2011年1月25日火曜日

雑草の王者、小林弘を描く「1967クロスカウンター」

 東京・武蔵野市内でTAIKO小林ジムを営む小林弘会長(66)といえば、昭和40年代に世界J・ライト級チャンピオンとして一世を風靡した名ボクサーである。決して派手さはないが玄人好みの技巧派ぶりと粘り強さから「雑草のチャンピオン」とも称された。その現役時代を回想して「1967クロスカウンター」という一風変わった題名の本が出版される。=写真= 副題は「雑草と呼ばれたチャンピオン小林弘」。小林さんの友人でもある作家の菅淳一さんがじっくりと書き上げた異色の評伝である。
 題名の1967(年=昭和42年)とは、小林さんが史上初の世界戦日本人対決第(名勝負!)で沼田義明を倒して世界J・ライト(現S・フェザー)級チャンピオンとなった年である。クロスカウンターは往年の小林さんが得意とした武器。やはり史上初の日本人世界チャンピオン対決でフェザー級の西城正三に判定勝ち(1975年)という記録も小林さんにはある。「日本のボクシングファンが絶対に忘れてはいけない男」と筆者の菅氏は力こぶを入れている。
 本書の中には世界王座獲得等の偉業だけでなく、バクチで大金を失って青くなったなど、本人にはまあり触れられたくないエピソードも出てくるが、これもまた「人間・小林弘」の一面であり、このような書き下ろしの単行本というかたちで、かつての名チャンピオンが現代に蘇るのは大いに喜ばしい。
 同書は太田出版・刊。27日発売。本体1714円+税。1月30日には、都内のホテルで出版記念パーティーが開かれる。

0 件のコメント:

コメントを投稿