクシング熱の成果をうかがわせた。
 また藤田は兄の大和もフェザー級を制覇。兄弟同時優勝の快挙を達成した。ライト級を制した内藤律樹(神奈川・磯子工定)は父・純一さんと親子二代でインターハイ王者に輝いた。 学校対抗は北海道の札幌工が23点で1位。2位以下は倉敷(岡山)、興國(大阪)、享栄(愛知)、作新学院(栃木)、磯子工・定(神奈川)の順。
 各級決勝の結果は以下の通り(左が勝者)。
モスキート級 井上尚弥(神奈川・新磯)RSC3回 寺地拳四朗(奈良・奈良朱雀)
L・フライ級 野邊優作(兵庫・西宮香風)ポイント 山本親吾(大阪・興國)
フライ級 杉田智隆(北海道・札幌工)ポイント 喜久里正平(沖縄・沖縄水産)
バンタム級 藤田健児(岡山・倉敷)ポイント 中澤奨(大阪・興國)
フェザー級 藤田大和(岡山・倉敷)ポイント 児玉善徳(愛知・享栄)
ライト級 内藤律樹(神奈川・磯子工定)ポイント 村冨勝大(熊本・九州学院)
L・ウェルター級 吉野修一郎(栃木・作新学院)ポイント 浅岡亮太(埼玉・花咲徳栄)
ウェルター級 古畑一眞(熊本・開新)ポイント 三浦隼(青森・青森工)
ミドル級 漆原祥(神奈川・武相)ポイント 大堀秀隆(福島・会津工)

亀田興毅次戦発表-9.5ディファ有明


 WBA世界フライ級1位亀田興毅の次戦が発表となった。2階級制覇へマジック1~世界前哨戦~と銘打たれた10回戦は、元NABF北米L・フライ級王者ウンベルト・プール(メキシコ)をディファ有明に迎える。 
今年3月以来半年振りのリングとなる亀田は、「この半年、試合が決まったり流れたりしてしんどい時期もあったが、これにいい勝ち方して次、世界タイトルマッチいきますわ」と久々の試合決定にすっきりした表情。試合のコピーにあるように「野球で言ったら、このマジック消えたら優勝ということ」と世界挑戦が近づきつつあることを示唆し「この半年、新しい練習も始めて体も大きくなった。ボクシングの考え方も変わった。レベル上がった自分を見て欲しい」と自信を隠さなかった。
 相手戦相手のプールは34歳。元L・フライ級でNABF北米王者の経験があり、07年10月にはWBA王座挑戦している(レベコに5回KO負け)。ホセ・アントニオ・アギーレに判定勝ち。オマール・ソト、ブライム・アスロウムには敗れて15勝9KO8敗3分。
 試合は9月5日ディファ有明で午後1時20分開場。メイン開始は午後4時予定。チケットはローソンチケットのファン先行予約が8月4日午前10時から。一般発売(ローソンチケット、イープラス)は5日午前10時から。チケットぴあは11日午前10時から。

佐藤の後継王者に鈴木 東洋ミドル級戦

 2日夜、大阪市IMPホールで行われたOPBFミドル級タイトル決定戦は日本同級チャンピオンで2位の鈴木哲也(進光)が3位・呉必勝(韓国)に8回終了TKO勝ち。晴れて2冠王者となった。
 この王座は佐藤幸治(帝拳)が世界挑戦のため返上し空位となっていたもの。サウスポーの鈴木はタフな呉相手にインファイトを選択。ブロッキングとボディーワークで相手のパンチを外し、左ストレート、右フックを当て続けた。最後までダウンをこばんだ呉だったが、一方的な展開の末に8回終了後のインターバルでボカレ主審にストップされた。
 新チャンピオンは「僕がタフな呉をさばくのは限界があると思ったので接近戦をしました」と明かした。次戦について中村尚秀会長はOPBFから指名戦指令が下れば、それに従う考えだと話した。

松元が水本に判定勝ち 東洋ミドル級戦前座


 2日、大阪市のOPBFミドル級戦セミに出場した日本S・ウェルター級12位松元慎介(進光)は井岡ジムの水本昌寛に10回2-0判定勝ちした。
 終盤は疲れものぞいた松元だが、水本のプレスをさばきつつ右、左フックをカウンターしてポイントをピックアップした。スコアは100-92、97-96、96-96とばらつきがあった。
 また昨年の全日本S・フェザー級新人王、吉野典秀(現9位=進光)は中堅の森川弘幸(高砂)と8回フルに戦ってドロー。右からの左フックを決めて序盤をリードした吉野だが森川にしぶとく追われた。結局採点は77(吉野)-76(森川)、76-77、76-76の三者三様。
 そのほかの試合結果は以下の通り(左が勝者)。
S・バンタム級6回戦 佐藤裕樹(ハラダ)判定 寄川航(進光)
62キロ4回戦 谷大渓(進光)引き分け 歳岡啓輔(正拳)